「ドリフト拡散モデル」の版間の差分

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==他のモデルとの統合==
==他のモデルとの統合==


 ドリフト拡散モデルは試行内の刺激呈示から反応出力 (選択) までのプロセスを表現するモデルであるが,試行間の選択傾向の変化を表す他の数理モデルと組み合わせることもできる。例えば,報酬に基づく学習のプロセスを表現する代表的なモデルである強化学習モデルと組み合わせた枠組みが提案されている<ref><pubmed>27966103</pubmed></ref><ref><pubmed>25589744</pubmed></ref>。一般の強化学習モデルでは,行動の結果与えられる報酬に基づいて各行動の価値が計算され,価値の高い行動が高い確率で選択される。ドリフト拡散モデルのドリフト率をこの行動の価値の関数にすることで,選択肢の価値の差が小さいほど反応が競合し,反応時間が長くなるという効果を表すことができる。このように強化学習モデルを組み合わせて用いることで,ドリフト拡散モデルによる反応時間や選択の予測が改善できる。また,逆にドリフト拡散モデルにより反応時間の情報を用いることで,強化学習モデルのパラメータの信頼性も改善されるという報告もある <ref><pubmed>30759077</pubmed></ref>。
 ドリフト拡散モデルは試行内の刺激呈示から反応出力 (選択) までのプロセスを表現するモデルであるが,試行間の選択傾向の変化を表す他の数理モデルと組み合わせることもできる。例えば,報酬に基づく学習のプロセスを表現する代表的なモデルである強化学習モデルと組み合わせた枠組みが提案されている<ref><pubmed>27966103</pubmed></ref><ref><pubmed>25589744</pubmed></ref>
 
 一般の強化学習モデルでは,行動の結果与えられる報酬に基づいて各行動の価値が計算され,価値の高い行動が高い確率で選択される。ドリフト拡散モデルのドリフト率をこの行動の価値の関数にすることで,選択肢の価値の差が小さいほど反応が競合し,反応時間が長くなるという効果を表すことができる。このように強化学習モデルを組み合わせて用いることで,ドリフト拡散モデルによる反応時間や選択の予測が改善できる。また,逆にドリフト拡散モデルにより反応時間の情報を用いることで,強化学習モデルのパラメータの信頼性も改善されるという報告もある <ref><pubmed>30759077</pubmed></ref>。


==参考文献==
==参考文献==
<references />
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