「大脳皮質」の版間の差分

 
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== 連合野 ==
== 連合野 ==
 上記の機能局在な明瞭な皮質領域を除くと、ヒトでは大脳皮質の約2/3にも相当する広い領域が残され、これらの領域を[[連合野]][association area]]という。連合野は、感覚情報の高度な統合による認知、複数の感覚の総合、感覚と運動の統合、過去の経験([[記憶]])と関連、[[随意運動]]、[[情動行動]]、[[言語機能]]、[[精神機能]]、[[作業記憶]]([[ワーキングメモリー]])などより高次な脳機能を具現化している皮質領域である。連合野の特徴は、[[髄鞘]]化が最も遅く始まり、進化するにつれて大脳皮質全体に占める比率が大きくなり、ヒトでその比率は最大となっている。
 上記の機能局在な明瞭な皮質領域を除くと、ヒトでは大脳皮質の約2/3にも相当する広い領域が残され、これらの領域を[[連合野]][[association area]]という。連合野は、感覚情報の高度な統合による認知、複数の感覚の総合、感覚と運動の統合、過去の経験([[記憶]])と関連、[[随意運動]]、[[情動行動]]、[[言語機能]]、[[精神機能]]、[[作業記憶]]([[ワーキングメモリー]])などより高次な脳機能を具現化している皮質領域である。連合野の特徴は、[[髄鞘]]化が最も遅く始まり、進化するにつれて大脳皮質全体に占める比率が大きくなり、ヒトでその比率は最大となっている。


 ヒトでは[[前頭連合野]]が発達し、その中心となる[[前頭前野]]([[前頭前皮質]])は一次運動野と一次感覚性皮質以外の全ての新皮質と相互に連絡し、[[側頭連合野]]や[[頭頂連合野]]からの情報を統合して、前頭前野は行動の企画や順序立て、結果の予測と行動抑制、状況に応じた行動の切り替えなどの遂行機能から、観念的思考、推論、判断、評価などの高次な認知機能に関わる。前頭前野の背外側部はワーキングメモリーに関わる。腹側部の[[前頭眼窩皮質]]は、[[視床背内側核]]を介して扁桃体・中隔・側頭葉極などの大脳辺縁系と連絡し、[[情動]]・[[動機づけ]]機能とそれに基づく意思決定過程に関わる。前頭前野は理性が[[本能]](大脳辺縁系)を制御して逸脱した行動を抑制している。
 ヒトでは[[前頭連合野]]が発達し、その中心となる[[前頭前野]]([[前頭前皮質]])は一次運動野と一次感覚性皮質以外の全ての新皮質と相互に連絡し、[[側頭連合野]]や[[頭頂連合野]]からの情報を統合して、前頭前野は行動の企画や順序立て、結果の予測と行動抑制、状況に応じた行動の切り替えなどの遂行機能から、観念的思考、推論、判断、評価などの高次な認知機能に関わる。前頭前野の背外側部はワーキングメモリーに関わる。腹側部の[[前頭眼窩皮質]]は、[[視床背内側核]]を介して扁桃体・中隔・側頭葉極などの大脳辺縁系と連絡し、[[情動]]・[[動機づけ]]機能とそれに基づく意思決定過程に関わる。前頭前野は理性が[[本能]](大脳辺縁系)を制御して逸脱した行動を抑制している。