「外傷後ストレス障害」の版間の差分

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 外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)とは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を強い恐怖、無力感、戦慄と共に経験もしくは目撃すること(トラウマ体験)で起きる障害である。 診断にはにアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association:APA)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision (DSM‐Ⅳ‐TR)と世界保健機構(WHO)の国際疾病分類第10版(International Statistical Classification of Disease: ICD-10)があるが研究では前者が用いられることが多い。  
 外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)とは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を強い恐怖、無力感、戦慄と共に経験もしくは目撃すること(トラウマ体験)で起きる障害である。 診断にはにアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association:APA)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision (DSM‐Ⅳ‐TR)と世界保健機構(WHO)の国際疾病分類第10版(International Statistical Classification of Disease: ICD-10)があるが研究では前者が用いられることが多い。  


 症状評価は自記式質問紙法と構造化面接法があり、診断確度、対象人数、面接可能時間などを考慮して評価方法を決定するべきである。<br> 治療は大きく精神療法と薬物療法に大別される。ランダム化比較試験で有効性を証明された精神療法にトラウマ焦点化心理療法があり、長時間暴露法(Prolonged Exposure: PE療法)、眼球運動による脱感作と再処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: EMDR)などがある。その他の精神療法に、トラウマ焦点化認知行動療法には認知処理療法(cognitive processing therapy:CPT)、認知療法(cognitive therapy:CT)、子供へのトラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)がある。トラウマ焦点化心理療法以外に[[wikipedia:ja:家族療法|家族療法]] 、[[wikipedia:ja:精神分析|精神分析]] などの治療も実施されている。薬物治療はランダム化比較試験で有効性が認められた[[wikipedia:ja:選択的セロトニン再取り込阻害薬|選択的セロトニン再取り込阻害薬]] (selective serotonine reuptake inhibitor:SSRI)と[[wikipedia:ja:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬|セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬]](serotonine norepinephrine reuptake inhibitor:SNRI)が第一選択薬として推奨されている。  
 症状評価は自記式質問紙法と構造化面接法があり、診断確度、対象人数、面接可能時間などを考慮して評価方法を決定するべきである。<br> 治療は大きく精神療法と薬物療法に大別される。ランダム化比較試験で有効性を証明された精神療法にトラウマ焦点化心理療法があり、長時間暴露法(Prolonged Exposure: PE療法)、眼球運動による脱感作と再処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: EMDR)などがある。その他の精神療法に、トラウマ焦点化認知行動療法には認知処理療法(cognitive processing therapy:CPT)、認知療法(cognitive therapy:CT)、子供へのトラウマ焦点化認知行動療法(TF-CBT)などがある。薬物治療はランダム化比較試験で有効性が認められた[[wikipedia:ja:選択的セロトニン再取り込阻害薬|選択的セロトニン再取り込阻害薬]] (selective serotonine reuptake inhibitor:SSRI)と[[wikipedia:ja:セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬|セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬]](serotonine norepinephrine reuptake inhibitor:SNRI)が第一選択薬として推奨されている。  


 全米疫学調査では生涯有病率は男性5.0%、女性10.4%だった。トラウマ体験の違いによりPTSD発症率に差があること、PTSDに他の精神障害が合併しやすいことが知られている。&nbsp;  
 全米疫学調査では生涯有病率は男性5.0%、女性10.4%だった。トラウマ体験の違いによりPTSD発症率に差があること、PTSDに他の精神障害が合併しやすいことが知られている。&nbsp;