「ヒストンメチル基転移酵素」の版間の差分

 
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<font size="+1">久能 修、[http://researchmap.jp/kinichinakashima 中島 欽一]</font><br>
<font size="+1">久能 修、[http://researchmap.jp/kinichinakashima 中島 欽一]</font><br>
''九州大学 大学院医学研究院 応用幹細胞医科学部門 基盤幹細胞学分野''<br>
''九州大学 大学院医学研究院 応用幹細胞医科学部門 基盤幹細胞学分野''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2023年5月13日 原稿完成日:2023年5月18日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2023年5月13日 原稿完成日:2023年5月21日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](神戸大学大学院医学研究科・医学部 薬理学分野)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0192882 古屋敷 智之](神戸大学大学院医学研究科・医学部 薬理学分野)<br>
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英略称:HMT
英略称:HMT


{{box|text= ヒストンメチル基転移酵素はヒストンは特定の残基にメチル化する。それにより、遺伝子発現、細胞周期、ゲノムの安定性、核構造の調節など、細胞の重要な機能が制御される。ヒストンメチル基転移酵素はヒストンリジンメチル基転移酵素(KMT)とタンパク質アルギニンメチル基転移酵素(PRMT)の2つに分類され、ヒストンリジンメチル基転移酵素はさらにSETドメイン型と非SETドメイン型に分類される。神経系では、ヒストンメチル基転移酵素はニューロンの発生、成熟、機能、維持に関与しており、その異常な活性化または不活性化は、神経疾患に繋がる。}}
{{box|text= ヒストンメチル基転移酵素はヒストンは特定のアミノ酸残基をメチル化する。それにより、遺伝子発現、細胞周期、ゲノムの安定性、核構造の調節など、細胞の重要な機能が制御される。ヒストンメチル基転移酵素はヒストンリジンメチル基転移酵素(KMT)とタンパク質アルギニンメチル基転移酵素(PRMT)の2つに分類され、ヒストンリジンメチル基転移酵素はさらにSETドメイン型と非SETドメイン型に分類される。神経系では、ヒストンメチル基転移酵素はニューロンの発生、成熟、機能、維持に関与しており、その異常な活性化または不活性化は、神経疾患に繋がる。}}


