「両眼視野闘争」の版間の差分

編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
47行目: 47行目:
「注意」が両眼視野闘争においてどのような役割を果たしているかを理解することは、前章で触れた両眼視野闘争の研究からどこまで意識のメカニズムに迫れるかを考える上で重要である。
「注意」が両眼視野闘争においてどのような役割を果たしているかを理解することは、前章で触れた両眼視野闘争の研究からどこまで意識のメカニズムに迫れるかを考える上で重要である。


 両眼視野闘争における知覚交代は、トップダウンの意図や注意などによってある程度制御できる。古くは[[wikipedia:ja:ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ|ヘルムホルツ]]が、注意によって知覚交代をバイアスさせることができるという観察結果を残しており[38]、日本においても柿崎(1948, 1963)が被験者に「一方の刺激を出現せしめようと努力し、出現したならばできるだけこれを持続しようとする態度」を取るよう教示したところ、教示した側の刺激の出現回数が多くなり、知覚時間も長くなるという結果を報告している[6, 39]。注意や意図によって、ある一定の時間内での知覚交代のスピードを早めたり遅めたりすることは可能だが、知覚交代を完全にストップさせたり、自由自在に近く交代を起こすことができるかどうかについては、未だにわかっていない[40, 41]
両眼視野闘争における知覚交代は、トップダウンの意図や注意などによってある程度制御できる。古くは[[wikipedia:ja:ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ|ヘルムホルツ]]が、注意によって知覚交代をバイアスさせることができるという観察結果を残しており<ref>'''H von Helmholtz'''<br>Treatise on physiological optics.<br>  ''Vol.3,trans.J.P.C.Southall.NewYork:Dover.'': 1925</ref>、日本においても柿崎(1948, 1963)が被験者に「一方の刺激を出現せしめようと努力し、出現したならばできるだけこれを持続しようとする態度」を取るよう教示したところ、教示した側の刺激の出現回数が多くなり、知覚時間も長くなるという結果を報告している<ref name=ref6 /><ref>'''柿崎祐一'''<br>視野闘争についての予備的研究.<br>  ''心理,2, 55-60.'': 1948</ref>。注意や意図によって、ある一定の時間内での知覚交代のスピードを早めたり遅めたりすることは可能だが、知覚交代を完全にストップさせたり、自由自在に近く交代を起こすことができるかどうかについては、未だにわかっていない<ref><pubmed>22046156 </pubmed></ref><ref><pubmed>22144958</pubmed></ref>


===両眼視野闘争を使った意識の研究:NCC===
===両眼視野闘争を使った意識の研究:NCC===
51

回編集