「前脳基底部」の版間の差分

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== アルツハイマー病  ==
== アルツハイマー病  ==


前頭基底部に病理的変化が生じるのがルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる<ref name="ref2"><pubmed>16014654</pubmed></ref>。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。  
前頭基底部に病理的変化が生じるのがアルツハイマー病であり、この病気の患者ではこの脳部位、とくにマイネルト基底核のコリン作動性ニューロンが減少している。アルツハイマー病患者ではこの脳部位のアセチルコリンが減少していることから認知・学習・記憶の能力が減退していると考えられる<ref name="ref2"><pubmed>16014654</pubmed></ref>。治療薬として用いられているドネペジルは脳内でアセチルコリンを分解するタンパク質「コリンエステラーゼ」の機能を抑制し、結果的にアセチルコリンの量を増やすことで、記憶学習機能の低下を防ぐと考えられる。ただ、この薬物は認知能力の減退を遅らせはするが、コリン作動性ニューロンの再生を促すことはないことから、アルツハイマー病そのものの治療効果はない。脳に入ってアセチルコリン受容体の働きを抑える薬物であるスコポラミンを健常人に投与すると、記憶障害など、アルツハイマー病と似たような状態が生じる。ネズミにスコポラミンを大量に投与すると、記憶学習の能力が落ちるため、記憶学習を回復させる薬物のスクリーニングにスコポラミンが使われることもある。  


== 睡眠に果たす役割  ==
== 睡眠に果たす役割  ==
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