「マイクロカラム」の版間の差分

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== 他の構造との関連 ==
== 他の構造との関連 ==
 大脳皮質の発生において、マイクロカラムに似た細いカラム状のクラスターがギャップ結合を形成している可能性を示唆する報告が1990年代にあった14, 15。第5層におけるこのクラスターがマイクロカラムと一致している可能性がある。ギャップ結合で結合したクラスターは第5層以外の皮質層にも観察されているため、これらの層にもマイクロカラムに類似した構造が存在する可能性がある。
 大脳皮質の発生において、マイクロカラムに似た細いカラム状のクラスターがギャップ結合を形成している可能性を示唆する報告が1990年代にあった<ref><pubmed>1496379</pubmed></ref><ref><pubmed>8427699</pubmed></ref>14, 15。第5層におけるこのクラスターがマイクロカラムと一致している可能性がある。ギャップ結合で結合したクラスターは第5層以外の皮質層にも観察されているため、これらの層にもマイクロカラムに類似した構造が存在する可能性がある。


 マイクロカラムは発生上近縁でない細胞から形成されている<ref name=Maruoka2011/>10。一方、発生上近縁な興奮性細胞は、マイクロカラムでギャップ結合が見られる時期より早い時期に一過的にギャップ結合を持つことが知られている16。発生上近縁な興奮性細胞は後に相互にシナプス結合し類似した視覚応答特性を示す16–18。従って、発生上近縁でない細胞からなるマイクロカラムと、発生上近縁な細胞からなる回路の両方が存在し異なる機能を担っている可能性がある。
 マイクロカラムは発生上近縁でない細胞から形成されている<ref name=Maruoka2011/>10。一方、発生上近縁な興奮性細胞は、マイクロカラムでギャップ結合が見られる時期より早い時期に一過的にギャップ結合を持つことが知られている16。発生上近縁な興奮性細胞は後に相互にシナプス結合し類似した視覚応答特性を示す<ref><pubmed>22678291 </pubmed></ref><ref><pubmed>22794261 </pubmed></ref><ref><pubmed>22678292</pubmed></ref>16–18。従って、発生上近縁でない細胞からなるマイクロカラムと、発生上近縁な細胞からなる回路の両方が存在し異なる機能を担っている可能性がある。


 [[ネコ]]や[[サル]]の視覚野には眼優位性あるいは方位選択性の類似した細胞からなる皮質カラムが存在し、それぞれ眼優位性カラムおよび方位選択性カラムと呼ばれている。眼優位性カラムの幅は細胞数十個分ほどでありマイクロカラムよりはるかに大きい。また、隣り合った方位選択性カラムが応答する刺激方位は似ているが、隣り合ったマイクロカラムが応答する刺激方位は似ていない。
 [[ネコ]]や[[サル]]の視覚野には眼優位性あるいは方位選択性の類似した細胞からなる皮質カラムが存在し、それぞれ眼優位性カラムおよび方位選択性カラムと呼ばれている。眼優位性カラムの幅は細胞数十個分ほどでありマイクロカラムよりはるかに大きい。また、隣り合った方位選択性カラムが応答する刺激方位は似ているが、隣り合ったマイクロカラムが応答する刺激方位は似ていない。


 皮質カラムとマイクロカラムのこのような違いは、方位選択性や眼優位性の似たマイクロカラムが近傍に並ぶことによって皮質カラムが形成されていれば説明できる。実際、方位選択性カラムが六方格子状の周期構造を持つ可能性が示唆されている19。
 皮質カラムとマイクロカラムのこのような違いは、方位選択性や眼優位性の似たマイクロカラムが近傍に並ぶことによって皮質カラムが形成されていれば説明できる。実際、方位選択性カラムが六方格子状の周期構造を持つ可能性が示唆されている<ref><pubmed>21623365 </pubmed></ref>19。


== 文献 ==
== 文献 ==