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Rule learning by seven-month-old infants. <br>
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''Science,'' 1999, 283, 77-80. </ref> は、7ヶ月児にABBのパタンを持つ3音節の無意味語(例、bidodo)を各種呈示しテストを行った所、乳児は新規な音節から構成されている音声のうちABBパタンを持つ音声を選好した。この結果は、乳児は無意味語の音節連鎖からABBという抽象的な規則を抽出していたことを示す。但し、これらの抽出能力、特に遷移確率能力はヒト固有のものではなく、言語固有の現象でもない。前述した鳥類の他にもタマリンザルや[[ラット]]の[[哺乳類]]にもある程度分節化が可能であり<ref><pubmed> 15304368 </pubmed></ref>、分節化は言語音ばかりでなく純音列のような非言語音、視覚的に呈示された図形列でも成立することが報告されている。これらのことは分節化がヒト言語に特異的な文法能力を直接反映した能力ではないことを示している。とはいえ、分節化は聴覚、視覚パタンの統計的学習能力であり、1歳以降に言語の意味や文法学習を行っていくために必要になる重要な認知スキルであることは疑いがない。
''Science,'' 1999, 283, 77-80. </ref> は、7ヶ月児にABBのパタンを持つ3音節の無意味語(例、bidodo)を各種呈示しテストを行った所、乳児は新規な音節から構成されている音声のうちABBパタンを持つ音声を選好した。この結果は、乳児は無意味語の音節連鎖からABBという抽象的な規則を抽出していたことを示す。但し、これらの抽出能力、特に遷移確率能力はヒト固有のものではなく、言語固有の現象でもない。前述した鳥類の他にもタマリンザルや[[ラット]]の[[哺乳類]]にもある程度分節化が可能であり<ref><pubmed> 15304368 </pubmed></ref>、分節化は言語音ばかりでなく純音列のような非言語音、視覚的に呈示された図形列でも成立することが報告されている。これらのことは分節化がヒト言語に特異的な文法能力を直接反映した能力ではないことを示している。とはいえ、分節化は聴覚、視覚パタンの統計的学習能力であり、1歳以降に言語の意味や文法学習を行っていくために必要になる重要な認知スキルであることは疑いがない。


==分節化の脳内基盤==
==分節化の脳内基盤==

2015年1月21日 (水) 13:04時点における版

英語:Segmentation

分節化とは

ある連続的な複数の事象から一定の規則を用いて、カテゴリーや単位を区分し、切り出すことを意味する。特に言語獲得論において二つの用法がある。
一つめの用法は乳児の発達初期の音声獲得に関与する。音声言語は母音、子音から構成される音節の連続体であるが、音響的にも各単位の明確な切れ目が存在しないため、乳児は言語入力を統計学習しつつ、この連続体の中から、単語という単位や特定の生起確率規則に適った音節の繋がりを切り出す必要がある。この切り出しのことを単語あるいは音節構造の分節化と呼ぶ。乳児は分節化を行えないと、意味、文法の学習という言語獲得の次の段階に進めない。ヒト乳児ばかりでなく、鳴禽類ソングバードが親や他個体のさえずりを学習する場合にもフレーズの分節化が行われ、音声パタンの学習が進む。このように分節化はヒト乳児、鳥類に共通する言語能力の原初的な形態であり、言語の発達や進化を研究する上で重要なトピックである。2つめの用法は、概念と言語の意味に関与し、言語哲学の領域でも用いられる。言語は概念の連続体を象徴化し、意味カテゴリーを作って、単語として記号化する。例えば連続的なスペクトル特性を持つ色彩を区分して、赤や青といった言語記号のラベルを付与する。この記号付与の過程も分節化と呼ばれる。これらのうち前者の音声の分節化がより広く用いられているので、以降はこれについて、その背景、研究の動向についてふれる。

