「中央実行系」の版間の差分

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===最近の状況===
===最近の状況===
 近年、この中央実行系という概念は、ワーキングメモリー研究以外の分野にも浸透し、それらにおいては[[実行機能]]や実行制御 (executive control) と呼ばれている <ref>'''P Rabbit (Eds)'''<br>Methodology of Frontal and Executive Function<br>''Psychology Press (Hove)'':1997</ref>。用語は微妙に異なるものの、想定されている認知機能に大差はなく、概念間で相互に影響しあっている。ただし、ワーキングメモリー研究であれば必ず中央実行系と呼ばれるわけではなく、Baddeley以外のモデルでは、実行機能や実行制御 (executive control) などと呼ばれており<ref name=ref1><pubmed>10945922</pubmed></ref>、むしろ近年では「実行機能のことをBaddeleyは中央実行系と呼んでいる」とさえ表現できるかもしれない。PubMedにおける検索では、central executiveをタイトルもしくはアブストラクトに含む論文件数は459であるのに対し、executive functionの論文件数は4649であり、大幅に上回る(2012年6月26日現在)。
 近年、この中央実行系という概念は、ワーキングメモリー研究以外の分野にも浸透し、それらにおいては[[実行機能]] (executive function) や実行制御 (executive control) と呼ばれている <ref>'''P Rabbit (Eds)'''<br>Methodology of Frontal and Executive Function<br>''Psychology Press (Hove)'':1997</ref>。用語は微妙に異なるものの、想定されている認知機能に大差はなく、概念間で相互に影響しあっている。ただし、ワーキングメモリー研究であれば必ず中央実行系と呼ばれるわけではなく、Baddeley以外のモデルでは、実行機能や実行制御と呼ばれており<ref name=ref1><pubmed>10945922</pubmed></ref>、むしろ近年では「実行機能のことをBaddeleyは中央実行系と呼んでいる」とさえ表現できるかもしれない。PubMedにおける検索では、central executiveをタイトルもしくはアブストラクトに含む論文件数は459であるのに対し、executive functionの論文件数は4649であり、大幅に上回る(2012年6月26日現在)。


 中央実行系、実行機能ともに、類似概念である注意とどのように異なるかについての明確な理論・区分はなされていないが、おおよそ中央実行系・実行機能の場合には前頭前野の関与が強調されるのに対し、注意の場合は頭頂葉の関与が強調される傾向がある<ref name=ref1 /><ref><pubmed>15040547</pubmed></ref>。ただし、必ずしも二分化できるものではなく、研究者により見解が異なるところである。
 中央実行系、実行機能ともに、類似概念である注意とどのように異なるかについての明確な理論・区分はなされていないが、おおよそ中央実行系・実行機能の場合には前頭前野の関与が強調されるのに対し、注意の場合は頭頂葉の関与が強調される傾向がある<ref name=ref1 /><ref><pubmed>15040547</pubmed></ref>。ただし、必ずしも二分化できるものではなく、研究者により見解が異なるところである。
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