「ドレブリン」の版間の差分

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担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/wadancnp 和田 圭司](国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)<br>
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英:drebrin


{{box|text= ドレブリンはアクチン結合タンパク質として知られ、そのアイソフォームには主にドレブリンEとドレブリンAがある。ドレブリンEは胎児期及び幼若期に主に発現し、成熟期にはドレブリンAが神経細胞特異的に発現する。ドレブリンEは突起伸展や軸索成長に影響を及ぼし、ドレブリンAはシナプス後部に集積し樹状突起スパインの形成を促進する機能がある。また、ドレブリンAはシナプス可塑性にも関与することが知られている。}}
{{box|text= ドレブリンはアクチン結合タンパク質として知られ、そのアイソフォームには主にドレブリンEとドレブリンAがある。ドレブリンEは胎児期及び幼若期に主に発現し、成熟期にはドレブリンAが神経細胞特異的に発現する。ドレブリンEは突起伸展や軸索成長に影響を及ぼし、ドレブリンAはシナプス後部に集積し樹状突起スパインの形成を促進する機能がある。また、ドレブリンAはシナプス可塑性にも関与することが知られている。}}
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==構造==
==構造==
[[image:1ドレブリン.png|thumb|350px|'''図1.'''<br>ADF-H:ADFホモロジードメイン<br>AR1:アクチン結合領域1<br>AR2:アクチン結合領域2<br>In 2:In 2(ドレブリンA特異的配列)<br>P:プロリンリッチ領域]]
[[image:1ドレブリン.png|thumb|350px|'''図1. ドレブリンのドメイン構造'''<br>ADF-H:ADFホモロジードメイン<br>AR1:アクチン結合領域1<br>AR2:アクチン結合領域2<br>In 2:In 2(ドレブリンA特異的配列)<br>P:プロリンリッチ領域]]


 ドレブリンはN末端に[[コフィリン|ADF-ホモロジードメイン]]を持つ分子で、[[コフィリン]]や[[ツインフィリン]]とスーパーファミリーを作っていると考えることができる。
 ドレブリンはN末端に[[コフィリン|ADF-ホモロジードメイン]]を持つ分子で、[[コフィリン]]や[[ツインフィリン]]とスーパーファミリーを作っていると考えることができる。
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===シナプス可塑性===
===シナプス可塑性===
[[image:2ドレブリン.png|thumb|350px|'''図2.''' (図のタイトルと、必要であれば解説もお願いします)]]
[[image:2ドレブリン.png|thumb|350px|'''図2. ドレブリンAの神経活動依存的な樹状突起スパインから樹状突起シャフトへの移動''' <BR>ドレブリンAはスパインに局在するが、LTP誘導とともに、シャフトへ一過性に移行する。この過程にはNMDA型グルタミン酸受容体から流入したカルシウム、ミオシンIIが関与する。]]


 ドレブリンAのスパインへの局在は神経活動依存的に変化し、[[シナプス可塑性]]に伴い一過性に樹状突起スパインから樹状突起シャフトへと移動することが分かっている。これは[[NMDA型グルタミン酸受容体]]を介した[[カルシウムイオン]]の流入により引き起こされ、加えて、[[ミオシンII]]による調整を受けていることも示唆されている<ref name=ref17><pubmed>24465547 </pubmed></ref>。この一過性の移動はスパインが形態的変化を起こすために重要な役割を果たしていると考えられている(図2)。
 ドレブリンAのスパインへの局在は神経活動依存的に変化し、[[シナプス可塑性]]に伴い一過性に樹状突起スパインから樹状突起シャフトへと移動することが分かっている。これは[[NMDA型グルタミン酸受容体]]を介した[[カルシウムイオン]]の流入により引き起こされ、加えて、[[ミオシンII]]による調整を受けていることも示唆されている<ref name=ref17><pubmed>24465547 </pubmed></ref>。この一過性の移動はスパインが形態的変化を起こすために重要な役割を果たしていると考えられている(図2)。
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===ドレブリンノックアウトマウス===
===ドレブリンノックアウトマウス===
 これまでにドレブリンAノックアウト(DAKO)マウスを用いた研究が中心に行われている。DAKOマウスではドレブリンAに代わってドレブリンEが発現しているが、脳の形態や行動に大きな異常は見られない。しかしながら恐怖条件付けに異常が見られること<ref name=ref><pubmed>19837137</pubmed></ref>や、特に成熟個体の海馬CA1領域におけるLTPの形成が阻害されること、尖端樹状突起のスパインの長さが有意に長くなっていることなどが報告されている<ref name=ref11 />。
 これまでにドレブリンA[[ノックアウトマウス|ノックアウト(DAKO)マウス]]を用いた研究が中心に行われている。DAKOマウスではドレブリンAに代わってドレブリンEが発現しているが、脳の形態や行動に大きな異常は見られない。しかしながら[[恐怖条件づけ]]に異常が見られること<ref name=ref><pubmed>19837137</pubmed></ref>や、特に成熟個体の海馬[[CA1領域]]における[[LTP]]の形成が阻害されること、尖端樹状突起のスパインの長さが有意に長くなっていることなどが報告されている<ref name=ref11 />。


==関連語==
==関連語==

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