モデル動物

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青山 曜、高橋 英機
国立研究開発法人理化学研究所 脳科学総合研究センター
DOI:10.14931/bsd.6425 原稿受付日:2015年9月1日 原稿完成日:2015年月日
担当編集委員:宮川 剛(藤田保健衛生大学)

英語名:model animal 独:Modelltier 仏:modèle animal

類義語:動物モデル 

 モデル動物は動物実験に役立つ動物とされ、動物実験の大きな目的は得られたデータをヒトヘ当てはめる外挿である。外挿の研究というと従来は、比較形態、比較解剖、比較生理、比較代謝など実験動物とヒトと間の正常な形質の比較が主であった。しかし近年では遺伝子工学の発展に伴い、ヒトの疾患の原因や成因の究明、症状や病態の解析、診断や治療法の確立のために利用される疾患モデル動物を用いた研究が多く行われている。疾患モデル動物の研究成果を効果的にヒトヘ外挿することを考えるとき、まず、遺伝子配列部位の相違、変異遺伝子の機能変化の相違、病態の相違の解明、に加え動物種差を考慮する必要がある。個々のモデル動物を用いてヒトの形質との相違についての全てを解明するには多くの時間と努力が必要であるが、これらの一つ一つの知見をデータベース化し研究者に提供できるようにすることは、モデル動物の研究成果のヒトヘの外挿に大きな力となると思われる。

 モデル動物を使用する際の研究コストには、各種モデル動物を専門業者から入手するための購入費用や飼育環境を維持するための飼育費用などがある。モデル動物の価格は、一般的なマウスやラットは1匹あたり数百円〜数千円程度であるのに対し、コモンマーモセットやアカゲザルなどのサル類は1頭あたり30~50万円程度である。線虫やショウジョウバエなどは飼育・保管のために必要なスペースは少なくて済み実験室の一区画での飼育が可能であるが、マウスやラットを飼育するためには、専用の飼育室や飼育ラックを準備する必要がある。またサル類ではさらに広い飼育スペースが必要となり、専門の飼育技術を持つ飼育技術者を準備する必要がある。このように動物実験では必要となる研究コストや飼育スペースの確保を考慮し使用するモデル動物を選択する必要がある。

実験動物と動物実験について

実験動物

 実験動物とは、学術的研究や病気の診断、治療法の開発等の科学上の目的のために、維持、繁殖、供給される動物のことであり、動物実験に利用される。動物実験では、いくつかの群を比較しその違いが優位であることを統計学的に示す必要があり、1つの群には複数の動物を使用する。しかし、同じ群に含まれる動物に個体差がある場合は同じ群の中で個々の動物の実験結果に差異が生じ、群同士の比較を行った際に、その結果が群の違いによるものであるかどうかの判別が不可能となる。そのため再現性の高い動物実験の結果を得るためには、実験動物の遺伝的背景をコントロールする場合がある。遺伝的背景のコントロールの違いによりマウスやラットでは近交系とクローズドコロニーの二つに大別される。近交系は兄妹交配を20世代以上継続して維持している系統であり、理論上、遺伝子組成の中のホモ接合性は 99%以上となり系統内のすべての個体は同じ遺伝子組成をもつ。近交系を用いた遺伝子機能解析では再現性の高い実験が可能であり、遺伝子改変動物の背景系統として近交系は広く利用されている。クローズドコロニーは5年以上外部からの個体の導入がなく、一定の集団内のみで繁殖を続けている動物群であり、集団内での遺伝的な隔たりが生じないように、世代ごとの計画的なランダム交配により維持されている系統である。各個体の遺伝的性質にはばらつきはあるが、系統としては固有の遺伝的性質を示すため、個体としてではなく群として扱う薬物の検定試験などに適している。マウスやラットでは遺伝的背景のコントロールの違いにより多くの系統が樹立されており、動物実験に供される系統の選択がその後の実験結果や精度に大きく影響するので、系統の選択は非常に大切である。この一方でマウスやラット以外の実験動物、例えばサル類(コモンマーモセット、カニクイザル、アカゲザルなど)などでは遺伝的背景のコントロールは殆んどされていない。

