「ホスホリパーゼC」の版間の差分

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=== PIP<sub>2</sub>  ===
=== PIP<sub>2</sub>  ===


 多くのタンパク質は特定の[[イノシトールリン脂質]](PIP<sub>2</sub>を含む)を認識するドメインを有しており、よってPIP<sub>2</sub>の濃度変化はそれらのタンパク質の機能に影響をおよぼしうる<ref><pubmed>15922587</pubmed></ref>。PIP<sub>2</sub>により活性が高められることが報告されているチャネルには、[[内向き整流K+チャネル|内向き整流K<sup>+</sup>チャネル]](Kir1, Kir2, Kir3, Kir6)、N型[[電位依存性Ca2+チャネル|電位依存性Ca<sup>2+</sup>チャネル]]、[[M電流]]を担うK<sup>+</sup>チャネル([[Mチャネル]]、KCNQ/Kv7)、[[TRP]](transient receptor potential)ファミリー(TRPV1, TRPM5, TRPM7, TRPM8)、[[リアノジン受容体]]、などがある。M1[[ムスカリン性アセチルコリン受容体]]刺激によるMチャネルの抑制は、PIP<sub>2</sub>減少によると考えられている。  
 多くのタンパク質は特定の[[イノシトールリン脂質]]([[PIP2|PIP<sub>2</sub>]]を含む)を認識するドメインを有しており、よってPIP<sub>2</sub>の濃度変化はそれらのタンパク質の機能に影響をおよぼしうる<ref><pubmed>15922587</pubmed></ref>。PIP<sub>2</sub>により活性が高められることが報告されているチャネルには、[[内向き整流K+チャネル|内向き整流K<sup>+</sup>チャネル]]([[Kir1]], [[Kir2]], [[Kir3]], [[Kir6]])、N型[[電位依存性Ca2+チャネル|電位依存性Ca<sup>2+</sup>チャネル]]、[[M電流]]を担うK<sup>+</sup>チャネル([[Mチャネル]]、KCNQ/Kv7)、[[TRPチャネル]](transient receptor potential channel)ファミリー([[TRPV1]], [[TRPM5]], [[TRPM7]], [[TRPM8]])、[[リアノジン受容体]]、などがある。M1[[ムスカリン性アセチルコリン受容体]]刺激によるMチャネルの抑制は、PIP<sub>2</sub>減少によると考えられている。


=== IP<sub>3</sub>  ===
=== IP<sub>3</sub>  ===
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=== 静止膜電位の変化  ===
=== 静止膜電位の変化  ===


 ムスカリン受容体刺激は細胞のタイプや条件によりさまざまな[[膜電位]]変化(単相性の脱分極、単相性の[[過分極]]、両者が混ざったもの)をもたらす<ref><pubmed>16770798</pubmed></ref>。脱分極のメカニズムとしては、非選択性陽イオンチャネルの活性化<ref><pubmed>11856534</pubmed></ref>とK<sup>+</sup>チャネルの抑制<ref><pubmed>10407010</pubmed></ref>とがある。非選択性陽イオンチャネルの分子実態は不明であるが、TRPファミリーの一員である可能性が高く、TPRC4およびTRPC5の関与が示唆されている<ref><pubmed>17593972</pubmed></ref>。これらのチャネルの活性化経路は不明であるが、PLCの下流の何らかのシグナルが関与していると考えられる。ムスカリン受容体刺激により抑制されるK<sup>+</sup>チャネルは主にMチャネルであるが<ref><pubmed>6128061</pubmed></ref>、内向き整流K<sup>+</sup>チャネルやその他のK<sup>+</sup>チャネルの関与も示唆されている<ref><pubmed>20433901</pubmed></ref>。メカニズムとしては、少なくともMチャネルの場合は、PIP<sub>2</sub>減少の関与の可能性が高い<ref><pubmed>20446119</pubmed></ref>。過分極のメカニズムとしては、IP<sub>3</sub>を介する細胞内Ca<sup>2+</sup>濃度上昇により、[[アパミン]]感受性のCa<sup>2+</sup>依存性K<sup>+</sup>チャネル([[SKチャネル]])が活性化されることが考えられる<ref><pubmed>17407133</pubmed></ref>。  
 ムスカリン受容体刺激は細胞のタイプや条件によりさまざまな[[膜電位]]変化(単相性の脱分極、単相性の[[過分極]]、両者が混ざったもの)をもたらす<ref><pubmed>16770798</pubmed></ref>。脱分極のメカニズムとしては、非選択性陽イオンチャネルの活性化<ref><pubmed>11856534</pubmed></ref>とK<sup>+</sup>チャネルの抑制<ref><pubmed>10407010</pubmed></ref>とがある。非選択性陽イオンチャネルの分子実態は不明であるが、TRPファミリーの一員である可能性が高く、TPRC4およびTRPC5の関与が示唆されている<ref><pubmed>17593972</pubmed></ref>。これらのチャネルの活性化経路は不明であるが、PLCの下流の何らかのシグナルが関与していると考えられる。ムスカリン受容体刺激により抑制されるK<sup>+</sup>チャネルは主にMチャネルであるが<ref><pubmed>6128061</pubmed></ref>、内向き整流K<sup>+</sup>チャネルやその他のK<sup>+</sup>チャネルの関与も示唆されている<ref><pubmed>20433901</pubmed></ref>。メカニズムとしては、少なくともMチャネルの場合は、PIP<sub>2</sub>減少の関与の可能性が高い<ref><pubmed>20446119</pubmed></ref>。過分極のメカニズムとしては、IP<sub>3</sub>を介する細胞内Ca<sup>2+</sup>濃度上昇により、[[アパミン]]感受性の[[カルシウム依存性カリウムチャネル|Ca<sup>2+</sup>依存性K<sup>+</sup>チャネル]]([[SKチャネル]])が活性化されることが考えられる<ref><pubmed>17407133</pubmed></ref>。


=== 後脱分極  ===
=== 後脱分極  ===

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