「パルミトイル化」の版間の差分

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英語名:palmitoylation
英:palmitoylation 独:Palmitoylierung 仏:palmitoylation


 タンパク質の''S''-パルミトイル化は、16炭素鎖飽和[[wikipedia:ja:脂肪酸|脂肪酸]]である[[wikipedia:ja:パルミチン酸|パルミチン酸]]がタンパク質の[[wikipedia:ja:システイン|システイン]]残基の[[wikipedia:ja:チオール|チオール]]基を介して[[wikipedia:ja:チオエステル|チオエステル]]結合で付加した翻訳後脂質修飾である。パルミトイル化修飾により、タンパク質の[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]が上昇し、[[wikipedia:ja:細胞膜|細胞膜]]や[[wikipedia:ja:細胞内小器官|細胞内小器官]]膜(細胞質内膜)への親和性が上昇する。''S''-パルミトイル化は細胞内タンパク質や[[wikipedia:ja:膜タンパク質|膜タンパク質]]など多くのタンパク質に見られる普遍的な修飾であり、タンパク質の局在や機能の制御に重要な役割を果たしている。''S''-パルミトイル化は可逆的であり、細胞内でダイナミックなパルミトイル化-脱パルミトイル化の修飾サイクルを示す。この''S''-パルミトイル化サイクルによりタンパク質は細胞質、細胞質内膜や細胞膜の間を相互輸送(シャトリング)する。それぞれの反応は[[wikipedia:palmitoyl acyltransferase|''S''-パルミトイルアシル転移酵素]](PAT)と[[wikipedia:PPT1|タンパク質パルミトイルチオエステラーゼ]](PPT)が担うと考えられていたが、近年PATとして、活性部位にDHHC(Asp-His-His-Cys)配列をもつ[[wikipedia:DHHC domain|DHHCタンパク質]]ファミリーが同定され、''S''-パルミトイル化の制御機構が明らかになりつつある。  
 タンパク質の''S''-パルミトイル化は、16炭素鎖飽和[[wikipedia:ja:脂肪酸|脂肪酸]]である[[wikipedia:ja:パルミチン酸|パルミチン酸]]がタンパク質の[[wikipedia:ja:システイン|システイン]]残基の[[wikipedia:ja:チオール|チオール]]基を介して[[wikipedia:ja:チオエステル|チオエステル]]結合で付加した翻訳後脂質修飾である。パルミトイル化修飾により、タンパク質の[[wikipedia:ja:疎水性|疎水性]]が上昇し、[[wikipedia:ja:細胞膜|細胞膜]]や[[wikipedia:ja:細胞内小器官|細胞内小器官]]膜(細胞質内膜)への親和性が上昇する。''S''-パルミトイル化は細胞内タンパク質や[[wikipedia:ja:膜タンパク質|膜タンパク質]]など多くのタンパク質に見られる普遍的な修飾であり、タンパク質の局在や機能の制御に重要な役割を果たしている。''S''-パルミトイル化は可逆的であり、細胞内でダイナミックなパルミトイル化-脱パルミトイル化の修飾サイクルを示す。この''S''-パルミトイル化サイクルによりタンパク質は細胞質、細胞質内膜や細胞膜の間を相互輸送(シャトリング)する。それぞれの反応は[[wikipedia:palmitoyl acyltransferase|''S''-パルミトイルアシル転移酵素]](PAT)と[[wikipedia:PPT1|タンパク質パルミトイルチオエステラーゼ]](PPT)が担うと考えられていたが、近年PATとして、活性部位にDHHC(Asp-His-His-Cys)配列をもつ[[wikipedia:DHHC domain|DHHCタンパク質]]ファミリーが同定され、''S''-パルミトイル化の制御機構が明らかになりつつある。