「パーソナリティ障害」の版間の差分

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===従来の考え方を踏襲する立場===
===従来の考え方を踏襲する立場===
 DSM-56におけるパーソナリティ障害は、「社会的状況に対する個人の柔軟性を欠く広範な反応パターンであり、…個々の文化における平均的な個人の感じ方、考え方、他者との関わり方から、極端に相違し偏っており、… しばしばさまざまな程度の主観的苦痛や社会的機能の障害を伴っている」ものと定義されている。これは、従来のICD-10,DSM-IVの定義を踏襲するものである。
 DSM-56におけるパーソナリティ障害は、「社会的状況に対する個人の柔軟性を欠く広範な反応パターンであり、…個々の文化における平均的な個人の感じ方、考え方、他者との関わり方から、極端に相違し偏っており、… しばしばさまざまな程度の主観的苦痛や社会的機能の障害を伴っている」ものと定義されている。これは、従来のICD-10,DSM-IVの定義を踏襲するものである。
  さらに、ICD-10 の研究用診断基準(DCR) (1993)や[[DSM-5]]の第二部「診断基準とコード」では、全般的診断基準などとして、パーソナリティ障害の基本的特徴の記述が加えられている。
 
 さらに、ICD-10 の研究用診断基準(DCR) (1993)や[[DSM-5]]の第二部「診断基準とコード」では、全般的診断基準などとして、パーソナリティ障害の基本的特徴の記述が加えられている。


 その要点は、
 その要点は、
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 診断基準の例として[[境界性パーソナリティ障害]]を示そう。その診断基準の項目は、(1) 見捨てられ体験を避ける努力、(2) 不安定な対人関係、(3) 同一性障害、(4) 2種以上の衝動的行動 (但し(5)を含まず)、(5) [[自殺]]の脅かし、自殺未遂または自傷行為の繰り返し、(6) 著明な感情的不安定さ、(7) 慢性的な空虚感、退屈、(8) 不適切で激しい怒り、(9) [[ストレス]]に関連した妄想的念慮もしくは重症の[[解離症]]状であり、その5つ以上が当てはまるならそれが診断されることになる。
 診断基準の例として[[境界性パーソナリティ障害]]を示そう。その診断基準の項目は、(1) 見捨てられ体験を避ける努力、(2) 不安定な対人関係、(3) 同一性障害、(4) 2種以上の衝動的行動 (但し(5)を含まず)、(5) [[自殺]]の脅かし、自殺未遂または自傷行為の繰り返し、(6) 著明な感情的不安定さ、(7) 慢性的な空虚感、退屈、(8) 不適切で激しい怒り、(9) [[ストレス]]に関連した妄想的念慮もしくは重症の[[解離症]]状であり、その5つ以上が当てはまるならそれが診断されることになる。
   他のパーソナリティ障害タイプの診断でも、7~9項目の診断基準が準備され、それぞれに定められた3~5の域値以上の診断基準項目が該当するなら、そのタイプの診断を考慮するという手続きが進められる。
    
 他のパーソナリティ障害タイプの診断でも、7~9項目の診断基準が準備され、それぞれに定められた3~5の域値以上の診断基準項目が該当するなら、そのタイプの診断を考慮するという手続きが進められる。


===DSM-5代替診断基準の考え方===
===DSM-5代替診断基準の考え方===