 実験動物の飼育環境も動物実験の成績に大きな影響を与えるためそのコントロールは非常に大切である。飼育環境を均一にするためには特に、環境因子(温度、湿度、換気など)、栄養因子(飼料、飲料水など)、生物因子(感染性微生物など)への注意が必要である。これらのコントロールが正確に行われているかどうかを確認するためには、定期的に一部の動物を用いて遺伝的モニタリングや微生物モニタリングを行う必要がある。

遺伝子改変動物

 遺伝子改変動物は遺伝子の機能を個体レベルで解析する系として多数作られており、生命現象の解明に極めて有用な実験動物である。遺伝子改変動物には、突然変異による特定の遺伝子や染色体の異常に伴い様々な異常を示す自然発症動物と人為的に遺伝子操作を行って塩基配列に変異を導入する遺伝子組換え動物がある。自然発症動物は、偶発的に生じた異常形質を持つ個体を系統化することで多くの疾患モデル系統が樹立されている。外来遺伝子を人為的に挿入した遺伝子組換え動物であるトランスジェニックマウス作出の最初の報告は、1980年のGordonらによる現在も主流となっているマイクロインジェクション法によるものである[1]。1982年にはメタロチオネインプロモーターでラット成長ホルモン遺伝子をマウスで発現させたことにより巨大化したトランスジェニックマウスがPalmiter、BrinsterらによりNature誌で発表された[2]。この論文は人為的に導入された外来遺伝子が生体内で機能することを初めて具体的に示した例でもある。同じ1982年には、ショウジョウバエでもトランスポゾンが自身のDNAをゲノム中に挿入する性質を利用したトランスジェニックショウジョウバエの作製がScience 誌上で報告されている[3]。次に内在遺伝子の機能が無効化されたマウスであるノックアウトマウスの作製が報告された。最初のノックアウトマウスは、2007年にノーベル生理学・医学賞を受賞したEvansCapecchiSmithiesらの相同組換え法の応用により1988年に誕生した[4]。遺伝子組換え動物はマウスでは次々と作製され遺伝子機能の研究が大いに発展した。2009年にウイルスベクターを応用した霊長類初の遺伝子組換え動物としてトランスジェニックマーモセットの作製がNature誌に報告された[5]

 近年ではゲノム編集技術[6]が進み、CRISPR/Cas法による遺伝子改変の成功がマウス[7]だけではなく、線虫[8]、ゼブラフィッシュ[9]、ラット[10]、ウサギ[11]、ミニブタ[12]、カニクイザル[13]においても報告されている。

動物実験

 動物実験とは動物を利用して情報を得る実験のことである。動物に何らかの処置を加え、その処置に対する反応を統計学的に比較検討して情報を得る。2006年「動物の愛護及び管理に関する法律」改正時に動物実験の倫理原則である3Rが追加された。3Rは下記の3種類の単語の頭文字Rから由来し、動物福祉の視点から実験動物の取扱いには十分な配慮が必要であり、3Rを十分に考慮した動物実験の計画を立てる必要がある。

  • Replacement(代替法の利用)

 培養細胞を用いたin vitro実験やショウジョウバエなどの発生的に下位の動物種に変更できないかを検討する。

  • Reduction(使用動物数の削減

 不必要な実験を行っていないかどうか、統計学上必要最低限の動物数で実験を行っているか、など可能な限り使用する動物数を減らすことを検討する。

  • Refinement(苦痛の軽減)

 適切な飼育環境であること、動物実験を行う際には必要に応じた麻酔処置を行うこと、適切な安楽死処置を行うこと、など動物に不要な苦痛を与えないことを検討する。  

各種実験動物について

Caenorhabditis elegans

 Caenorhabditis elegansは、分類学上は線形動物門に属する。単に実験動物として線虫というと、この種を指すことが多い。成虫の体長は約1mmで雌雄同体である。全ての神経細胞が同定されており、電子顕微鏡での解析により神経細胞同士の接続関係が解明されている。多細胞生物として初めて全ゲノム配列が解読された種であり、遺伝子発現調節領域に連結させたマーカー遺伝子を発現させることにより発生研究などを行うのに適したモデル動物である。

