「性行動の神経回路」の版間の差分

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 脳内の代表的なペプチドホルモンとして、視床下部ニューロンで産生され、脳底の[[正中隆起]]とよばれる部位の[[脳下垂体門脈]]血中に放出され、[[脳下垂体前葉]]に運ばれて[[脳下垂体ホルモン]]放出を促進・抑制する、いわゆる[[向下垂体ホルモン]](hypophysiotropic hormone)とよばれる一群のホルモンがある。
 脳内の代表的なペプチドホルモンとして、視床下部ニューロンで産生され、脳底の[[正中隆起]]とよばれる部位の[[脳下垂体門脈]]血中に放出され、[[脳下垂体前葉]]に運ばれて[[脳下垂体ホルモン]]放出を促進・抑制する、いわゆる[[向下垂体ホルモン]](hypophysiotropic hormone)とよばれる一群のホルモンがある。


  ここで解説する生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone, GnRH)は、生殖を中枢制御する働きをもつ視床下部ホルモンとして、1977年ノーベル生理学・医学賞を受賞したギルマンとシャリーにより発見された代表的な視床下部ホルモンである。近年免疫組織化学およびin situ hybridization(ISH)を用いた形態学的な研究がなされ、脊椎動物脳内では、形態的・機能的に異なる以下の3つのGnRH神経系が存在している(GnRHには3つのパラログ遺伝子、gnrh1, gnrh2, gnrh3が存在しており、それぞれのパラログが異なるニューロン群に発現し、異なる機能を果たす)という基本的コンセンサスが得られている('''図5''')<ref name=ref8><pubmed> 7636018 </pubmed></ref>。
 ここで解説する生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(gonadotropin-releasing hormone, GnRH)は、生殖を中枢制御する働きをもつ視床下部ホルモンとして、1977年ノーベル生理学・医学賞を受賞したギルマンとシャリーにより発見された代表的な視床下部ホルモンである。近年免疫組織化学およびin situ hybridization(ISH)を用いた形態学的な研究がなされ、脊椎動物脳内では、形態的・機能的に異なる以下の3つのGnRH神経系が存在している(GnRHには3つのパラログ遺伝子、gnrh1, gnrh2, gnrh3が存在しており、それぞれのパラログが異なるニューロン群に発現し、異なる機能を果たす)という基本的コンセンサスが得られている('''図5''')<ref name=ref8><pubmed> 7636018 </pubmed></ref>。


#視索前野GnRH1(POA-GnRH)神経系 ;視索前野の細胞体から[[軸索]]を正中隆起に投射して、下垂体門脈系を介して下垂体からの性腺刺激ホルモン放出を促進する(ただし、[[wj:真骨魚|真骨魚]]においては直接下垂体前葉に投射)。遺伝子パラログgnrh1を発現。
#視索前野GnRH1(POA-GnRH)神経系 ;視索前野の細胞体から[[軸索]]を正中隆起に投射して、下垂体門脈系を介して下垂体からの性腺刺激ホルモン放出を促進する(ただし、[[wj:真骨魚|真骨魚]]においては直接下垂体前葉に投射)。遺伝子パラログgnrh1を発現。