「ソニック・ヘッジホッグ」の版間の差分

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==プロセシングと分泌 ==
==プロセシングと分泌 ==
[[image:Shh1.png|thumb|300px|'''図2.ソニック・ヘッジホッグタンパク質の修飾と分泌'']]
[[image:Shh1.png|thumb|300px|'''図2.ソニック・ヘッジホッグタンパク質の修飾と分泌''']]


 ソニック・ヘッジホッグ遺伝子からはまず45kDa程度のポリペプチドが前駆体として転写・[[翻訳]]される。このポリペプチドは小胞体に運ばれ、アミノ末端とカルボキシル末端の2つの部分に分解され、分泌されてその活性を発揮するのはアミノ末端側のポリペプチド(ShhN; 19kDa程度)である<ref><pubmed>21357747</pubmed></ref> 。一方カルボキシル末端側(ShhC)はこの分解を制御するほか、[[コレステロール]]転移酵素としてアミノ末端側フラグメントの修飾に寄与する<ref><pubmed>15189162</pubmed></ref> 。ShhNにはパルミチン酸(アミノ末端)とコレ[[ステロール]](カルボキシル末端)が付加されるが、これらの修飾はShhNの効率的な分泌と、組織内での適切な分布に重要である<ref><pubmed>16611729</pubmed></ref><ref><pubmed>11486055</pubmed></ref><ref><pubmed>15075292</pubmed></ref><ref><pubmed>8824192</pubmed></ref><ref><pubmed>11389830</pubmed></ref><ref><pubmed>23112049</pubmed></ref> 。たとえば細胞内コレステロール輸送に関与する遺伝子NPC1/2に変異が生じると[[リソソーム]]にコレステロールが蓄積するためにShhNに十分なコレステロールが供給されずに修飾不全となり、効率的な分泌が不可能になってしまう。C型Niemann-Pick syndrome(C型ニーマン・ピック病)はこのNPC1/2遺伝子の変異に起因する遺伝性疾患であり、[[小脳]]の不完全形成や肝不全、[[発達障害]]や運動障害、新生児黄疸などの重篤な小児障害を引き起こす<ref><pubmed>9211850</pubmed></ref><ref name=ref24><pubmed>22902404</pubmed></ref> 。
 ソニック・ヘッジホッグ遺伝子からはまず45kDa程度のポリペプチドが前駆体として転写・[[翻訳]]される。このポリペプチドは小胞体に運ばれ、アミノ末端とカルボキシル末端の2つの部分に分解され、分泌されてその活性を発揮するのはアミノ末端側のポリペプチド(ShhN; 19kDa程度)である<ref><pubmed>21357747</pubmed></ref> 。一方カルボキシル末端側(ShhC)はこの分解を制御するほか、[[コレステロール]]転移酵素としてアミノ末端側フラグメントの修飾に寄与する<ref><pubmed>15189162</pubmed></ref> 。ShhNにはパルミチン酸(アミノ末端)とコレ[[ステロール]](カルボキシル末端)が付加されるが、これらの修飾はShhNの効率的な分泌と、組織内での適切な分布に重要である<ref><pubmed>16611729</pubmed></ref><ref><pubmed>11486055</pubmed></ref><ref><pubmed>15075292</pubmed></ref><ref><pubmed>8824192</pubmed></ref><ref><pubmed>11389830</pubmed></ref><ref><pubmed>23112049</pubmed></ref> 。たとえば細胞内コレステロール輸送に関与する遺伝子NPC1/2に変異が生じると[[リソソーム]]にコレステロールが蓄積するためにShhNに十分なコレステロールが供給されずに修飾不全となり、効率的な分泌が不可能になってしまう。C型Niemann-Pick syndrome(C型ニーマン・ピック病)はこのNPC1/2遺伝子の変異に起因する遺伝性疾患であり、[[小脳]]の不完全形成や肝不全、[[発達障害]]や運動障害、新生児黄疸などの重篤な小児障害を引き起こす<ref><pubmed>9211850</pubmed></ref><ref name=ref24><pubmed>22902404</pubmed></ref> 。