ショウジョウバエ

 線形動物門に属するハエ目双翅目ショウジョウバエ科Drosophilidae)に属するハエの一種であるキイロショウジョウバエDrosophila melanogaster)が研究によく用いられている。ショウジョウバエは飼育が容易で、体長2〜3 mmで世代間隔は10日と短い生活環であり、寿命は約2か月である。多細胞生物としては線虫に次いで二番目に全ゲノム配列が解読された。ショウジョウバエは、夜(暗期)には哺乳類の睡眠に類似した行動を示すサーカディアンリズム概日周期)を刻み、この周期が変化する変異体が得られている。また記憶学習に関係する遺伝子が同定され記憶や学習に関与する脳神経回路の解析に用いられている。

ヤリイカ

 ヤリイカHeterololigo bleekeri)は、分類学上は軟体動物門ヤリイカ科に属するイカの一種である。イカ類は飼育が非常に難しいとされていたが、1975年に人工飼育が成功し実験動物としての利用が容易となった。非常に太い神経線維と、巨大なシナプスを持っているため、神経生理学分野でのモデル生物として用いられる。

アフリカツメガエル

 アフリカツメガエルXenopus laevis)は、分類学上はピパ科クセノプス属カエルの一種である。成体も水中で生活し、他のカエルと異なり生き餌を必要せず人工飼料で飼育が容易である。は他の脊椎動物卵と比較してサイズが大きく、操作が容易であることから、特に発生学の分野において有用なモデル動物である。

ゼブラフィッシュ

 ゼブラフィッシュDanio rerio)は、分類学上ではコイ目コイ科ラスボラ亜科に属し、体長5cm ほどの小型の魚である。生活環は約3か月で寿命は約5年である。雑食であるため飼育が容易であること、多産であり1組の雌雄から数百個の卵を得ることができること、得られた卵が透明であり発生が早いこと(受精後24時間で器官形成がほぼ終了し、数日で孵化する)、などの特徴をもつ。2013年に全ゲノム解読が完了し、胚の観察や遺伝子改変が比較的容易であることから、様々な遺伝子改変ゼブラフィッシュが作製され研究に利用されている。

キンカチョウ

 キンカチョウTaeniopygia guttata)はスズメ目カエデチョウ科に分類される鳥の一種で、体長は10~11cmで寿命は約5年である。性成熟は3ヶ月、1回の産卵数は5~6個、排卵日数は約16日、巣立ちには約21日かかる。キンカチョウは歌を歌う鳥として、発声学習の研究に適したモデル動物として用いられている。

マウス

 分類学上では、ハツカネズミ属ハツカネズミMus musculus)が該当する。成熟マウスの体重は約20〜30gで寿命は約2年である。性周期は約4日で1年中繁殖が可能である。妊娠期間は約19日、1回の産子数は10〜14匹、哺乳期間は約4週間である。6〜8週間で性成熟し繁殖が可能となる。主に以下の理由より、実験動物として一番多く使用されている。 

  • 多くの近交系が樹立されており、遺伝的に均一化されている個体を入手することが可能であること
  • 繁殖周期が短いため多くの個体の繁殖が可能であること
  • ゲノム解析が2002年に完了しており、ヒトのゲノムと比較した実験が可能であること
  • トランスジェニックマウスノックアウトマウスなどの遺伝子改変技術が確立していること

自然発症マウス

 突然変異による特定の遺伝子や染色体の異常に伴い、様々な異常を示すマウス。偶発的に生じた突然変異個体の中で、異常形質を持つ個体を系統化することで、多くの疾患モデルマウス系統が樹立されている。

