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体部位再現図 somatotopic map
体部位再現図 somatotopic map


身体を構成する特定の体部位の再現が中枢神経系の特定の領域と1対1に対応する場合、体部位再現がある、という。大脳皮質第一次体性感覚野や第一次運動野の体部位再現が典型的な例としてあげられる。ヒトやマカクサルの第一次体性感覚野を例にすると、この感覚野は中心溝に沿って内外側方向に帯状に広がっている。その最内側には反対側の足の刺激に応じるニューロンが存在する。これを「足の再現」(foot representation)という。この領域から外側に移動していくと下肢近位部、体幹、頭頸部、上肢近位部、手指と再現する体部位が実際の体部位の配置に従って移動していく。手指再現領域の更に外側には顔面、口腔が再現される。これに基づき、体部位を脳表に配置した図を体部位再現図という。
身体を構成する特定の体部位の再現が中枢神経系の特定の領域と1対1に対応する場合、体部位再現がある、という。[[大脳皮質]]第一次[[体性感覚野]]や第一次運動野の体部位再現が典型的な例としてあげられる。ヒトやマカクサルの第一次[[体性感覚]]野を例にすると、この感覚野は中心溝に沿って内外側方向に帯状に広がっている。その最内側には反対側の足の刺激に応じるニューロンが存在する。これを「足の再現」(foot representation)という。この領域から外側に[[移動]]していくと下肢近位部、体幹、頭頸部、上肢近位部、手指と再現する体部位が実際の体部位の配置に従って移動していく。手指再現領域の更に外側には顔面、口腔が再現される。これに基づき、体部位を脳表に配置した図を体部位再現図という。
体部位再現図ではカナダの脳外科医ワイルダー・ペンフィールドらによるホムンクルスが有名である(1)。第一次体性感覚野の体部位再現図では、手や顔、口が実際の体部位よりも大きく、広い面積を占めている一方で体幹などは小さくなっている。このように対象物に接触し、その識別に関わる体部位は、触覚受容器の密度も高く、再現される脳領域も広くなると考えられている。
体部位再現図ではカナダの脳外科医ワイルダー・[[ペンフィールド]]らによるホムンクルスが有名である(1)。第一次体性感覚野の体部位再現図では、手や顔、口が実際の体部位よりも大きく、広い面積を占めている一方で体幹などは小さくなっている。このように対象物に接触し、その識別に関わる体部位は、[[触覚]]受容器の密度も高く、再現される脳領域も広くなると考えられている。
感覚野における体部位再現の研究方法
感覚野における体部位再現の研究方法
ペンフィールドは、てんかん患者の手術に先立ち、脳表に電気刺激を加えた時、患者にどのような感覚が生じたかを丹念に調べることで第一次体性感覚野の体部位再現図を作成した。最近のブレインイメージングの手法では、実際に体表に刺激を加えたり、末梢神経を電気刺激したときの活動する脳領域を調べることで、体部位再現の研究が行われている。実験動物を使用した体部位再現の研究では、大脳皮質の神経細胞の活動を記録しながら、身体に体性感覚刺激を加え、刺激によって神経細胞の活動を惹起する体部位を調べることで行われる。Kaasらにより、種々の霊長類で体部位再現図が明らかにされた。Kaasらの研究によるとマカクサルの一次体性感覚野を構成するブロードマンの脳地図の3野、1野、2野にはそれぞれ独立した体部位再現が存在するという(2)。
ペンフィールドは、てんかん患者の手術に先立ち、脳表に電気刺激を加えた時、患者にどのような感覚が生じたかを丹念に調べることで第一次体性感覚野の体部位再現図を作成した。最近のブレインイメージングの手法では、実際に体表に刺激を加えたり、末梢神経を電気刺激したときの活動する脳領域を調べることで、体部位再現の研究が行われている。実験動物を使用した体部位再現の研究では、大脳皮質の神経細胞の活動を記録しながら、身体に体性感覚刺激を加え、刺激によって神経細胞の活動を惹起する体部位を調べることで行われる。Kaasらにより、種々の霊長類で体部位再現図が明らかにされた。Kaasらの研究によるとマカクサルの一次体性感覚野を構成する[[ブロードマンの脳地図]]の3野、1野、2野にはそれぞれ独立した体部位再現が存在するという(2)。
運動野における体部位再現の研究
運動野における体部位再現の研究
運動野においては、ペンフィールドが行った方法と同様に脳を電気刺激し、どの体部位に運動が引き起こされたか、で体部位再現が研究されてきた。ペンフィールド(1)は中心溝の前方の領域に第一次体性感覚野とほぼ並行した体部位再現が存在することを明らかにした。Woolseyらはマカクサルの脳に電極を刺入し、電気刺激よって引き起こされた筋肉の収縮を観察し、第一次運動野の体部位再現を明らかにした(3)。これらの実験は、大脳皮質の第一次運動野に身体部位特異性がある事を明らかにした点で重要である。しかし、マカクサルを使った詳細な電気刺激実験では、特定の部位が一つの筋肉と1対1に必ずしも対応しているわけではないこと、個々の筋肉もしくは関節の再現が整然と配置されておらず、ある筋肉に対応する脳部位は離れた場所に複数存在することなどが明らかになった。(4)。
運動野においては、ペンフィールドが行った方法と同様に脳を電気刺激し、どの体部位に運動が引き起こされたか、で体部位再現が研究されてきた。ペンフィールド(1)は中心溝の前方の領域に第一次体性感覚野とほぼ並行した体部位再現が存在することを明らかにした。Woolseyらはマカクサルの脳に電極を刺入し、電気刺激よって引き起こされた筋肉の収縮を観察し、第一次運動野の体部位再現を明らかにした(3)。これらの実験は、大脳皮質の第一次運動野に身体部位特異性がある事を明らかにした点で重要である。しかし、マカクサルを使った詳細な電気刺激実験では、特定の部位が一つの筋肉と1対1に必ずしも対応しているわけではないこと、個々の筋肉もしくは関節の再現が整然と配置されておらず、ある筋肉に対応する脳部位は離れた場所に複数存在することなどが明らかになった。(4)。


