「下垂体」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
88行目: 88行目:
====バソプレッシン====
====バソプレッシン====
Vasopressin, VP<br>
Vasopressin, VP<br>
 バソプレッシンはアミノ酸9つからなるニューロペプチドで、下垂体後葉の軸索末端から直接血液中に分泌され体循環に乗り、腎臓の集合管のバソプレッシン[[V2受容体]]に作用して水透過性を増加して水の再吸収を促進する。そのため尿は濃縮され、尿量は減少することからしばしば[[抗利尿ホルモン]] ([[antidiuretic hormone]], [[ADH]])と呼ばれる。また[[V1a受容体]]はバソプレッシンの血管収縮作用を仲介し、生理的条件下においては複雑に血圧の調節に関与する。さらに、下垂体前葉で発現する[[V1b受容体]]はコルチコトロピン分泌細胞からのACTH分泌を増加させる。
 バソプレッシンはアミノ酸9つからなる[[神経ペプチド]]で、下垂体後葉の軸索末端から直接血液中に分泌され体循環に乗り、腎臓の集合管のバソプレッシン[[V2受容体]]に作用して水透過性を増加して水の再吸収を促進する。そのため尿は濃縮され、尿量は減少することからしばしば[[抗利尿ホルモン]] ([[antidiuretic hormone]], [[ADH]])と呼ばれる。また[[V1a受容体]]はバソプレッシンの血管収縮作用を仲介し、生理的条件下においては複雑に血圧の調節に関与する。さらに、下垂体前葉で発現する[[V1b受容体]]はコルチコトロピン分泌細胞からのACTH分泌を増加させる。


 一方、バソプレッシンはペプチド性神経伝達物質として神経終末から放出されて[[シナプス後細胞]]に作用する分子でもある。V1a受容体やV1b受容体を介してストレス、[[情動]]行動や[[社会的行動]]<ref name=deWinter2003><pubmed>12496950</pubmed></ref><ref name=vanWest2004><pubmed>15094789</pubmed></ref> 、情報処理、[[空間学習]]<ref name=Mishima2003><pubmed>12646291</pubmed></ref>、[[攻撃行動]]<ref name=Rigney2022><pubmed>35863332</pubmed></ref> などに関与することが報告されている。
 一方、バソプレッシンはペプチド性神経伝達物質として神経終末から放出されて[[シナプス後細胞]]に作用する分子でもある。V1a受容体やV1b受容体を介してストレス、[[情動]]行動や[[社会的行動]]<ref name=deWinter2003><pubmed>12496950</pubmed></ref><ref name=vanWest2004><pubmed>15094789</pubmed></ref> 、情報処理、[[空間学習]]<ref name=Mishima2003><pubmed>12646291</pubmed></ref>、[[攻撃行動]]<ref name=Rigney2022><pubmed>35863332</pubmed></ref> などに関与することが報告されている。
94行目: 94行目:
====オキシトシン====
====オキシトシン====
Oxytocin, OT<br>
Oxytocin, OT<br>
 オキシトシンはアミノ酸9つからなるニューロペプチドで、バソプレッシンと類似の構造を有し、同様に下垂体後葉の軸索末端から直接血液中に分泌され体循環に乗り、[[乳腺]]に作用して[[射乳]]、子宮[[平滑筋]]を収縮させ陣痛促進作用を示す。
 オキシトシンはアミノ酸9つからなる神経ペプチドで、バソプレッシンと類似の構造を有し、同様に下垂体後葉の軸索末端から直接血液中に分泌され体循環に乗り、[[乳腺]]に作用して[[射乳]]、子宮[[平滑筋]]を収縮させ陣痛促進作用を示す。


 一方、バソプレッシンと同様に[[神経伝達物質]]としても機能し、子育て行動、特に母子間の絆形成を促進し、[[齧歯類]]の実験ではオキシトシンや[[オキシトシン受容体]]を阻害すると攻撃性が増強し、[[母性行動]]が低下することが報告されている<ref name=Takayanagi2005><pubmed>16249339</pubmed></ref>  。また[[自閉症スペクトラム]]児では血中オキシトシン濃度が低下し<ref name=Green2001><pubmed>11690596</pubmed></ref> 、オキシトシンの点鼻投与により症状が改善することも報告されている。
 一方、バソプレッシンと同様に[[神経伝達物質]]としても機能し、子育て行動、特に母子間の絆形成を促進し、[[齧歯類]]の実験ではオキシトシンや[[オキシトシン受容体]]を阻害すると攻撃性が増強し、[[母性行動]]が低下することが報告されている<ref name=Takayanagi2005><pubmed>16249339</pubmed></ref>  。また[[自閉症スペクトラム]]児では血中オキシトシン濃度が低下し<ref name=Green2001><pubmed>11690596</pubmed></ref> 、オキシトシンの点鼻投与により症状が改善することも報告されている。