遺伝子組換えマウス

 偶発的である自然発症マウスとは異なり、人為的に遺伝子操作を行って塩基配列に変異を導入したマウス。

  • トランスジェニックマウス
 人為的に外来遺伝子を導入し発現させたマウス。トランスジェニックマウスが初めて報告されたのは、1980年のGordonらによる現在も主流となっているマイクロインジェクション法によるトランスジェニックマウスの作製である[1]。また、1982年にはメタロチオネインプロモーターを用いたラット成長ホルモン遺伝子の導入による巨大マウスの作製がPalmiter、BrinsterらによりNatureに投稿された[2]。本論文は人為的に導入された外来遺伝子が生体内で機能することを初めて具体的に示した例であり、これ以降多くのトランスジェニックマウスが作製されている。
  • ノックアウトマウス
 1つ以上の遺伝子の機能が無効化されたマウス。2007年にノーベル生理学・医学賞を受賞したEvansCapecchiSmithiesらの相同組換え法の応用により、最初のノックアウトマウスは1988年に誕生した[4]。ノックアウトマウスでは特定の遺伝子が無効化されるため、正常マウスと比較することでその遺伝子機能の研究に有用である。

 近年ではZinc-finger nucleaseZFN)やTranscription activator-like effector nucleaseTALEN)などの人工制限酵素を用いたゲノム編集が報告され、さらにCRISPR/Cas法などのより簡便な方法での遺伝子組換え動物の作製が行われている[6]

ラット

 分類学上では、クマネズミ属ドブネズミRattus norvegicus)が該当する。成熟ラットの体重は雌200〜400g、雄で300〜700gと雌雄で倍近い差があることが特徴である。性周期は平均4日で1年中繁殖が可能である。妊娠期間は約21日、1回の産子数は6〜14匹、哺乳期間は約4週間である。雌で60〜70日、雄で60〜80日で性成熟し、繁殖が可能となる。ラットはマウスと比較して体が大きいため、血液尿など試料を多量に採取しやすく、外科手術等の処置も容易に行うことができるという利点がある。しかしながら、遺伝子組換え動物としては作製がマウスのほうが容易なためラットでの使用頻度は少ない。

ハダカデバネズミ

 ハダカデバネズミHeterocephalus glaber)は、ハダカデバネズミ属に分類される齧歯類である。体長8~9cm、尾長3~4.5cm、体重30~80gで、体表には細かい体毛しか生えておらず地中で生活する。寿命は長く(平均寿命28歳)、に耐性であり、真社会性の社会構造を持つことが大きな特徴である。

コモンマーモセット

 コモンマーモセットCallithrix jacchus)は、霊長目オマキザル科Cebidaeマーモセット属に含まれる。体長が約20cm、体重が200〜400g程度で、寿命は10〜15年である。妊娠期間は約145日、周年繁殖で年間2回出産し、1産で2〜3頭を出産する。3〜4ヶ月程度の授乳期間を経て生後1年〜1年半で性成熟し、繁殖が可能となる。2009年に霊長類初の遺伝子組換え動物トランスジェニックマーモセットの作製が報告された[5]

マカク属サル

 マカク属霊長目オナガザル科Cercopithecidae)に含まれる。実験動物としては、主にカニクイザルアカゲザルニホンザルが使用されている。ヒトと同じ霊長類であることから、他の動物と比較してヒトに近い研究が可能である。

カニクイザル

 カニクイザル(Macaca fascicularis)はインドネシア、フィリピンなどの東南アジアに生息する中型のサルで、輸入された個体が研究に利用されている。大人の個体で、体長は38~55cm、尾の長さは40~65cm、体重はオスで5~9kg、メスで3~6kg。実験用の主なサル類として神経生理学実験、生殖生理学実験、医薬品の安全性試験やワクチンの検定試験など広範囲に利用されている。

アカゲザル

 アカゲザル(Macaca mulatta))はインド、中国などのアジア地域を生息し、腰、足、尾の付け根部分が赤褐色をしている中型のサルで、輸入された個体が研究に利用されている。大人の個体で、体長は49~64cm、尾の長さは20~31cm、体重はオスで5~11kg、メスで4~10kg。カニクイザルと同様に広範囲に利用されている。