他の大脳皮質領域の体部位再現
他の大脳皮質領域の体部位再現
第一次体性感覚野と第一次運動野以外にも体部位再現が存在する大脳皮質領域が報告されている。ヒトやマカクサルでは一次体性感覚野の外側のシルヴィウス裂に埋もれている第二次体性感覚野では、前方に頭部の再現領域が有り、その後方に向かって上肢、下肢が再現されている。Krubitzer らの電気生理学実験(5)やBurtonらの第一次体性感覚野との神経連絡を調べた実験(6)から第二次体性感覚野には互いに鏡像関係に配置された2つの再現図が存在するという説が有力となった。マカクサルを使った研究では補足運動野などの高次運動野でも体部位再現が存在することが報告されている。高次運動野では、一般に一次運動野に比べ、身体部位を動かすためには大きな電流が必要なこと、また、同時に複数の関節が動く傾向が大きいことなどの違いがあるという。
第一次体性感覚野と第一次運動野以外にも体部位再現が存在する大脳皮質領域が報告されている。ヒトやマカクサルでは一次体性感覚野の外側のシルヴィウス裂に埋もれている第二次体性感覚野では、前方に頭部の再現領域が有り、その後方に向かって上肢、下肢が再現されている。Krubitzer らの電気生理学実験(5)やBurtonらの第一次体性感覚野との神経連絡を調べた実験(6)から第二次体性感覚野には互いに鏡像関係に配置された2つの再現図が存在するという説が有力となった。マカクサルを使った研究では[[補足運動野]]などの高次運動野でも体部位再現が存在することが報告されている。高次運動野では、一般に一次運動野に比べ、身体部位を動かすためには大きな電流が必要なこと、また、同時に複数の関節が動く傾向が大きいことなどの違いがあるという。


引用文献
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