「到達運動」の版間の差分

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====''運動指令変化最小化規範''====
====''運動指令変化最小化規範''====
筋指令の時間微分の総和を最小化する(Kawato, 1996)。
筋指令の時間微分の総和を最小化する<ref name=ref7>'''Kawato, M'''<br>Trajectory formation in arm movements: Minimization principles and procedures<br>in Advances in Motor Learning and Control, Zelaznik, Howard N, Editor. 1996, Human Kinetics. p. 225-259</ref>
====''終点分散最小化規範''====
====''終点分散最小化規範''====
運動指令のノイズのもとで終点のばらつきを最小化することを目標としている(Harris & Wolpert, 1998)。
運動指令のノイズのもとで終点のばらつきを最小化することを目標としている<ref name=ref8><pubmed> 9723616</pubmed></ref>


===制御モデル===
===制御モデル===
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====''[[フィードバック誤差学習モデル]]''====
====''[[フィードバック誤差学習モデル]]''====
随意運動制御の学習モデルとして提案されたこのモデルは、目標軌道が大脳皮質で決めれれると仮定し、計画された軌道と感覚フィードバックを入力とした大脳のフィードバックコントローラーの誤差信号を教師信号として、[[小脳]]の逆モデルを学習させるモデルである(Kawato & Gomi, 1992)。これは、軌道を予め決定しておく必要がある。眼球運動の生理学的実験の結果とうまく適合するが、上肢運動に関して、軌道計画を行う脳領域がどこにあるかは、未だ明確ではない。
随意運動制御の学習モデルとして提案されたこのモデルは、目標軌道が大脳皮質で決めれれると仮定し、計画された軌道と感覚フィードバックを入力とした大脳のフィードバックコントローラーの誤差信号を教師信号として、[[小脳]]の逆モデルを学習させるモデルである<ref name=ref9><pubmed> 1486143</pubmed></ref>これは、軌道を予め決定しておく必要がある。眼球運動の生理学的実験の結果にうまく適合する<ref name=ref10><pubmed> 10607637</pubmed></ref>が、上肢運動に関して軌道計画を行う脳領域がどこにあるかは、未だ明確ではない。


====''[[最適フィードバック制御モデル]]''====
====''[[最適フィードバック制御モデル]]''====
あらかじめ軌道の生成を必要としないモデルとして、[[カルマンフィルター]]による状態の推定(Wolpert et al., 1995)と推定された状態をもとに運動指令を生成すること(Todorov & Jordan, 2002)が考えられている。具体的には、順モデルによる予測と実際の感覚フィードバックが重み付け([[カルマンゲイン]])されて状態が推定され、更にその推定を用いて運動指令を生成する([[フィードバックゲイン]])。カルマンゲインとフィードバックゲインの2つのパラメーターを調整して運動指令を最適化する。
あらかじめ軌道の生成を必要としないモデルとして、[[カルマンフィルター]]による状態の推定<ref name=ref11><pubmed>  7569931</pubmed></ref>と推定された状態をもとに運動指令を生成すること<ref name=ref12><pubmed>  12404008</pubmed></ref>が考えられている。具体的には、順モデルによる予測と実際の感覚フィードバックが重み付け([[カルマンゲイン]])されて状態が推定され、更にその推定を用いて運動指令を生成する([[フィードバックゲイン]])。カルマンゲインとフィードバックゲインの2つのパラメーターを調整して運動指令を最適化する。


==脳内の到達運動制御==
==脳内の到達運動制御==