「外傷後ストレス障害」の版間の差分

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  PTSDに対して、これまでさまざまな治療法が試みられてきた。ランダム化比較試験で有効性を証明された治療法は認知行動療法、眼球運動による脱感作と最処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: EMDR)、抗うつ薬による治療である。2005年の英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence: NICE)のガイドライン(参考文献:NICE HPの乗せ方がわからない)では、トラウマ焦点化心理療法を基本的な第一選択とし、薬物療法はトラウマ焦点化心理療法を拒否する時かトラウマ体験の影響で試行できない時、トラウマ焦点化心理療法で十分な効果が得られない時、うつ病などの合併症の強化療法時などに限定して推奨している。  
  PTSDに対して、これまでさまざまな治療法が試みられてきた。ランダム化比較試験で有効性を証明された治療法は認知行動療法、眼球運動による脱感作と最処理法(Eye Movement Desensitization and Reprocessing: EMDR)、抗うつ薬による治療である。2005年の英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence: NICE)のガイドライン(参考文献:NICE HPの乗せ方がわからない)では、トラウマ焦点化心理療法を基本的な第一選択とし、薬物療法はトラウマ焦点化心理療法を拒否する時かトラウマ体験の影響で試行できない時、トラウマ焦点化心理療法で十分な効果が得られない時、うつ病などの合併症の強化療法時などに限定して推奨している。  


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=== トラウマ焦点化心理療法  ===
=== トラウマ焦点化心理療法  ===
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===   神経心理的知見  ===
===   神経心理的知見  ===
<pre>===神経心理的知見===</pre>  
<pre>===神経心理的知見===</pre>  
 PTSDの再体験、過覚醒症状は トラウマ体験に対する[[恐怖条件づけ]]とみなすと理解しやすく、暴露療法が有効であることも恐怖条件づけの消去現象と考えると理解しやすい。[[恐怖条件づけ]]を司る[[扁桃体]]と内側前頭前野との連絡についての解剖学的知見や内側前頭前野の破壊が恐怖の消去を阻害することを示した動物実験からの知見などが集積され、現在は[[扁桃体]]、内側前頭前野、[[海馬]]などを含んだ神経回路モデルが想定されている。(図挿入:「PTSDとは何か」から 許可申請必要?)&nbsp;。神経回路モデルは形態学的な研究も行われており、扁桃体、内側前頭前野の一部である[[前帯状皮質]]と[[海馬]]がPTSD患者で体積が減少していたとする報告がある。<br>  
 PTSDの再体験、過覚醒症状は トラウマ体験に対する[[恐怖条件づけ]]とみなすと理解しやすく、暴露療法が有効であることも恐怖条件づけの消去現象と考えると理解しやすい。[[恐怖条件づけ]]を司る[[扁桃体]]と内側前頭前野との連絡についての解剖学的知見や内側前頭前野の破壊が恐怖の消去を阻害することを示した動物実験からの知見などが集積され、現在は[[扁桃体]]、内側前頭前野、[[海馬]]などを含んだ神経回路モデルが想定されている。(図挿入:「PTSDとは何か」から 許可申請必要?)&nbsp;。神経回路モデルは形態学的な研究も行われており、扁桃体、内側前頭前野の一部である[[前帯状皮質]]と[[海馬]]がPTSD患者で体積が減少していたとする報告がある。<br>  
 
   


  その他、PTSDがストレス反応であるとの視点からストレス系ホルモンについての研究がなされている。24時間血漿コルチゾール値で夜間と早朝のベースラインレベルがうつ病患者や健常対照群と比較して有意に低く、視床下部-下垂体-副腎皮質系機能(hypothalamic-pituitary-adrenal:HPA系)の調節異常が示唆されている。また、デキサメタゾン試験によるコルチゾール分泌の過剰抑制、リンパ球グルココルチコイド受容体の数の増加と感受性亢進と視床下部におけるコルチコトロピン放出因子の分泌亢進が示唆されている。<br>→  
  その他、PTSDがストレス反応であるとの視点からストレス系ホルモンについての研究がなされている。24時間血漿コルチゾール値で夜間と早朝のベースラインレベルがうつ病患者や健常対照群と比較して有意に低く、視床下部-下垂体-副腎皮質系機能(hypothalamic-pituitary-adrenal:HPA系)の調節異常が示唆されている。また、デキサメタゾン試験によるコルチゾール分泌の過剰抑制、リンパ球グルココルチコイド受容体の数の増加と感受性亢進と視床下部におけるコルチコトロピン放出因子の分泌亢進が示唆されている。<br>→  
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