「ラメリポディア」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
41行目: 41行目:
=== ADF/cofilin  ===
=== ADF/cofilin  ===


  ADF/cofilinのアクチンフィラメントの切断・脱重合活性は、LIMキナーゼ(LIMK)によるリン酸化により抑制され、SSHによる脱リン酸化により活性化される<ref><pubmed> 9655398 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11832213 </pubmed></ref><ref><pubmed> 7615564 </pubmed></ref><ref><pubmed> 20133134 </pubmed></ref>。LIMKは、Rhoファミリーsmall GTPaseのRhoやRacによって活性化される<ref><pubmed> 10559936 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10436159 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10652353 </pubmed></ref>。また、SSHはアクチンフィラメントへの結合により活性化し、14-3-3との結合は、SSHのアクチンへの結合を阻害する(Bernstein and Bamburg、 Trends Cell Biol、 <ref><pubmed> 19329994 </pubmed></ref>。ADF/cofilinの活性化は、ラメリポディア伸長に対して正負両面の影響を及ぼす。アクチンフィラメントの切断は網目構造を破壊するが、キャッピングタンパク質がプラス端に結合したフィラメントでは、切断によりプラス端が露出し、フィラメントが伸長できる状態になる。また、切断・脱重合による単量体アクチンのリサイクルは、先端部での重合を促進する<ref><pubmed> 18391171 </pubmed></ref><ref><pubmed> 22445336 </pubmed></ref>。実際、軸索ガイダンス因子によるADF/cofilinの活性化は、成長円錐の誘引・反発のどちらの誘発要因にもなり得る(<ref><pubmed> 17606869 </pubmed></ref><ref><pubmed> 20506164 </pubmed></ref>。このような違いは、ラメリポディア動態を適正に制御するためのADF/cofilin活性の度合いが、細胞内環境に依存して変わるためではないかと推測されている(Vitriol and Zheng、 Neuron、 2012)。
  ADF/cofilinのアクチンフィラメントの切断・脱重合活性は、LIMキナーゼ(LIMK)によるリン酸化により抑制され、SSHによる脱リン酸化により活性化される<ref><pubmed> 9655398 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11832213 </pubmed></ref><ref><pubmed> 7615564 </pubmed></ref><ref name=ref32><pubmed> 20133134 </pubmed></ref>。LIMKは、Rhoファミリーsmall GTPaseのRhoやRacによって活性化される<ref><pubmed> 10559936 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10436159 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10652353 </pubmed></ref>。また、SSHはアクチンフィラメントへの結合により活性化し、14-3-3との結合は、SSHのアクチンへの結合を阻害する<ref name=ref32 /><ref><pubmed> 19329994 </pubmed></ref>。ADF/cofilinの活性化は、ラメリポディア伸長に対して正負両面の影響を及ぼす。アクチンフィラメントの切断は網目構造を破壊するが、キャッピングタンパク質がプラス端に結合したフィラメントでは、切断によりプラス端が露出し、フィラメントが伸長できる状態になる。また、切断・脱重合による単量体アクチンのリサイクルは、先端部での重合を促進する<ref><pubmed> 18391171 </pubmed></ref><ref name=ref38><pubmed> 22445336 </pubmed></ref>。実際、軸索ガイダンス因子によるADF/cofilinの活性化は、成長円錐の誘引・反発のどちらの誘発要因にもなり得る<ref><pubmed> 17606869 </pubmed></ref><ref><pubmed> 20506164 </pubmed></ref>。このような違いは、ラメリポディア動態を適正に制御するためのADF/cofilin活性の度合いが、細胞内環境に依存して変わるためではないかと推測されている<ref name=ref38 />。


=== WASP/WAVE  ===
=== WASP/WAVE  ===
WASP/WAVEは、cdc42やRac、および、phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate、phosphatidylinositol-3,4,5-triphosphateとの結合による構造変化の結果、VCAドメインが単量体アクチン、Arp2/3複合体と結合可能になり、活性化状態となる。また、srcキナーゼによるリン酸化によっても活性化される<ref><pubmed> 17183359 </pubmed></ref>。線維芽細胞では、誘引因子曝露によって先導端付近でphosphatidylinositol-3,4,5-triphosphateが産生される。これにより、WAVEが先導端に局在し、ラメリポディアが伸長する<ref><pubmed> 15107862 </pubmed></ref>。成長円錐においても、誘引性因子によるcdc42およびRacの活性化を介した、N-WASP依存的なラメリポディアの伸長がみられる<ref><pubmed> 15788770 </pubmed></ref>。また、WASP/WAVEの関与は明らかではないが、反発性因子によるcdc42の活性抑制により、ラメリポディアが退縮することが報告されている<ref><pubmed> 22393238 </pubmed></ref>。


=== cortactin  ===
=== cortactin  ===
Cortactinは、extracellular regulated kinases (ERK) 1/2によるセリン残基のリン酸化により活性化され、このセリン残基の非リン酸化変異体では、ラメリポディアが不安定化する<ref><pubmed> 21079800 </pubmed></ref>。srcキナーゼによるチロシン残基のリン酸化は、cortactinの活性を抑制する<ref><pubmed>  9153252 </pubmed></ref>。反発性因子による成長円錐の崩壊に、このsrcキナーゼ依存的なcortactinリン酸化の関与を示唆する報告がある<ref><pubmed>  15254079 </pubmed></ref>。


=== coronin  ===
=== coronin  ===
CoroninのArp2/3複合体への結合は、protein kinase C (PKC) によるリン酸化によって抑制される<ref><pubmed>  16027158 </pubmed></ref>。また、同部位は、SSHによる脱リン酸化制御も受ける<ref name=ref18 />。CoroninはSSHのアクチンへの結合を媒介するため、coroninの制御によって、ADF/cofilinの活性が調節される。実際、coroninのノックダウンによって、細胞内のリン酸化cofilin量が増加する<ref name=ref18 />。


=== ミオシンモーター  ===
=== ミオシンモーター  ===
ミオシンは、myosin light chain kinase (MLCK)やRho-associated coiled coil containing kinase (ROCK)などによるミオシン軽鎖のリン酸化によって活性化する。ROCKは、protein phosphatase 1を不活化することによっても、ミオシン軽鎖のリン酸化に寄与する<ref><pubmed>  19851336 </pubmed></ref>。反発性因子による成長円錐の崩壊と軸索の退縮が、MLCKおよびROCKを介したミオシンの活性化に依存するという報告がなされている<ref><pubmed> 16899819 </pubmed></ref><ref><pubmed> 18005226 </pubmed></ref><ref><pubmed> 20569485 </pubmed></ref>(Gallo、 JCS、 2006; Kubo et al.、 J Neurochem、 2008; Murray et al.、 Neural Dev、 2010)。


==引用文献==
==引用文献==
20

回編集