Takahikokawasaki

2012年5月24日 (木)に参加
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[[ガイドポスト細胞]]
[ガイドポスト細胞


英:guidepost cells
英:guidepost cells
同義語:道しるべ細胞、道標細胞、guidepost neurons
同義語:道しるべ細胞、道標細胞、guidepost neurons
ガイドポスト細胞とは、他の神経細胞の軸索伸長や細胞移動をサポートする特殊な構造を提供する細胞についての総称である。未成熟な神経細胞やグリア細胞を含むさまざまなタイプの細胞がガイドポスト細胞として機能する場合がある。ガイドポスト細胞はサポートする神経細胞の最終的な投射ターゲットではなく、サポートする神経細胞に一過的に接触することで何らかのガイダンス作用を及ぼす。ガイドポスト細胞の多くが神経回路の成熟にともなって消失したり、異なる細胞タイプへと分化したりしてしまうなど、その役割は神経回路形成時に限られる。


神経系におけるガイドポスト細胞とは、他の神経細胞に対して[[軸索]]伸長や移動をサポートするための特異な構造を提供する細胞の総称である。未成熟な神経細胞や[[グリア細胞]]を含むさまざまな細胞がガイドポスト細胞として働く場合がある。


ガイドポスト細胞の定義
ある細胞Aが神経細胞Bのガイドポスト細胞であると見なす基準として、以下のような点が挙げられる。
(1)A細胞はB神経細胞の軸索投射経路や移動経路に前もって分布する。
(2)A細胞にB神経細胞が一過的に接触することで、B神経細胞の移動や軸索投射に何らかの作用が及ぼされる。この点に関しては、実際に両者の物理的な接触が詳細に解析されている場合もあるが(Bently and Keshishian, 1982)、両者が隣接するという程度の確認しかされていない場合も多い。
(3)A細胞が欠失したり、A細胞の何らかの機能が阻害されると、B神経細胞の正常な軸索投射や細胞移動が損なわれる。
(4)A細胞はB神経細胞の最終的な軸索投射ターゲットではない。
神経回路が作られる過程では、さまざまな細胞が「ガイドポスト細胞的」な役割を担っている。例えば、発生期の神経管の腹側正中部に形成されるシグナルセンターとして有名なフロアプレートは、脊髄交連性ニューロンに対するガイドポスト細胞と考えることが可能である。しかし、慣習的にフロアプレートの細胞はintermediate targetsと表現されることはあっても、ガイドポスト細胞と表現されることはほとんどない。それゆえ、ガイドポスト細胞という表現を用いる時には、その細胞の特性だけでなく、慣習的な使用例にも注意が必要である。
Chaoの一過性の相互作用総説<ref><pubmed> 19300445 </pubmed></ref>


ガイドポスト細胞の特性が最初に報告されたのは、トノサマバッタの付属肢における軸索投射の研究である。バッタの付属肢が発生する際、付属肢の先端にTi1と呼ばれる感覚神経細胞 (pioneer sensory neuron)が生じる。このTi1神経細胞の軸索は、直角な方向転換を含む特定の伸長経路をとりながら中枢へと投射する。この投射経路の途中にはCx1と呼ばれる細胞が存在する。Ti1神経細胞の軸索がCx1細胞と接触すると特定の投射経路を伸長するように進行方向を変化させることや、Cx1細胞を放射線照射で殺すとTi1神経細胞の軸索が正常な経路を伸長することができずに迷走してしまうことから、Cx1細胞はTi1神経細胞の軸索伸長をサポートするように働くことが明らかとなった(図1; XXXXXXXXXXX)。


ガイドポスト細胞の発見
ガイドポスト細胞の特性が最初に報告されたのは、トノサマバッタの付属肢における軸索投射の研究である(図1)。バッタの付属肢が発生する際に、付属肢の先端にTi1と呼ばれる感覚神経細胞が分化する。このTi1神経細胞は付属肢の中で最初に軸索を伸ばすパイオニアニューロンで(Bate 1976)、その軸索は直角な方向転換を含む特定の経路を経由して中枢へと投射する。この特徴的な軸索投射経路には、前もっていくつかの細胞が飛び石状に分布する。これらの細胞のうちCx1と呼ばれる細胞にTi1の軸索が接触すると軸索の伸長方向が変化することや、放射線照射でCx1細胞を取り除くとTi1の軸索が正常な経路を伸長することができずに迷走してしまうことから、Cx1細胞はTi1神経細胞の正常な軸索伸長をサポートするガイドポスト細胞であることが明らかとなった(XXXXXXXXXXX 総説も)。色素や電子顕微鏡を用いた解析から、両者が物理的に接触することも示されている。Cx細胞はその後
哺乳類におけるガイドポスト細胞
哺乳類の神経発生においても、さまざまなガイドポスト細胞が働くことが知られており、以下に代表的な例を紹介する。
glial sling
glial slingは脳梁を構成する皮質交連性線維の軸索伸長をサポートする(図2)
corridor cells
corridor cells視床から新皮質への軸索投射をサポートする(図3)回廊を意味するcorridorの名前が付けられた。
lot cells(lot細胞)
マウスの脳で見つかった。lot cellsは嗅球から嗅皮質への軸索投射をサポートする(図4)
lot-1抗体(mGluR1)陽性の細胞。
嗅球軸索束を囲むように分布する
lot細胞が、神経回路が成熟するにともなってどのような運命を辿るのかは明らかとなっていない。少なくともlot-1抗体に陽性な細胞群は成体マウス脳のLOT周辺から消失する。
抗原の同定mGluR1<ref><pubmed> 22539416 </pubmed></ref>
佐藤君のlot細胞論文<ref><pubmed> 9742149 </pubmed></ref>
lot細胞日本語の総説<ref><pubmed> 12486929 </pubmed></ref>
netrin1の論文<ref><pubmed> 16439477 </pubmed></ref>
伊藤君のSema3F論文<ref><pubmed> 18434520 </pubmed></ref>
富岡さんの論文<ref><pubmed> 10908621 </pubmed></ref>
SahaのLhx2の論文<ref><pubmed> 17329426 </pubmed></ref>


哺乳類の脳においては、特に以下の3種類のガイドポスト細胞について研究が進んでいる。
哺乳類の脳においては、特に以下の3種類のガイドポスト細胞について研究が進んでいる。
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