== 歴史・背景 ==
== 歴史・背景 ==
[[ファイル:Nakashima HMT Fig1.png|サムネイル|'''図1. ヒストンリジンメチル基転移酵素(KMT)のメチル化機構'''<br>AdoMet: S-adenosyl-L-methionine、AdoHcy: S adenosyl-L-homocysteine。文献<ref name=Tsukada2007><pubmed>17763704</pubmed> [https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-07-09.pdf PDF]</ref> より改変。]]
[[ファイル:Nakashima HMT Fig1.png|サムネイル|'''図1. ヒストンリジンメチル基転移酵素(KMT)のメチル化機構'''<br>AdoMet: S-adenosyl-L-methionine、AdoHcy: S adenosyl-L-homocysteine。文献<ref name=Tsukada2007><pubmed>17763704</pubmed> [https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-07-09.pdf PDF]</ref> より改変。]][[ファイル:Nakashima HMT Fig2.png|サムネイル|'''図2. タンパク質アルギニンメチル基転移酵素素(PRMT)のメチル化機構'''<br>AdoMet: S-adenosyl-L-methionine、AdoHcy: S adenosyl-L-homocysteine。文献<ref name=Tsukada2007><pubmed>17763704</pubmed> [https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-07-09.pdf PDF]</ref> より改変。]] 1964年に[[ゲノム]][[DNA]]の[[mRNA]]への[[転写]]が[[ヒストン]]タンパク質の[[リジン]]のε-アミノ基のメチル化によって調節されることが見出された<ref name=Allfrey1964><pubmed>17836360</pubmed></ref>('''図1''')。しかし、[[w:Thomas Jenuwein|Thomas Jenuwein]]らにより、最初の[[ヒストンリジンメチル基転移酵素]]である[[ヒト]]および[[マウス]] [[suppressor of variegation 3-9 homolog1]] ([[SUV39H1]]、[[KMT1A]]としても知られる) が報告されたのは2000年になってからのことであった。その後、[[ショウジョウバエ]]の3つのタンパク質、[[Su(var)3-9]]、[[Enhancer of Zeste]]、[[Trithorax]]が共通して持つ[[SETドメイン]]とのホモロジー検索により、多くのヒストンリジンメチル基転移酵素が同定された<ref name=Dillon2005><pubmed>16086857</pubmed></ref><ref name=Jenuwein2006><pubmed>16857008</pubmed></ref>。
[[ファイル:Nakashima HMT Fig2.png|サムネイル|'''図2. タンパク質アルギニンメチル基転移酵素素(PRMT)のメチル化機構'''<br>AdoMet: S-adenosyl-L-methionine、AdoHcy: S adenosyl-L-homocysteine。文献<ref name=Tsukada2007><pubmed>17763704</pubmed> [https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-07-09.pdf PDF]</ref> より改変。]] 
 1964年に[[ゲノム]][[DNA]]の[[mRNA]]への[[転写]]が[[ヒストン]]タンパク質の[[リジン]]のε-アミノ基のメチル化によって調節されることが見出された<ref name=Allfrey1964><pubmed>17836360</pubmed></ref>('''図1''')。しかし、[[w:Thomas Jenuwein|Thomas Jenuwein]]らにより、最初の[[ヒストンリジンメチル基転移酵素]]である[[ヒト]]および[[マウス]] [[suppressor of variegation 3-9 homolog1]] ([[SUV39H1]]、[[KMT1A]]としても知られる) が報告されたのは2000年になってからのことであった。その後、[[ショウジョウバエ]]の3つのタンパク質、[[Su(var)3-9]]、[[Enhancer of Zeste]]、[[Trithorax]]が共通して持つ[[SETドメイン]]とのホモロジー検索により、多くのヒストンリジンメチル基転移酵素が同定された<ref name=Dillon2005><pubmed>16086857</pubmed></ref><ref name=Jenuwein2006><pubmed>16857008</pubmed></ref>。


 一方、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素は、ヒストンやその他のタンパク質のアルギニン残基のメチル化を触媒することによって様々な生物学的プロセスに関与する('''図2''')。ヒストンタンパク質のアルギニン残基のメチル化が発見された1967年以降から現在までに哺乳類で9つが同定されている。
 一方、タンパク質アルギニンメチル基転移酵素は、ヒストンやその他のタンパク質のアルギニン残基のメチル化を触媒することによって様々な生物学的プロセスに関与する('''図2''')。ヒストンタンパク質のアルギニン残基のメチル化が発見された1967年以降から現在までに哺乳類で9つが同定されている。
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 共通のメチルトランスフェラーゼ(MTase)ドメインを持つ。また一部には、[[リン酸化]]や[[酸化]]などの修飾を介してシグナル伝達に関与するドメインを持つものも存在する<ref name=Lee2005><pubmed>16051612</pubmed></ref><ref name=Iwasaki2007><pubmed>17971302</pubmed></ref>。
 共通のメチルトランスフェラーゼ(MTase)ドメインを持つ。また一部には、[[リン酸化]]や[[酸化]]などの修飾を介してシグナル伝達に関与するドメインを持つものも存在する<ref name=Lee2005><pubmed>16051612</pubmed></ref><ref name=Iwasaki2007><pubmed>17971302</pubmed></ref>。