音声の分節化

有意味単語の分節化は、英語圏の乳児では8ヶ月齢で可能になる。単語を切り出す際には英語のストレスアクセントを音響的手掛かりとして用いているとされ、発達初期段階では英語でより頻度の高い強弱パタンを1つの単語のまとまりと捉える傾向がある[1]。但し、アクセントが音響的に明確でないフランス語圏では、単語分節に使える音響的手掛かりが貧弱であるため1歳過ぎまで単語の分節化ができないと報告されている[2] 。ピッチアクセントを持つ日本語圏では遅くとも8,9ヶ月齢では単語の分節化ができる[3] 。 音節構造の分節化には何の規則を学習するかによって大きく2つの流れがある。
(1)Saffranほか[4] は音節の遷移確率に着目した。3音節からなる4つの無意味語(例、bidaku)で構成される連続音を8ヶ月児に2分間呈示した後、同じ無意味語の3音節連鎖が含まれている音声と、無意味語中の同じ音節は含んでも音節の組み合わせが異なる音連鎖のどちらを選好するかを調べた。その結果、乳児は学習した無意味語を含む音声を選好した。乳児は始めに学習した無意味語中の隣接する音節の遷移確率(例、biの次は1.0の確立でdaが来る)を手掛かりにして、新しい音声中に無意味語列を見出したと考えられる。
(2)その後の研究において、乳児は学習した音節連鎖とその後のテストの音節連鎖が同一でなくとも、配列規則を見出すことができることが明らかになった。Marcusほか[5] は、7ヶ月児にABBのパタンを持つ3音節の無意味語(例、bidodo)を各種呈示しテストを行った所、乳児は新規な音節から構成されている音声のうちABBパタンを持つ音声を選好した。この結果は、乳児は無意味語の音節連鎖からABBという抽象的な規則を抽出していたことを示す。但し、これらの抽出能力、特に遷移確率能力はヒト固有のものではなく、言語固有の現象でもない。前述した鳥類の他にもタマリンザルやラット哺乳類にもある程度分節化が可能であり[6]、分節化は言語音ばかりでなく純音列のような非言語音、視覚的に呈示された図形列でも成立することが報告されている。これらのことは分節化がヒト言語に特異的な文法能力を直接反映した能力ではないことを示している。とはいえ、分節化は聴覚、視覚パタンの統計的学習能力であり、1歳以降に言語の意味や文法学習を行っていくために必要になる重要な認知スキルであることは疑いがない。

分節化の脳内基盤

分節化を担う脳機能についても乳児、成人を対象として研究されている。Saffranタイプの規則を用いた、成人の脳波実験では、学習した無意味語の第一音に対してのみ大きいN400の脳波成分が得られている[7]、fMRIによる研究では分節化に左の下前頭回、上側頭回、大脳基底核が関与していることが報告されている[8] 。新生児においてもMarcusタイプの規則刺激に対して左の背外側前頭部が強く反応することがNIRS(Near Infrared Spectroscopy)により報告されており [9] 、生得的な分節化能力が示唆されたが、この反応はABBタイプの規則のみでABAタイプに対しては観察されていない。しかし、3ヶ月児においてAXBタイプに特化したERP反応が得られており、抽象的な文法規則抽出もこの時期にできる可能性が示された[10] 。Saffranタイプの規則についても新生児は音節の言語刺激でも非言語音のトーン刺激でも、学習した遷移確率に則った刺激に対しても大きい事象関連電位が得られることが示されている。これら活動がみられた左下前頭部や大脳基底核といった脳部位は言語の統語規則処理を担う部位でもある。このことは分節化という基礎的な認知スキルが、高次な文法処理にも関連する機能であることを示唆する。


(執筆者:皆川泰代 担当編集委員:入來篤史)


  1. Jusczyk, P. W., Houston, D. M., & Newsome, M.
    The beginnings of word segmentation in English-learning infants.
    Cognitive Psychology, 1999a, 39, 159-207.
  2. Nazzi, T., Iakimova, Q., Bertoncini, J., Frédonie, S., & Alcantara, C.
    Early segmentation of fluent speech by infants acquiring French: Emerging evidence for crosslinguistic differences.
    Journal of Memory and Language, 2006, 54, 283-299.
  3. 佐藤久美子・梶川祥世・坂本清恵・松本博文.
    日本語母語乳児の文中からの単語切り出しにおけるアクセントと音素配列の役割.
    音声研究, 2007, 11, 38-47.
  4. Saffran, J. R., Aslin, R. N., & Newport, E. L.
    Statistical learning by 8-month-old Infants.
    Science, 1996, 274, 1926-1928.
  5. Marcus, G. F., Vijayan, S., Bandi Rao, S. & Vishton, P. M. 
    Rule learning by seven-month-old infants.
    Science, 1999, 283, 77-80.
  6. Newport, E.L., Hauser, M.D., Spaepen, G., & Aslin, R.N. (2004).
    Learning at a distance II. Statistical learning of non-adjacent dependencies in a non-human primate. Cognitive psychology, 49(2), 85-117. [PubMed:15304368] [WorldCat] [DOI]
  7. Abla, D., Katahira, K., & Okanoya, K. (2008).
    On-line Assessment of Statistical Learning by Event-related Potentials. Journal of cognitive neuroscience, 20(6), 952-64. [PubMed:18211232] [WorldCat] [DOI]
  8. McNealy, K., Mazziotta, J. C., & Dapretto, M.
    Cracking the language code: neural mechanisms underlying speech parsing.
    The Journal of Neuroscience, 2006, 26, 7629-7639.
  9. Gervain, J., Macagno, F., Cogoi S., Peña, M., & Mehler, J.
    The neonate brain detects speech structure.
    Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2008, 105, 14222-14227.
  10. Mueller, J. L, Friederici, A. D., & Männel, C.
    Auditory perception at the root of language learning.
    Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2012, 109, 15953-15958.