「周期性四肢麻痺」の版間の差分

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|colspan=2|'''低カリウム性周期性四肢麻痺(Hypokalemic periodic paralysis: HypoPP)'''
|colspan=2|'''低カリウム性周期性四肢麻痺(Hypokalemic periodic paralysis: HypoPP)'''
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|rowspan=2|遺伝性|| HypoPP1: CACNA1A遺伝子(常染色体優性遺伝)
|rowspan=2|遺伝性|| 1型: CACNA1A遺伝子(常染色体優性遺伝)
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|HypoPP2: SCN4A遺伝子(常染色体優性遺伝)
|2型: SCN4A遺伝子(常染色体優性遺伝)
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| 孤発性|| 孤発性周期性四肢麻痺(Sporadic periodic paralysis:SPP):疾患感受性一塩基多型が指摘されている。
| 孤発性|| 孤発性周期性四肢麻痺(Sporadic periodic paralysis:SPP):疾患感受性一塩基多型が指摘されている。
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 高カリウム性周期性四肢麻痺は、骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.4)のαサブユニットをコードするSCN4A遺伝子の変異による遺伝性疾患である。ヘテロ接合性変異がほとんどであり、常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す。
 高カリウム性周期性四肢麻痺は、骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.4)のαサブユニットをコードするSCN4A遺伝子の変異による遺伝性疾患である。ヘテロ接合性変異がほとんどであり、常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す。


 一方、低カリウム性周期性四肢麻痺の中には、骨格筋に発現するチャネル遺伝子の異常による遺伝性(一次性)と、内科的疾患に伴う二次性とがある。一次性には、骨格筋型電位依存性カルシウムチャネル(Cav1.1)のαサブユニットをコードするCACNA1S遺伝子の変異によるHypoPP1と、SCN4A遺伝子の変異によるHypoPP2とが知られている。いずれもヘテロ接合性変異がほとんどで、常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す<ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref>2。欧米では、HypoPP1が遺伝性低カリウム性周期性四肢麻痺の60%、HypoPP2が20%を占めるといわれている<ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref>2が、本邦での調査では、HypoPP2の割合が多い傾向が示されている<ref name=Sasaki2020><pubmed>32660787</pubmed></ref>4。遺伝性の残りの20%については原因不明であるが、近年、上記2つの遺伝子以外にも原因遺伝子として提唱されるものが報告されてきている(後述)。また、二次性については、本邦では甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム性周期性四肢麻痺(Thyrotoxic periodic paralysis:TPP)がほとんどであり、本邦におけるすべての周期性四肢麻痺の中で最多である。また、原因遺伝子に異常を認めず、内科的疾患の合併も認めない孤発性周期性四肢麻痺(Sporadic periodic paralysis:SPP)も存在する<ref name=Nakaza2020><pubmed>32234253</pubmed></ref>5。
 一方、低カリウム性周期性四肢麻痺の中には、骨格筋に発現するチャネル遺伝子の異常による遺伝性(一次性)と、内科的疾患に伴う二次性とがある。一次性には、骨格筋型電位依存性カルシウムチャネル(Cav1.1)のαサブユニットをコードするCACNA1S遺伝子の変異による低カリウム性周期性四肢麻痺1型と、SCN4A遺伝子の変異による低カリウム性周期性四肢麻痺2型とが知られている。いずれもヘテロ接合性変異がほとんどで、常染色体顕性(優性)遺伝形式を示す<ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref>2。欧米では、HypoPP1が遺伝性低カリウム性周期性四肢麻痺の60%、HypoPP2が20%を占めるといわれている<ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref>2が、本邦での調査では、HypoPP2の割合が多い傾向が示されている<ref name=Sasaki2020><pubmed>32660787</pubmed></ref>4。遺伝性の残りの20%については原因不明であるが、近年、上記2つの遺伝子以外にも原因遺伝子として提唱されるものが報告されてきている(後述)。また、二次性については、本邦では甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム性周期性四肢麻痺(Thyrotoxic periodic paralysis:TPP)がほとんどであり、本邦におけるすべての周期性四肢麻痺の中で最多である。また、原因遺伝子に異常を認めず、内科的疾患の合併も認めない孤発性周期性四肢麻痺(Sporadic periodic paralysis:SPP)も存在する<ref name=Nakaza2020><pubmed>32234253</pubmed></ref>5。


 Andersen-Tawil症候群は、遅延整流性カリウムチャネルKir2.1をコードするKCNJ2遺伝子の異常がほとんどである<ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref><ref name=Venance2006><pubmed>16195244</pubmed></ref>2,6。一部、Kir3.4をコードするKCNJ5遺伝子の変異例が報告されている<ref name=Kokunai2014><pubmed>24574546</pubmed></ref><ref name=Hiraide2020><pubmed>33199157</pubmed></ref>7,8。
 Andersen-Tawil症候群は、遅延整流性カリウムチャネルKir2.1をコードするKCNJ2遺伝子の異常がほとんどである<ref name=Statland2018><pubmed>29125635</pubmed></ref><ref name=Venance2006><pubmed>16195244</pubmed></ref>2,6。一部、Kir3.4をコードするKCNJ5遺伝子の変異例が報告されている<ref name=Kokunai2014><pubmed>24574546</pubmed></ref><ref name=Hiraide2020><pubmed>33199157</pubmed></ref>7,8。