「両眼視野闘争」の版間の差分

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両眼視野闘争を使った神経基盤に関する研究は、主にサルを対象とした単一ニューロン記録研究と、ヒトを対象とした脳機能イメージング([[機能的磁気共鳴画像法(fMRI)]])研究を中心に近年大きな発展をとげた。
両眼視野闘争を使った神経基盤に関する研究は、主にサルを対象とした単一ニューロン記録研究と、ヒトを対象とした脳機能イメージング([[機能的磁気共鳴画像法(fMRI)]])研究を中心に近年大きな発展をとげた。


サルを対象とした単一ニューロン記録の研究では、[[一次視覚野]]などの低次視覚野では両眼視野闘争時の知覚交代に関連した活動を示すニューロンが少なく(20%程度)、下側頭連合皮質(Inferior temporal cortex; IT)などの高次の視覚領野では多い(90%程度) [42,43]。一方で、fMRIで測った血液酸素処理レベル依存性信号(Blood oxygenation level dependent (BOLD) signal)によると、[[一次視覚野]]から記録された神経活動も視野闘争中に変化する意識の中身と相関しているし[44,45]、さらに初期の[[外側膝状体]]でも相関している [46]
サルを対象とした単一ニューロン記録の研究では、[[一次視覚野]]などの低次視覚野では両眼視野闘争時の知覚交代に関連した活動を示すニューロンが少なく(20%程度)、下側頭連合皮質(Inferior temporal cortex; IT)などの高次の視覚領野では多い(90%程度)<ref><pubmed>8596635 </pubmed></ref><ref><pubmed>9096407 </pubmed></ref>。一方で、fMRIで得られる血液酸素処理レベル依存性信号(Blood oxygenation level dependent (BOLD) signal)によって間接的にヒト脳の神経活動を測った一連の研究によると、一次視覚野や<ref><pubmed>11036274</pubmed></ref><ref><pubmed>11346796</pubmed></ref>さらに初期の外側膝状体(Lateral geniculate nucleus; LGN)における神経活動も視野闘争中に変化する意識の中身と相関している<ref><pubmed>16244649</pubmed></ref>


単一ニューロン記録とfMRIで、両眼視野闘争中に意識の中身と相関する神経活動が異なる理由には様々な可能性があり、現在でも研究が続いている。一つの可能性として、計測手法の違いが挙げられる。Maierらは、同一の刺激条件を用い、サルを対象とした両眼視野闘争知覚時の単一ニューロン活動、局所細胞外電位(Local field potential; LFP)、BOLD信号の比較を行った[47]。彼らは、[[一次視覚野]]での単一ニューロン記録では、大半のニューロンは知覚交代が生じても発火率を変化させないが、LFPとBOLD信号においては[[一次視覚野]]においても知覚交代によって活動が変化することを示した。
単一ニューロン記録とfMRIで、両眼視野闘争中に意識の中身と相関する神経活動が異なる理由には様々な可能性があり、現在でも研究が続いている。一つの可能性として、計測手法の違いが挙げられる。Maierらは、同一の刺激条件を用い、サルを対象とした両眼視野闘争知覚時の単一ニューロン活動、局所細胞外電位(Local field potential; LFP)、BOLD信号の比較を行った[47]。彼らは、[[一次視覚野]]での単一ニューロン記録では、大半のニューロンは知覚交代が生じても発火率を変化させないが、LFPとBOLD信号においては[[一次視覚野]]においても知覚交代によって活動が変化することを示した。
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