「嗅周野」の版間の差分

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機能  
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嗅周野は高次感覚連合野と内側側頭葉記憶システム<ref name=refsq />の中間点に位置する。この点は嗅周野の機能を考える上で重要であり、実際、嗅周野は内側側頭葉記憶システムの一員として記憶機能に従事するという説と、高次感覚連合野の最終段階としてより高次の知覚処理に機能する説<ref><pubmed> 17636546 </pubmed></ref>があり論争が続いている。知覚と記憶のどちらの側に位置づけるにしろ、嗅周野は宣言的記憶に関連する神経情報の主要経路の一つとして、主にオブジェクトに関する情報を高次感覚連合野から受け取り、嗅内野を介して海馬に供給するとともに、海馬からの出力を高次感覚連合野に伝達する。嗅周野は宣言的記憶に関わる情報の連絡路としてだけでなく、それ自身が連合記憶に関係し、異なるオブジェクト間での関連付けや<ref name=refna><pubmed> 12684473 </pubmed></ref>、オブジェクトと報酬情報の間の関連付け<ref><pubmed> 10712488 </pubmed></ref>  <ref><pubmed> 16793883 </pubmed></ref>に寄与することが知られている。例えば2つの任意の視覚図形(例えば図形Aと図形B)をペアとして学習を行うと、対符号化細胞<ref><pubmed> 1944594  </ref></pubmed> (pair-coding neuron)と呼ばれる図形の組み合わせを表現する(図形Aと図形Bの両方に選択的な反応を示す)ニューロン群が嗅周野に多数出現する<ref name=refna />。
嗅周野は高次感覚連合野と内側側頭葉記憶システム<ref name=refsq />の中間点に位置する。この点は嗅周野の機能を考える上で重要であり、実際、嗅周野は内側側頭葉記憶システムの一員として記憶機能に従事するという説と、高次感覚連合野の最終段階としてより高次の知覚処理に機能する説<ref><pubmed> 17636546 </pubmed></ref>があり論争が続いている。知覚と記憶のどちらの側に位置づけるにしろ、嗅周野は宣言的記憶に関連する神経情報の主要経路の一つとして、主にオブジェクトに関する情報を高次感覚連合野から受け取り、嗅内野を介して海馬に供給するとともに、海馬からの出力を高次感覚連合野に伝達する。嗅周野は宣言的記憶に関わる情報の連絡路としてだけでなく、それ自身が連合記憶に関係し、異なるオブジェクト間での関連付けや<ref name=refna><pubmed> 12684473 </pubmed></ref>、オブジェクトと報酬情報の間の関連付け<ref><pubmed> 10712488 </pubmed></ref>  <ref><pubmed> 16793883 </pubmed></ref>に寄与することが知られている。例えば2つの任意の視覚図形(例えば図形Aと図形B)をペアとして学習を行うと、対符号化細胞<ref><pubmed> 1944594  </pubmed></ref> (pair-coding neuron)と呼ばれる図形の組み合わせを表現する(図形Aと図形Bの両方に選択的な反応を示す)ニューロン群が嗅周野に多数出現する<ref name=refna />。
嗅周野はある対象を知っているかどうかの判断にも寄与していると考えられている。これに関連して、嗅周野と海馬の間の機能分担に対する論争がある。ある対象を過去に経験したこととする再認(recognition)の過程にはには、その対象を知っている(気がする)場合(familiarity)と、その対象に関する具体的な情報を想起する場合(recollection)の2つの要素が重なり合っている。このとき、嗅周野は知っているかどうかに、海馬は想起にそれぞれ寄与するという説<ref><pubmed> 17417939 </ref></pubmed>と、両領域とも2つの要素のどちらにも寄与するという説<ref><pubmed> 21481629 </pubmed></ref>がある。
嗅周野はある対象を知っているかどうかの判断にも寄与していると考えられている。これに関連して、嗅周野と海馬の間の機能分担に対する論争がある。ある対象を過去に経験したこととする再認(recognition)の過程にはには、その対象を知っている(気がする)場合(familiarity)と、その対象に関する具体的な情報を想起する場合(recollection)の2つの要素が重なり合っている。このとき、嗅周野は知っているかどうかに、海馬は想起にそれぞれ寄与するという説<ref><pubmed> 17417939 </pubmed></ref>と、両領域とも2つの要素のどちらにも寄与するという説<ref><pubmed> 21481629 </pubmed></ref>がある。


参考文献
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<references />
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