「パーソナリティー障害」の版間の差分

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==はじめに==
==はじめに==
  パーソナリティ障害の概念は、時代と共に大きく変化しており、現在も変化の途上であるため、現在の概念を、歴史の中に位置づけて理解する必要がある。
 
 パーソナリティ障害の概念は、時代と共に大きく変化しており、現在も変化の途上であるため、現在の概念を、歴史の中に位置づけて理解する必要がある。


==パーソナリティ障害概念についての歴史的概観==
==パーソナリティ障害概念についての歴史的概観==
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 ここでは、パーソナリティ障害のタイプの特徴について概説する。
 ここでは、パーソナリティ障害のタイプの特徴について概説する。
    
    
 DSM- 5第2部のパーソナリティ障害では、10のタイプが措定されている。それらの特徴を表3に示す。ICD-10のパーソナリティ障害タイプは、DSM-5第2部のものとほぼ同じであるが、名称が異なるものはICD-10の名称を括弧に入れて示す。
 DSM-5第2部のパーソナリティ障害では、10のタイプが措定されている。それらの特徴を表3に示す。ICD-10のパーソナリティ障害タイプは、DSM-5第2部のものとほぼ同じであるが、名称が異なるものはICD-10の名称を括弧に入れて示す。
表3.DSM-5 第2部におけるパーソナリティ障害のタイプ
表3.DSM-5 第2部におけるパーソナリティ障害のタイプ
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===生物学的要因===
===生物学的要因===
  精神障害の生物学的要因の基底には、遺伝的要因がある。パーソナリティ障害の遺伝的要因は、その特性が同じ家系の人に見出されることが多い、一卵性双生児で二卵性双生児よりも一致しやすい、といった臨床遺伝学的研究によって確認されている。Torgersen, S.らの双生児研究(2000)では、パーソナリティ障害の遺伝性が0.5~0.6であると算出されている。Silverman, J.M.らの家族研究(1991)では、境界性パーソナリティ障害の感情不安定と衝動性とに家族集積性のあることが認められている[8]。
 精神障害の生物学的要因の基底には、遺伝的要因がある。パーソナリティ障害の遺伝的要因は、その特性が同じ家系の人に見出されることが多い、一卵性双生児で二卵性双生児よりも一致しやすい、といった臨床遺伝学的研究によって確認されている。Torgersen, S.らの双生児研究(2000)では、パーソナリティ障害の遺伝性が0.5~0.6であると算出されている。Silverman, J.M.らの家族研究(1991)では、境界性パーソナリティ障害の感情不安定と衝動性とに家族集積性のあることが認められている[8]。


 神経生理学的研究でもパーソナリティ障害と生物学的特性との間の様々な関連が見いだされている[9]。例えば、反社会性、境界性パーソナリティ障害では、その衝動性がセロトニン系の機能低下と関連しているという知見の報告がある。中枢神経系の画像研究でも多くの知見がもたらされている。例えば、境界性パーソナリティ障害では、帯状束のセロトニン系の反応低下といった辺縁系と前頭葉の回路の機能低下の報告が多くなされている。また、虐待を受けてきた境界性パーソナリティ障害患者において脳下垂体、海馬が小さいという所見も注目されている。
 神経生理学的研究でもパーソナリティ障害と生物学的特性との間の様々な関連が見いだされている[9]。例えば、反社会性、境界性パーソナリティ障害では、その衝動性がセロトニン系の機能低下と関連しているという知見の報告がある。中枢神経系の画像研究でも多くの知見がもたらされている。例えば、境界性パーソナリティ障害では、帯状束のセロトニン系の反応低下といった辺縁系と前頭葉の回路の機能低下の報告が多くなされている。また、虐待を受けてきた境界性パーソナリティ障害患者において脳下垂体、海馬が小さいという所見も注目されている。