「情報量」の版間の差分

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として定義される。この定義で、自己情報量でなくエントロピーを使っているのには理由がある。サイコロの例などは、起きる事象が一つに確定できるのでわかりやすいが、より一般には、ある情報が与えられた後で、事象が確定できない場合のほうが多い。一例をあげると、翌日の天気を予測するのに、なにも知らないで予測するのと、天気予報の情報を得て予測する、という二つの場合を比べるときに、即ち天気予報の情報量を求めるときに、まだ翌日の天気は分かっていない、つまり自己情報量を用いることはできない。このような自己情報量を用いることができない場合も含めて、情報量を考えるためには、エントロピーの差として情報量を定義するほうが自然なのである。大胆に言えば、以上が「情報量」の本質である。以下、いくつかの但し書きを述べておく。  
として定義される。この定義で、自己情報量でなくエントロピーを使っているのには理由がある。サイコロの例などは、起きる事象が一つに確定できるのでわかりやすいが、より一般には、ある情報が与えられた後で、事象が確定できない場合のほうが多い。一例をあげると、翌日の天気を予測するのに、なにも知らないで予測するのと、天気予報の情報を得て予測する、という二つの場合を比べるときに、即ち天気予報の情報量を求めるときに、まだ翌日の天気は分かっていない、つまり自己情報量を用いることはできない。このような自己情報量を用いることができない場合も含めて、情報量を考えるためには、エントロピーの差として情報量を定義するほうが自然なのである。大胆に言えば、以上が「情報量」の本質である。以下、いくつかの但し書きを述べておく。  


1. 上に記述した情報量の概念を、複数の事象の確率(確率変数)に対して拡張することが一般的に可能である。なかでも、最も基本的なのは、二つの確率に基づく複合事象の関係に対して定義される「相互情報量」と「条件付きエントロピー」の概念である。二つの異なる事象系を考え、一つの系を<span class="texhtml">''i'' = 1,...,''n''</span> で番号づけして、各々の事象を<span class="texhtml">''A''<sub>''i''</sub></span> と表し、もう一つの系を<span class="texhtml">''j'' = 1,...,''m''</span> で番号づけして、各々の事象を<span class="texhtml">''B''<sub>''j''</sub></span> で表すと複合事象は<span class="texhtml">(''A''<sub>''i''</sub>.''B''<sub>''j''</sub>)の組として与えられる。このとき相互情報量</span><span class="texhtml">相互情報量</span>
1. 上に記述した情報量の概念を、複数の事象の確率(確率変数)に対して拡張することが一般的に可能である。なかでも、最も基本的なのは、二つの確率に基づく複合事象の関係に対して定義される「相互情報量」と「条件付きエントロピー」の概念である。二つの異なる事象系を考え、一つの系を<span class="texhtml">''i'' = 1,...,''n''</span> で番号づけして、各々の事象を<span class="texhtml">''A''<sub>''i''</sub></span> と表し、もう一つの系を<span class="texhtml">''j'' = 1,...,''m''</span> で番号づけして、各々の事象を<span class="texhtml">''B''<sub>''j''</sub></span> で表すと複合事象は<span class="texhtml">(''A''<sub>''i''</sub>.''B''<sub>''j''</sub>)の組として与えられる。このとき相互情報量
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