前頭葉

提供:脳科学辞典
2012年4月5日 (木) 20:12時点におけるMasashihashimoto (トーク | 投稿記録)による版

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ヒトを含む哺乳類の大脳皮質は、前頭葉、頭頂葉、側頭葉および後頭葉に分けられる。前頭葉は、そのうち最も前部に位置し、中心溝より前、そして外側溝よりの上にある。特に、ヒトを含む霊長類では脳の前部の半分程度を占める広範囲の領域で、中心溝で頭頂葉と、外側溝で側頭葉と分けることができる。

前頭葉は一次運動野、運動前野、前頭前野(前頭連合野)から成り立ち、一次運動野、運動前野は運動の実行や準備に、また前頭前野は高度な認知機能に関わるとされている。一般的に前頭葉というと前頭前野(前頭連合野)をさすことが多い。

中心溝のすぐ前部にある一次運動野は脊髄の運動細胞に神経連絡があり、運動の実行に関わるとされる。一次運動野の神経細胞を電気刺激すると、刺激部位に対応した体部位の筋が収縮する。このように一次運動野には体の各部位に対応する体部位再現性がある。したがって、一次運動野を損傷すると、損傷部位に対応した体部位に麻痺が生じる。

一次運動野の前部にある運動前野は一次運動野や脊髄の運動細胞に神経連絡があり、運動の準備や実行に関わるとされる。運動前野を電気刺激すると、刺激部位によっては一次運動野同様、刺激部位に応じた体部位の筋が収縮する。しかし、一次運動野に比べて、刺激効果は弱く、運動が誘発されない部位もある。運動前野はさらにその細胞構築学的根拠や機能的根拠により複数領域に分けられている。

運動前野のさらに前部にある前頭前野は運動前野のみならず、他の脳部位との広範囲な神経連絡があり、高次な処理を受けたあらゆる外的、内的情報が入力する。また、ヒトを含む霊長類では、他の動物に比べて前頭前野の占める割合が最も高く、前頭前野は高度な認知機能に関わるとされる。