「外国語学習」の版間の差分

120行目: 120行目:


==== 言語産出のプロセス ====
==== 言語産出のプロセス ====
 音声を中心としたコミュニケーションの心理言語学的モデルの一つに、Levelt<ref name=ref2 />の言語の理解と生成における'''[[語彙仮説モデル]]'''がある。このモデルでは、まず、スピーキングのプロセスとして、'''[[概念化装置]]'''(CONCEPTUALIZER)でプラニングされた発話すべきメッセージは、'''[[形式化装置]]'''(FORMULARTOR)で文法コード化(grammatical encoding)および音韻コード化(phonological encoding)の操作が施される。このとき、メンタルレキシコン(mental lexicon)に格納されているレマ(lemma)情報によって統語的表象を構築し、レキシーム(lexeme)情報によって音韻表象が構築される。最終的に'''[[調音]]'''(ARTICULATION)がなされて、発話(アウトプット)に至るプロセスが示されている。
 音声を中心としたコミュニケーションの心理言語学的モデルの一つに、Leveltら<ref name=ref2 />の言語の理解と生成における'''[[語彙仮説モデル]]'''がある。このモデルでは、まず、スピーキングのプロセスとして、'''[[概念化装置]]'''(CONCEPTUALIZER)でプラニングされた発話すべきメッセージは、'''[[形式化装置]]'''(FORMULARTOR)で文法符号化(grammatical encoding)および音韻符号化(phonological encoding)の操作が施される。文法符号化の処理では、メンタルレキシコン(mental lexicon)に格納されているレマ(lemma)情報を選択し(左中側頭回の中間部)、統語的表象が構築される(左下前頭回)。音韻符号化の処理では、レキシコンに格納されているレキシーム(lexeme)情報にアクセスし(左上・中側頭回の後部)、音韻表象が構築される(左下前頭回の後部)。最終的に、音声的符号化が行われ、'''[[調音]]'''(ARTICULATION)がなされて(両側運動野、体性感覚野腹側部など)、発話(アウトプット)に至るとされている。


 外国語のスピーキングにおける困難点は、①発音を知らない、発音の仕方が分からない、②言いたいことを伝える語や表現がすぐに[[想起]]できない、③文法知識の欠如、文をすぐに構築できない、④正確さを気にしすぎて、間違いを犯すことを[[恐れ]]る、⑤母語で考えて、それを外国語に置き換えようとする、などが挙げられる。
 外国語のスピーキングにおける困難点は、①発音を知らない、発音の仕方が分からない、②言いたいことを伝える語や表現がすぐに[[想起]]できない、③文法知識の欠如、文をすぐに構築できない、④正確さを気にしすぎて、間違いを犯すことを[[恐れ]]る、⑤母語で考えて、それを外国語に置き換えようとする、などが挙げられる。
79

回編集