「ロドプシン」の版間の差分

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 Gαは内在的な[[GTPase]]活性をもつ。そのため、GTPと結合して活性状態になったGαは自発的にGTPをGDPに加水分解し、再びGβγと結合して不活性状態に戻る。しかし、Gαの自発的な酵素活性は低く、視細胞内ではPDEγに結合したGαにGAP([[GTPase Activating Protein]])が作用することによってGTPの加水分解を加速している。Gαが不活性化しPDEから遊離するとPDEγは再び酵素活性部位であるPDEαβを阻害するためPDEの活性が抑えられる。  
 Gαは内在的な[[GTPase]]活性をもつ。そのため、GTPと結合して活性状態になったGαは自発的にGTPをGDPに加水分解し、再びGβγと結合して不活性状態に戻る。しかし、Gαの自発的な酵素活性は低く、視細胞内ではPDEγに結合したGαにGAP([[GTPase Activating Protein]])が作用することによってGTPの加水分解を加速している。Gαが不活性化しPDEから遊離するとPDEγは再び酵素活性部位であるPDEαβを阻害するためPDEの活性が抑えられる。  


 細胞が完全にもとの状態に戻るには、PDEの作用によって急減した細胞内cGMP濃度ももとに戻す必要がある。cGMPは[[グアニル酸シクラーゼ]]によって定常的に合成されているが、グアニル酸シクラーゼの活性は[[wikipedia:Guanylate_cyclase_activator|グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質]] (Guanyl Cyclase Activating Protein, GCAP)によって調節されている。光応答により細胞膜のCNGチャネルが閉じ細胞内のCa<sup>2+</sup>濃度が下がるとGCAPはグアニル酸シクラーゼの活性を促進するようになる。細胞内カルシウムの増減によるこの制御機構をカルシウムフィードバック機構と呼ぶ。この機構により細胞内のcGMP濃度が速やかに上昇すると[[CNGチャネル]]も開き、視細胞が元の状態に戻る。なお、細胞内カルシウム濃度の減少により、ロドプシンキナーゼを制御(どのように?)する因子([[Sモジュリン]]あるいはリカバリンと呼ばれている)も知られており<ref><pubmed> 8386803 </pubmed></ref>、GCAPとあわせて視細胞の[[明順応]]を説明する一つの機構と考えられている。
 細胞が完全にもとの状態に戻るには、PDEの作用によって急減した細胞内cGMP濃度ももとに戻す必要がある。cGMPは[[グアニル酸シクラーゼ]]によって定常的に合成されているが、グアニル酸シクラーゼの活性は[[wikipedia:Guanylate_cyclase_activator|グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質]] (Guanyl Cyclase Activating Protein, GCAP)によって調節されている。光応答により[[細胞膜]]のCNGチャネルが閉じ細胞内のCa<sup>2+</sup>濃度が下がるとGCAPはグアニル酸シクラーゼの活性を促進するようになる。細胞内カルシウムの増減によるこの制御機構をカルシウムフィードバック機構と呼ぶ。この機構により細胞内のcGMP濃度が速やかに上昇すると[[CNGチャネル]]も開き、視細胞が元の状態に戻る。なお、細胞内カルシウム濃度の減少により、ロドプシンキナーゼを制御(どのように?)する因子([[Sモジュリン]]あるいはリカバリンと呼ばれている)も知られており<ref><pubmed> 8386803 </pubmed></ref>、GCAPとあわせて視細胞の[[明順応]]を説明する一つの機構と考えられている。


== ロドプシン類似タンパク質 ==
== ロドプシン類似タンパク質 ==