「ハンチントン病」の版間の差分

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=== エネルギー代謝の障害  ===
=== エネルギー代謝の障害  ===


 ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのためモデル動物や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]](NAA)が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。  
 ハンチントン病患者の脳や筋肉において代謝の変化が見られることが数十年前から知られていた。そのため[[モデル動物]]や細胞におけるエネルギー経路の変化の探索が行われてきた。 MRSを用いた研究では、ハンチントン患者脳において[[N-acetyl aspartate]](NAA)が増加していることが示され、ミトコンドリアの減少や神経機能不全を反映しているものと考えられている。ハンチントン病患者脳における[[wikipedia:ja:乳酸|乳酸]]の増加や[[wikipedia:ja:クレアチン|クレアチン]]レベルの減少も観察され、[[FDG-PET]]においても発症前から線条体のエネルギー代謝が低下していることが示されている。  


 分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa<sup>2+</sup>流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。  
 分子メカニズムとしては、ミトコンドリアの[[Complex II/III]]活性の欠如、[[Complex IV]]活性の減少による[[酸化的リン酸化]]の障害が示唆されている。またモデルマウスの細胞や組織レベルでミトコンドリアへのCa<sup>2+</sup>流入が減少しており、内膜の透過性亢進と[[wikipedia:ATP|ATP]]産生を阻害する[[膜電位]]の喪失を伴うミトコンドリアの膜透過性遷移孔の活性化につながる可能性も挙げられる。