 メチル化機構の様式によりタイプI([[PRMT1]]~[[PRMT4|4]], [[PRMT6|6]], [[PRMT8|8]]; PRMT4は[[CARM1]]とも呼ばれる)、タイプII(PRMT5, 9)、タイプIII(PRMT7)に分類される。タイプIとIIの タンパク質アルギニンメチル基転移酵素のみが、モノメチル化されたアルギニンをさらに二次メチル化する触媒作用を持ち、タイプIIIタンパク質アルギニンメチル基転移酵素はモノメチル化活性のみが知られている<ref name=Hashimoto2021><pubmed>33127433</pubmed></ref>。タイプIとIIの違いは、タイプIは非対称型ジメチルアルギニン(ADMA)を形成し、タイプIIは対称型ジメチルアルギニン(SDMA)を形成する点である('''図2''')。タイプI タンパク質アルギニンメチル基転移酵素のうち,PRMT1は[[哺乳類]]において85%のADMAの生合成を担っている<ref name=Tang2000><pubmed>10713084</pubmed></ref>。
 メチル化機構の様式によりタイプI([[PRMT1]]~[[PRMT4|4]], [[PRMT6|6]], [[PRMT8|8]]; PRMT4は[[CARM1]]とも呼ばれる)、タイプII(PRMT5, [[PRMT9|9]])、タイプIII([[PRMT7]])に分類される。タイプIとIIの タンパク質アルギニンメチル基転移酵素のみが、モノメチル化されたアルギニンをさらに二次メチル化する触媒作用を持ち、タイプIIIタンパク質アルギニンメチル基転移酵素はモノメチル化活性のみが知られている<ref name=Hashimoto2021><pubmed>33127433</pubmed></ref>。タイプIとIIの違いは、タイプIは非対称型ジメチルアルギニンを形成し、タイプIIは対称型ジメチルアルギニン(SDMA)を形成する点である('''図2''')。タイプI タンパク質アルギニンメチル基転移酵素のうち,PRMT1は[[哺乳類]]において85%の非対称型ジメチルアルギニンの生合成を担っている<ref name=Tang2000><pubmed>10713084</pubmed></ref>。


{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
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|-
|-
!rowspan="3"|ヒストンリジンメチル基転移酵素(SETドメイン型)  
!rowspan="3"|ヒストンリジンメチル基転移酵素(SETドメイン型)  
|rowspan="3"|H4K20 ||[[SETD8]](me1)
|rowspan="3"|H4K20 ||[[SETD8]] (me1)
|-
|-
||[[SUV420H1]] (me2, me3)
||[[SUV420H1]] (me2, me3)
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|[[SUV420H2]] (me2, me3)
|[[SUV420H2]] (me2, me3)
|-
|-
!rowspan="11"|タンパク質アルギニンメチル基転移酵素
!rowspan="13"|タンパク質アルギニンメチル基転移酵素
|rowspan="4"|H3R2 ||[[CARM1]] (me1, me2(a))
|rowspan="4"|H3R2 ||[[CARM1]] ([[PRMT4]]) (me1, me2(a))
|-
|-
|[[PRMT5]] (me1, me2(s))
|[[PRMT5]] (me1, me2(s))
113行目: 111行目:
|H3R26 ||CARM1 (me1, me2(a))
|H3R26 ||CARM1 (me1, me2(a))
|-
|-
|rowspan="4"|H4R3 ||[[PRMT1]] (me1, me2(a))
|rowspan="3"|H4R3 ||[[PRMT1]] (me1, me2(a))
|-
|-
|PRMT5 (me1, me2(s))
|PRMT5 (me1, me2(s))
119行目: 117行目:
|PRMT6 (me1, me2(a))
|PRMT6 (me1, me2(a))
|-
|-
|PRMT7 (me1, me2(s))
|rowspan="2"|未同定||[[PRMT2]]
|-
|[[PRMT3]]
|}
|}
凡例:me1, me2, me3はそれぞれモノメチル化、ジメチル化、トリメチル化を表す。<br>
(s)は対称 (symmetric), (a)は非対称 (asymmetric) なジメチル化を表す。<br>
それぞれのメチル化機構は'''図1'''にまとめた。


