「フェロモン受容体」の版間の差分

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==== 機能 ====
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 V2Rはタンパク質あるいはペプチド性のフェロモンを受容する。現在マウスにおいて、V2Rとフェロモンの対応づけがなされているのは、Touharaらのグループが報告したV2Rp5とオスマウスが分泌する眼窩外涙腺由来ペプチドESP1のみである。ESP1はオスの涙中に分泌される7 kDaのペプチド性のフェロモンであり、V2Rp5のみによって受容される。ESP1の情報は脳内で性的二型に処理され、メスとオスで異なる効果をもたらす。ESP1はメスにおいてオス受け入れ行動(ロードシス反射)を促進し、オスでは攻撃行動を亢進する<ref name=Haga2010><ref><pubmed>27151664</pubmed></ref><ref><pubmed>28648498</pubmed></ref>24,31,32。さらにESP1は流産を引き起こすブルース効果にも関与することが報告されている33。
 V2Rはタンパク質あるいはペプチド性のフェロモンを受容する。現在マウスにおいて、V2Rとフェロモンの対応づけがなされているのは、Touharaらのグループが報告したV2Rp5とオスマウスが分泌する眼窩外涙腺由来ペプチドESP1のみである。ESP1はオスの涙中に分泌される7 kDaのペプチド性のフェロモンであり、V2Rp5のみによって受容される。ESP1の情報は脳内で性的二型に処理され、メスとオスで異なる効果をもたらす。ESP1はメスにおいてオス受け入れ行動(ロードシス反射)を促進し、オスでは攻撃行動を亢進する<ref name=Haga2010/><ref><pubmed>27151664</pubmed></ref><ref><pubmed>28648498</pubmed></ref>24,31,32。さらにESP1は流産を引き起こすブルース効果にも関与することが報告されている<ref><pubmed>29033330</pubmed></ref>33。
 他にもV2Rによって受容されるフェロモンは数例報告されているが、それらの受容体は同定されていない<ref name=Chamero2007/><ref><pubmed>24766811</pubmed></ref><ref><pubmed>24089208</pubmed></ref>29,34,35。またV2RもV1Rと同様に他種由来の化学シグナルを受容する<ref name=Isogai2011/>19。例えば天敵であるネコの唾液由来のタンパク質を受容すると忌避行動が生じることが報告されている36。
 他にもV2Rによって受容されるフェロモンは数例報告されているが、それらの受容体は同定されていない<ref name=Chamero2007/><ref><pubmed>24766811</pubmed></ref><ref><pubmed>24089208</pubmed></ref>29,34,35。またV2RもV1Rと同様に他種由来の化学シグナルを受容する<ref name=Isogai2011/>19。例えば天敵であるネコの唾液由来のタンパク質を受容すると忌避行動が生じることが報告されている36。