「前後軸」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
30行目: 30行目:


== 神経板の後方化 ==
== 神経板の後方化 ==
[[file:masanoritakahashi_fig2.jpg|thumb|250px|'''図2 Hox遺伝子と前後軸'''<br>(A) 菱脳の分節構造(ロンボメア)ラット胎齢10.75日胚の切片(DAPI染色)<br>(B) Hox遺伝子の発現境界と分節境界との関係]]
[[file:masanoritakahashi_fig2.jpg|thumb|250px|'''図2. Hox遺伝子と前後軸'''<br>(A) 菱脳の分節構造(ロンボメア)ラット胎齢10.75日胚の切片(DAPI染色)<br>(B) Hox遺伝子の発現境界と分節境界との関係]]


 ニワトリ胚やマウス胚において、両生類胚の尾部オーガナイザーに相当する領域は、原始線条の先端部から時期を追って形成される[[結節]]([[ノード]] [[node]])と呼ばれる領域である。
 ニワトリ胚やマウス胚において、両生類胚の尾部オーガナイザーに相当する領域は、原始線条の先端部から時期を追って形成される[[結節]]([[ノード]] [[node]])と呼ばれる領域である。
44行目: 44行目:
=== 菱脳 ===
=== 菱脳 ===


[[image:前後軸図2.jpg|thumb|300px|'''図2.脳原基の前後軸パターン化'''<br>マウス胚胎齢8.5日と10.5日における脳の区画化<br>
[[image:前後軸図2.jpg|thumb|300px|'''図3.脳原基の前後軸パターン化'''<br>マウス胚胎齢8.5日と10.5日における脳の区画化<br>
p1-3, prosomere 1-3; mb, midbrain; r1-7, rhombomere 1-7; ANR, anterior neural ridge; MHB, midbrain hindbrain boundary; Zli, zona limitance intrathalamica
p1-3, prosomere 1-3; mb, midbrain; r1-7, rhombomere 1-7; ANR, anterior neural ridge; MHB, midbrain hindbrain boundary; Zli, zona limitance intrathalamica
]]
]]
58行目: 58行目:
=== 前脳 ===
=== 前脳 ===


[[image:前後軸図3.jpg|thumb|300px|'''図3.大脳皮質原基の前後軸パターン化'''<br>大脳皮質原基における遺伝子発現 (<ref name=ref14><pubmed>18524571</pubmed></ref>を基に作成) F/M, prefrontal/motor cortex (前頭前皮質/運動野); S1, primary somatosensory cortex (一次体性感覚野); A1,primary auditory cortex (一次聴覚野); V1, primary visual cortex (一次視覚野)]]
[[image:前後軸図3.jpg|thumb|300px|'''図4.大脳皮質原基の前後軸パターン化'''<br>大脳皮質原基における遺伝子発現 (<ref name=ref14><pubmed>18524571</pubmed></ref>を基に作成) F/M, prefrontal/motor cortex (前頭前皮質/運動野); S1, primary somatosensory cortex (一次体性感覚野); A1,primary auditory cortex (一次聴覚野); V1, primary visual cortex (一次視覚野)]]


 前脳は間脳と終脳に分けられる。予定前脳領域神経板において非神経外胚葉と接する狭い領域は、前方神経境界領域 (anterior neural boundary: ANBまたはanterior neural ridge: ANR) と呼ばれている。この領域に発現するシグナリング分子FGF8は、近接する側方前脳領域において、脳形成に重要な転写因子BF1の発現を誘導する。したがって、前方神経境界領域は、前後軸が決定された後、さらに前脳をパターン化するためのシグナリングセンターとして重要である [5]。
 前脳は間脳と終脳に分けられる。予定前脳領域神経板において非神経外胚葉と接する狭い領域は、前方神経境界領域 (anterior neural boundary: ANBまたはanterior neural ridge: ANR) と呼ばれている。この領域に発現するシグナリング分子FGF8は、近接する側方前脳領域において、脳形成に重要な転写因子BF1の発現を誘導する。したがって、前方神経境界領域は、前後軸が決定された後、さらに前脳をパターン化するためのシグナリングセンターとして重要である [5]。