==組織・細胞分布 ==
==組織・細胞分布 ==
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 一方、Setdb1遺伝子が欠損すると、[[シナプス形成]]に重要な[[IL1RAPL1]](Interleukin-1 receptor accessory protein-like 1)遺伝子の[[エンハンサー]]が活性化され、その発現が亢進する<ref name=Sun2018><pubmed>30103804</pubmed></ref><ref name=Markouli2021><pubmed>33279625</pubmed></ref>。この遺伝子の発現亢進が[[自閉スペクトラム症]]を含む精神・神経疾患の原因である可能性が示されている。  
 一方、Setdb1遺伝子が欠損すると、[[シナプス形成]]に重要な[[IL1RAPL1]](Interleukin-1 receptor accessory protein-like 1)遺伝子の[[エンハンサー]]が活性化され、その発現が亢進する<ref name=Sun2018><pubmed>30103804</pubmed></ref><ref name=Markouli2021><pubmed>33279625</pubmed></ref>。この遺伝子の発現亢進が[[自閉スペクトラム症]]を含む精神・神経疾患の原因である可能性が示されている。  


 また、レット症候群の原因遺伝子[[Mecp2]]との関与も報告されており、レット症候群のモデル動物であるMecp2ノックアウトマウスの、ニューロンにおけるSetdb1を介したH3K9の過度なメチル化は、MeCP2の欠損のみによる表現型を、さらに悪化させることがわかっている<ref name=Jiang2011><pubmed>20869373</pubmed></ref>。
 また、[[レット症候群]]の原因遺伝子[[Mecp2]]との関与も報告されており、レット症候群のモデル動物であるMecp2ノックアウトマウスの、ニューロンにおけるSetdb1を介したH3K9の過度なメチル化は、MeCP2の欠損のみによる表現型を、さらに悪化させることがわかっている<ref name=Jiang2011><pubmed>20869373</pubmed></ref>。


====タンパク質アルギニンメチル基転移酵素ファミリー====
====タンパク質アルギニンメチル基転移酵素ファミリー====
 Prmt1が神経系疾患に関与していることが報告されている。[[fused in sarcoma]] ([[FUS]])遺伝子の変異は[[筋萎縮性側索硬化症]] ([[amyotrophic lateral sclerosis]], [[ALS)]]の原因の1つであり、[[前頭側頭型認知症]] ([[frontotemporal dementia]], [[FTD]])にも関与するが、Prmt1をノックアウトするとこれらの疾患に関連するFUS変異体による[[細胞毒性]]が増強される<ref name=Vance2009><pubmed>19251628</pubmed></ref><ref name=Tradewell2012><pubmed>21965298</pubmed></ref><ref name=Yamaguchi2012><pubmed>23152885</pubmed></ref>。この結果から、Prmt1がFUSのメチル化を介して、細胞内での凝集体形成や細胞毒性の抑制に寄与することが示唆されている。
 Prmt1が神経系疾患に関与していることが報告されている。[[fused in sarcoma]] ([[FUS]])遺伝子の変異は[[筋萎縮性側索硬化症]] ([[amyotrophic lateral sclerosis]], [[ALS]])の原因の1つであり、[[前頭側頭型認知症]] ([[frontotemporal dementia]], [[FTD]])にも関与するが、Prmt1をノックアウトするとこれらの疾患に関連するFUS変異体による[[細胞毒性]]が増強される<ref name=Vance2009><pubmed>19251628</pubmed></ref><ref name=Tradewell2012><pubmed>21965298</pubmed></ref><ref name=Yamaguchi2012><pubmed>23152885</pubmed></ref>。この結果から、Prmt1がFUSのメチル化を介して、細胞内での凝集体形成や細胞毒性の抑制に寄与することが示唆されている。


