ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド

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Penfield, Wilder Graves (1891-1976)

ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド
James Dewey Watson
Born James Dewey Watson
(1928-04-06) April 6, 1928 (age 96)
Chicago, Illinois, United States
Nationality American
Fields Genetics
Institutions Cold Spring Harbor Laboratory
Harvard University
University of Cambridge
National Institutes of Health
Alma mater University of Chicago
Indiana University
Doctoral advisor Salvador Luria
Known for DNA structure
Molecular biology
Notable awards Nobel Prize for Physiology or Medicine (1962)
Copley Medal (1993)[1]
Spouse Elizabeth Watson (née Lewis)
Signature
ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド's signature

 アメリカ合衆国カナダの脳神経外科医。米国ワシントン州スポケーン生まれ。米国プリンストン大学卒業後、イギリスオックスフォードマートン・カレッジシェリントンの下で神経科学を学んだ。また、オックスフォードでは今日の医学教育・医療の基礎を築いたことで知られるウィリアム・オスラーとも出会っている。米国に戻り、ボルチモアのジョンス・ホプキンス大学で医学博士号を取得後、クッシング病でその名の残るハーヴェイ・クッシングのもとで脳外科の薫陶を受けた。その後、ニューヨーク神経学研究所に移り、てんかんの脳外科手術を手がけるようになった。1928年にPenfieldはカナダのモントリオールにあるマギル大学に招聘され、同大学に1934年に設立されたモントリオール神経学研究所の初代所長となった。    その経歴を通して、今日の脳科学の基礎となる脳外科学のみならず、今日に至る神経科学の発展に多大な貢献をした。てんかんの外科治療の先駆者であるとともに、脳外科手術時に全身麻酔を行わず、切開部の局所麻酔で行った。脳そのものには痛みを含む感覚受容体がないためこのような術式が可能である。この術式を用いると手術中も患者に意識があるため、大脳皮質の電気刺激による脳局所の機能同定を行なうことができ、疾患のある脳領域の切除部決定をするにあたって、機能保存すべき大脳皮質領域の決定が可能になった。世界的に麻酔の安全性を優先させるため脳外科手術も全身麻酔で行われるようになったため、このような術式は行われることが少なくなったが、最近になって麻酔全般の安全性向上にともなって復活してきている。

図 体性感覚野で観察されるホムンクルス

 Penfieldはさまざまな脳領域の刺激に基づく膨大な知見をもとに、ヒト大脳の一次運動野一次体性感覚野ホムンクルス(homunculus, 小人間像)として知られる体性地図の存在を明らかにするなど、ヒト脳の大脳皮質に機能局在があることを明らかにした。さらに、同様の方法を用いて、運動連合野である補足運動野の存在を明らかにするなど、ヒト脳の機能地図を発見したパイオニアである。その後サルの大脳皮質にも一次運動野および補足運動野の存在が確認されたが、近年の研究により、大脳前頭皮質には一次運動野および補足運動野の他にも多数の運動領野が存在し、それぞれが機能特異性を有していることが明らかにされてきた。

参考文献

1. Penfield, W. & Rasmussen, T.
The Cerebral Cortex of Man.
MacMillan, New York, 1950.

2. Penfield, W. & Welch, K.
The supplementary motor area of the cerebral cortex. A clinical and experimental study.
Arch. Neurol. Psychiatr.; 1951, 66, 289-317.

3. Penfield, W. & Jasper, H.
Epilepsy and the Functional Anatomy of the Human Brain.
Little, Brown , Boston.


(執筆者:蔵田潔 担当編集委員:伊佐正)