「夢」の版間の差分

32 バイト追加 、 2016年2月17日 (水)
75行目: 75行目:
LeBergeらは、明晰夢の経験者を対象として、夢を見ていることに気づいたら手を握って知らせ、また自分が覚醒していると感じた場合には目を動かすようにという教示を被験者におこない、睡眠ポリグラムの測定と夢内容の聴取をおこなった。明晰夢の報告があり、教示した運動が記録された場合では、夢内容と睡眠ポリグラムとが高い割合で一致し、そのすべてがレム睡眠中に生じていた<ref name="Laberge1981">'''[[SP]] LABERGE, L NAGEL, WC DEMENT, V ZARCONE JR'''<br>Lucid dreaming verified by volitional communication during REM sleep.<br> ''Percept Mot Skills'': 1981, 52(3); 727-732.</ref>。  
LeBergeらは、明晰夢の経験者を対象として、夢を見ていることに気づいたら手を握って知らせ、また自分が覚醒していると感じた場合には目を動かすようにという教示を被験者におこない、睡眠ポリグラムの測定と夢内容の聴取をおこなった。明晰夢の報告があり、教示した運動が記録された場合では、夢内容と睡眠ポリグラムとが高い割合で一致し、そのすべてがレム睡眠中に生じていた<ref name="Laberge1981">'''[[SP]] LABERGE, L NAGEL, WC DEMENT, V ZARCONE JR'''<br>Lucid dreaming verified by volitional communication during REM sleep.<br> ''Percept Mot Skills'': 1981, 52(3); 727-732.</ref>。  


[[脳波]]を用いた研究からは、明晰夢がレム睡眠中でも特異な状況であることが分かっている。Tysonらは α帯域パワと夢の明晰度との関係を検討し、この2つには逆U字型の関係があることを示した<ref><pubmed>6463177</pubmed></ref>。覚醒時のα帯域パワも覚醒水準と逆U字型の関係があることが知られており、明晰度と覚醒水準との間に対応関係を仮定することができるならば、明晰夢には覚醒に至らないまでもかなり高い覚醒水準が求められるのかもしれない。  
[[脳波]]を用いた研究からは、明晰夢がレム睡眠中でも特異な状況であることが分かっている。Tysonらは α帯域パワと夢の明晰度との関係を検討し、この2つには逆U字型の関係があることを示した<ref name="Tyson1984"><pubmed>6463177</pubmed></ref>。覚醒時のα帯域パワも覚醒水準と逆U字型の関係があることが知られており、明晰度と覚醒水準との間に対応関係を仮定することができるならば、明晰夢には覚醒に至らないまでもかなり高い覚醒水準が求められるのかもしれない。  


明晰夢は、被験者が現在夢を見ていることを覚醒後の言語報告ではなくリアルタイムに知ることができるという意味で新たな夢の実験的研究法として1980年代に注目を浴びた。さらに夢の研究にとどまらず、意識がどのように生み出されるのかという観点からも非常に興味深い現象であるが、誰にでも頻繁に生じる現象ではないことから、研究自体は下火になった。近年になってVossらは、被験者の両側の前頭部と側頭部に電極を装着し,レム睡眠時に2~100Hzの閾値下の微弱な電流刺激(250 μA)を30秒間与え(経頭蓋交流電気刺激, transcranial alternative current stimulation: tACS)、その後に覚醒させて夢内容を聴取した。その結果、40および25Hzの刺激を与えた条件においてのみ、前頭~側頭領域に刺激周波数に対応したガンマ波が出現するとともに明晰夢を報告する割合が高くなった<ref><pubmed>24816141</pubmed></ref>。tACSの問題点として、陽極と陰極の間で電流が脳内のどの部位を流れるかが不明であり、結果の再現性の問題も含めてさらなる検証が必要ではあるが、明晰夢のみならず、意識の発生メカニズムという観点からも興味深い知見である。
明晰夢は、被験者が現在夢を見ていることを覚醒後の言語報告ではなくリアルタイムに知ることができるという意味で新たな夢の実験的研究法として1980年代に注目を浴びた。さらに夢の研究にとどまらず、意識がどのように生み出されるのかという観点からも非常に興味深い現象であるが、誰にでも頻繁に生じる現象ではないことから、研究自体は下火になった。近年になってVossらは、被験者の両側の前頭部と側頭部に電極を装着し,レム睡眠時に2~100Hzの閾値下の微弱な電流刺激(250μA)を30秒間与え(経頭蓋交流電気刺激, transcranial alternative current stimulation: tACS)、その後に覚醒させて夢内容を聴取した。その結果、40および25Hzの刺激を与えた条件においてのみ、前頭~側頭領域に刺激周波数に対応したガンマ波が出現するとともに明晰夢を報告する割合が高くなった<ref name="Voss2014"><pubmed>24816141</pubmed></ref>。tACSの問題点として、陽極と陰極の間で電流が脳内のどの部位を流れるかが不明であり、結果の再現性の問題も含めてさらなる検証が必要ではあるが、明晰夢のみならず、意識の発生メカニズムという観点からも興味深い知見である。


=== レム睡眠時の急速眼球運動と夢の関連(走査仮設)  ===
=== レム睡眠時の急速眼球運動と夢の関連(走査仮設)  ===
76

回編集