 さらにPrmt1 は、アポトーシス促進性の[[BCL-2 antagonist of cell death]]([[BAD]])タンパク質をメチル化することにより[[Akt]]からのリン酸化を阻害し、その結果アポトーシスを亢進させることが示されている<ref name=Sakamaki2011><pubmed>21444773</pubmed></ref>。最近の報告によると、[[Btg1]]ノックアウト[[髄芽腫]]モデルマウスでは、Prmt1の発現が増加し、このPrmt1-BAD軸を介して腫瘍のアポトーシスを亢進することで、腫瘍の発生を抑制している。<ref name=Ceccarelli2020><pubmed>32231994</pubmed></ref>。一方で[[神経膠腫]]細胞株においてPrmt1をノックダウンすると、細胞周期が停止し、アポトーシスに至った<ref name=Wang2012><pubmed>22917032</pubmed></ref>。これらの結果は、Prmt1が様々な種類の腫瘍細胞において異なる機能を果たす可能性を示唆している。
 さらにPrmt1 は、アポトーシス促進性の[[BCL-2 antagonist of cell death]]([[BAD]])タンパク質をメチル化することにより[[Akt]]からのリン酸化を阻害し、その結果アポトーシスを亢進させることが示されている<ref name=Sakamaki2011><pubmed>21444773</pubmed></ref>。最近の報告によると、[[Btg1]]ノックアウト[[髄芽腫]]モデルマウスでは、Prmt1の発現が増加し、このPrmt1-BAD軸を介して腫瘍のアポトーシスを亢進することで、腫瘍の発生を抑制している。<ref name=Ceccarelli2020><pubmed>32231994</pubmed></ref>。一方で[[神経膠腫]]細胞株においてPrmt1をノックダウンすると、細胞周期が停止し、アポトーシスに至った<ref name=Wang2012><pubmed>22917032</pubmed></ref>。これらの結果は、Prmt1が様々な種類の腫瘍細胞において異なる機能を果たす可能性を示唆している。
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====タンパク質アルギニンメチル基転移酵素====
====タンパク質アルギニンメチル基転移酵素====
 タンパク質アルギニンメチル基転移酵素の過剰発現によってがんの増殖と転移を促進するとの報告がある。PRMT1は、[[急性骨髄性白血病]]における白血病細胞の増殖を促進することが示されており<ref name=He2019><pubmed>31217189</pubmed></ref><ref name=Zhu2019><pubmed>31395602</pubmed></ref><ref name=Liu2019><pubmed>31667013</pubmed></ref> 、他の研究では、PRMT1 の過剰発現によってE-カドへリンと [[Twist1]]([[Twist family BHLH transcription factor 1]])のメチル化を介して肺がんの転移と浸潤を促進する<ref name=Avasarala2015><pubmed>25847239</pubmed></ref>。またPRMT1が[[c-GAS]]のアルギニン残基をメチル化して二量体化を阻害し、腫瘍細胞において、[[自然免疫]]経路であるc-GAS/[[STING]]シグナルを抑制することで、腫瘍化を促進することも報告された<ref name=Liu2023><pubmed>37193698</pubmed></ref>。PRMT5 については、[[上皮成長因子]] ([[epidermal growth factor]], [[EGFR]])/ AKT / [[β-カテニン]]シグナル伝達経路を介して[[膵臓がん]]細胞の悪性度を高める<ref name=Ge2020><pubmed>31851779</pubmed></ref>。
 タンパク質アルギニンメチル基転移酵素の過剰発現によってがんの増殖と転移を促進するとの報告がある。PRMT1は、[[急性骨髄性白血病]]における白血病細胞の増殖を促進することが示されており<ref name=He2019><pubmed>31217189</pubmed></ref><ref name=Zhu2019><pubmed>31395602</pubmed></ref><ref name=Liu2019><pubmed>31667013</pubmed></ref> 、他の研究では、PRMT1 の過剰発現によってE-カドへリンと [[Twist1]]([[Twist family BHLH transcription factor 1]])のメチル化を介して肺がんの転移と浸潤を促進する<ref name=Avasarala2015><pubmed>25847239</pubmed></ref>。またPRMT1が[[c-GAS]]のアルギニン残基をメチル化して二量体化を阻害し、腫瘍細胞において、[[自然免疫]]経路であるc-GAS/[[STING]]シグナルを抑制することで、腫瘍化を促進することも報告された<ref name=Liu2023><pubmed>37193698</pubmed></ref>。PRMT5 については、[[上皮成長因子受容体]] ([[epidermal growth factor receptor]], [[EGFR]])/ AKT / [[β-カテニン]]シグナル伝達経路を介して[[膵臓がん]]細胞の悪性度を高める<ref name=Ge2020><pubmed>31851779</pubmed></ref>。


==関連語==
==関連語==