ニホンザル

 ニホンザル(Macaca fuscata)は日本固有種で、学習能力が高く、他種マカクザルに比べて遺伝変異性が低い。大人の個体で、体長は47~60cm、尾の長さは7~11cm、体重はオスで6~18kg、メスで6~14kg。ナショナルバイオリソースプロジェクトより国内で繁殖された個体が研究に利用されている。

脳機能研究におけるモデル生物の有用性

 脳神経は、感覚運動、記憶や情動などの機能を担っているため、そのメカニズム解析には遺伝子や細胞レベルの研究だけでは不十分であり、実際に生体を用いて経時的に考察ができる動物実験が必要不可欠である。

 基礎的な研究においては、線虫などの発生上、下位の生物が用いられている。線虫は全ての神経細胞が同定されており、神経発生や個々の神経細胞の機能、神経回路を研究するために有用なモデル動物である。ヤリイカは非常に太い神経線維と巨大なシナプスを持っており神経生理学の分野では非常に有用なモデル動物である。アフリカツメガエルは母体外で発生するため、その発生過程を実体顕微鏡下で直接観察することができる利点を持ち、特に神経管形成の仕組みを解明するためのモデル動物として古くから用いられている。

 鳥類は鳴くことで音声コミュニケーションをとっていると考えられており、その中でもキンカチョウはよく利用されている。幼鳥は親鳥の鳴き声から学習し、また発声練習をしてさえずりを学習する。音声コミュニケーションでの社会性行動やさえずりの学習能力に関するモデル動物として有用であると考えられている。

 長期増強など脳神経に直接処置を加えそれに対する影響や反応を観察する電気生理学的実験や記憶や情動などの高次脳機能や運動機能を調べる行動学的実験などでは、マウス、ラット、マカク属サルなどの実験動物が有用である。特にマウスやラットでは行動解析実験の実験方法や実験機器等が確立されているものが多くあり、実際に動物の行動を観察することで、脳機能に関する様々な情報を得ることが可能である。行動解析実験機器としては、学習・記憶能力を調べるモーリス水迷路バーンズ円形迷路恐怖条件づけ実験装置、運動協調性を調べるローターロッド試験、不安様行動を調べる高架式十字迷路明暗往来実験装置、鬱病様行動を評価する強制水泳実験装置やテールサスペンションテスト装置、総合失調症を評価するプレパルスインヒビションテスト装置、概日リズムの評価を行う回転かご走行試験装置などがある。

 ヒトの病気に類似した疾患を呈する実験動物は疾患モデル動物とよばれる。疾患モデル動物の原因遺伝子の特定とその機能解析は、疾患モデル動物の有用性に大きく関わる。疾患モデル動物への遺伝学的アプローチ法には、フォワードジェネティクス順行性遺伝学)とリバースジェネティクス逆行性遺伝学)のふたつの方法がある。

  • 順行性遺伝学
表現型より遺伝子を調べる方法。突然変異により生じた異常を持つ動物の表現型(病態や症状など)を調べ、その原因となる遺伝子の存在領域、遺伝子構造、塩基配列等を特定する。
  • 逆行性遺伝学
遺伝子より表現型を調べる方法。特定の遺伝子に注目し、トランスジェニックマウスやノックアウトマウスを作成し、その病態や症状などを調べることで、その遺伝子の機能を調べる。 

 順行性遺伝学と逆行性遺伝学は、表現型から始めるか、遺伝子から始めるか、の違いであるが、ある疾患モデルマウスの発現型から特定された遺伝子を改変したマウスを作製しその発現型が一致するかどうか検討を行うなど相互的な実験が有用である。

 現在までにヒトのアルツハイマー病を反映したアルツハイマー病モデルマウス[14]など、様々な疾病に対する疾患モデル動物が作製され、今後も詳細な病態メカニズムの解析、検査方法や治療法の開発のために利用されていくことが期待される。その一方でヒト特異的疾患を対象とした場合、マウスなどではその生理・代謝機能が必ずしもヒトを忠実に反映していない部分もあり、ヒトへの外挿面で十分な効果を得られないことも多く知られており、考察には注意が必要である。

関連項目

参考文献

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