「内側膝状体」の版間の差分

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===MGv===
===MGv===
MGvは3つの亜核の中で、聴覚情報処理の中心的な役割を担っている領域である。MGvを構成する主なニューロンはtufted neuronであり、30%弱がstellate cellである(図2)。MGvは周囲をthe marginal zone (MZ)に囲まれており、さらにpars lateralis (LV), pars ovoidea (PO), pars ventrolateralis (PV)の3つに区別される(図2)。pars lateralisはMGvの代表的部位で、音の高さに沿ったトノトピーが層状に構成されている(Laminae構造)(図3)。Laminae構造はラットでは弱いがネコでは非常にはっきりとした構造となる<ref><pubmed> 10320097 </pubmed></ref>。Tufted neuronの樹状突起も層構造に沿って配置されている。Pars ovoideaではtufted neuronの樹状突起と軸索は渦で巻いた様な形態をとっている(図3)。
MGvは3つの亜核の中で、聴覚情報処理の中心的な役割を担っている領域である。MGvを構成する主なニューロンはtufted neuronであり、30%弱がstellate cellである(図2)。MGvは周囲をthe marginal zone (MZ)に囲まれており、さらにpars lateralis (LV), pars ovoidea (PO), pars ventrolateralis (PV)の3つに区別される(図2)。pars lateralisはMGvの代表的部位で、音の高さに沿ったトノトピーが層状に構成されている(Laminae構造)(図3)。Laminae構造はラットでは弱いがネコでは非常にはっきりとした構造となる<ref><pubmed> 10320097 </pubmed></ref>。Tufted neuronの樹状突起も層構造に沿って配置されている。Pars ovoideaではtufted neuronの樹状突起と軸索は渦で巻いた様な形態をとっている(図3)。[[ファイル:Hiroakitsukano_Fig2.jpg|thumb|300px|'''図2 MGを構成するニューロン''' 出版元より許可を得て引用。<ref><pubmed> 10320097 </pubmed></ref>]]


MGvが主に受ける軸索は同側下丘の中心核(central nucleus of the inferior colliculus, ICC)のニューロンからであり、興奮性入力はグルタミン酸作動性でNMDA/AMPA受容体に作用する。樹状突起には代謝型グルタミン酸受容体も存在する<ref><pubmed> 10444669 </pubmed></ref>。MGvへの抑制性入力はGABA作動性であり、GABAA/GABAB受容体に作用する<ref><pubmed> 10322042 </pubmed></ref>。MGvから大脳皮質へは、Core領域(前聴覚野(anterior auditory field, AAF)、一次聴覚野(primary auditory cortex, AI)、ネコやイヌなどのposterior auditory field (P))のIII/IV層にトノトピー構造をもって軸索を伸ばす。聴覚野からの下降性の直接入力は興奮性しかないが、視床網様核(reticular thalamic nucleus, TRN)を経由してMGを抑制する系が存在する(図4)。
MGvが主に受ける軸索は同側下丘の中心核(central nucleus of the inferior colliculus, ICC)のニューロンからであり、興奮性入力はグルタミン酸作動性でNMDA/AMPA受容体に作用する。樹状突起には代謝型グルタミン酸受容体も存在する<ref><pubmed> 10444669 </pubmed></ref>。MGvへの抑制性入力はGABA作動性であり、GABAA/GABAB受容体に作用する<ref><pubmed> 10322042 </pubmed></ref>。MGvから大脳皮質へは、Core領域(前聴覚野(anterior auditory field, AAF)、一次聴覚野(primary auditory cortex, AI)、ネコやイヌなどのposterior auditory field (P))のIII/IV層にトノトピー構造をもって軸索を伸ばす。聴覚野からの下降性の直接入力は興奮性しかないが、視床網様核(reticular thalamic nucleus, TRN)を経由してMGを抑制する系が存在する(図4)。
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