「パッチクランプ法」の版間の差分

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=== ホールセル法===
=== ホールセル法===
[[ファイル:Hayashi patch clamp.png|thumb|250px|right| '''図2. ホールセルパッチクランプ法の記録の例'''<br>[[海馬]][[スライス培養細胞]]の[[wj:微分干渉顕微鏡|ノマルスキー型微分干渉]]像。左下から電極がアプローチしている。スケールバー:30 µm。]]
[[ファイル:Hayashi patch clamp.png|thumb|250px|right| '''図3. ホールセルパッチクランプ法の記録の例'''<br>[[海馬]][[スライス培養細胞]]の[[wj:微分干渉顕微鏡|ノマルスキー型微分干渉]]像。左下から電極がアプローチしている。スケールバー:30 µm。]]


 下記の穿孔パッチ法と区別する時にはコンベンショナルホールセル法ともいう。セルアタッチ法から電極の陰圧をさらに強くすることでパッチ膜を破って穴を開け、電極内と細胞内が繋がる状態がホールセル法である(図2C)。ホールセル法では、全細胞膜の複数のイオンチャネルを介した電流を記録することが可能である。パッチ膜を介した電流応答を記録するセルアタッチ法やインサイド-アウト法、アウトサイド-アウト法では、イオン透過効率の低いキャリアやポンプを介した電流を記録することはできないが、ホールセル法では全細胞膜におけるそれら電流の総和を記録することができる。ホールセル法では通常[[細胞体]]から記録されるが、細胞体と[[樹状突起]]ではチャネルの分布や特性が違うため、電流電位応答が異なる。樹状突起での微細な電流電位応答を記録するため、樹状突起に電極を当てて記録するdendritic パッチクランプ法もある<ref><pubmed>17406407</pubmed></ref>。
 下記の穿孔パッチ法と区別する時にはコンベンショナルホールセル法ともいう。セルアタッチ法から電極の陰圧をさらに強くすることでパッチ膜を破って穴を開け、電極内と細胞内が繋がる状態がホールセル法である(図2C)。ホールセル法では、全細胞膜の複数のイオンチャネルを介した電流を記録することが可能である。パッチ膜を介した電流応答を記録するセルアタッチ法やインサイド-アウト法、アウトサイド-アウト法では、イオン透過効率の低いキャリアやポンプを介した電流を記録することはできないが、ホールセル法では全細胞膜におけるそれら電流の総和を記録することができる。ホールセル法では通常[[細胞体]]から記録されるが、細胞体と[[樹状突起]]ではチャネルの分布や特性が違うため、電流電位応答が異なる。樹状突起での微細な電流電位応答を記録するため、樹状突起に電極を当てて記録するdendritic パッチクランプ法もある<ref><pubmed>17406407</pubmed></ref>。