「到達運動」の版間の差分

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====''[[フィードバック誤差学習モデル]]''====
====''[[フィードバック誤差学習モデル]]''====
随意運動制御の学習モデルとして提案されたこのモデルは、計画された軌道と感覚フィードバックを入力としたフィードバックコントローラーの出力信号を教師信号として、逆モデルを学習するモデルである。これは、眼球運動の生理学的実験の結果とうまく適合するが、軌道を予め決定しておく必要がある。軌道計画を行う脳領域がどこにあるかは、未だ明らかではない。
随意運動制御の学習モデルとして提案されたこのモデルは、目標軌道が大脳皮質で決めれれると仮定し、計画された軌道と感覚フィードバックを入力とした大脳のフィードバックコントローラーの誤差信号を教師信号として、[[小脳]]の逆モデルを学習させるモデルである(Kawato & Gomi, 1992)。これは、軌道を予め決定しておく必要がある。眼球運動の生理学的実験の結果とうまく適合するが、上肢運動に関して、軌道計画を行う脳領域がどこにあるかは、未だ明確にはなっていない。しかし、以下でのべるように運動前野がその過程に関わるという研究もある。


====''[[最適フィードバック制御モデル]]''====
====''[[最適フィードバック制御モデル]]''====
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=====''[[背側運動前野]](PMd)''=====
=====''[[背側運動前野]](PMd)''=====
PMdでは、到達運動や手首傾きに関わるニューロン活動が記録される(Rizzolatti et al., 2014)。視覚刺激を出してから遅延を与えて到達運動をする課題では、運動に先行した活動([[運動前野|set-related activity]])が見られ、運動の準備に関わると考えられる(Wise et al., 1997)。また、視覚刺激に関わる活動や運動そのものに関わる活動も見られる。運動のためのターゲットの位置が空間的に表現されるのではなく、色や形などで抽象的に表現される場合でも、同様の反応が認められる。空間情報から運動への変換過程に関わると考えられる。到達運動のターゲットを運動の途中で、運動効果器(右腕 左腕)の選択にも関わることが明らかになっている(Hoshi & Tanji, 2000)。
PMdでは、到達運動や手首傾きに関わるニューロン活動が記録される(Rizzolatti et al., 2014)。視覚刺激を出してから遅延を与えて到達運動をする課題では、運動に先行した活動([[運動前野|set-related activity]])が見られ、運動の準備に関わると考えられる(Wise et al., 1997)。また、視覚刺激に関わる活動や運動そのものに関わる活動も見られる。運動のためのターゲットの位置が空間的に表現されるのではなく、色や形などで抽象的に表現される場合でも、同様の反応が認められる。空間情報から運動への変換過程に関わると考えられる。PMdに、運動のキネマティクスの情報が表現されていると実験結果もある(Hocherman & Wise, 1991)(Pilacinski & Lindner, 2019)。運動のターゲットを運動の途中で、運動効果器(右腕 左腕)の選択にも関わることが明らかになっている(Hoshi & Tanji, 2000)。


====SLF-IIIによって結ばれる領域====
====SLF-IIIによって結ばれる領域====
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==脳損傷による到達運動の障害==
==脳損傷による到達運動の障害==
===[[視覚性運動失調]](Optic ataxia)===
===[[視覚性運動失調]](Optic ataxia)===
注視下の物体へうまく手を到達させることができないoptiche Ataxiaと、周辺視野への到達障害であるataxie optiqueがある。いずれも上頭頂小葉の損傷で起こると考えられている
===[[小脳|推尺異常(dysmetria)]]===
到達運動の際に、目標点に達しないhypometriaと通り過ぎてしまうhypermetriaがある。
===[[企図振戦(intention tremor)===
到達運動など、随意的に運動している場合に軌道に震えが生じる。目標点に近づくにしたがって著明になる。
測定障害も企図振戦も小脳の障害で起こる。
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