「成長円錐」の版間の差分

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アクチン繊維と結合した接着分子は、アクチンの後方移動に伴って成長円錐中心部へと運ばれてしまう。そのために、成長円錐ではその前方移動を恒常的に維持するため、後方へ移動した接着分子を周辺環境から脱着し、再び成長円錐先端部へと輸送し再利用する機構が存在すると考えられている。例えば、アクチン繊維の後方移動により中心部に到達したL1は、[[クラスリン]]依存的[[エンドサイトーシス]]によって膜小胞に取り込まれた後、微小管のガイドによって細胞質内を成長円錐先端部まで輸送され、形質膜に再挿入される。一方、インテグリンは成長円錐形質膜上を中心部から先端部に向かって順行性に移動しうることから、エンドサイトーシス非依存的な接着分子のリサイクル機構も存在すると考えられている。  
アクチン繊維と結合した接着分子は、アクチンの後方移動に伴って成長円錐中心部へと運ばれてしまう。そのために、成長円錐ではその前方移動を恒常的に維持するため、後方へ移動した接着分子を周辺環境から脱着し、再び成長円錐先端部へと輸送し再利用する機構が存在すると考えられている。例えば、アクチン繊維の後方移動により中心部に到達したL1は、[[クラスリン]]依存的[[エンドサイトーシス]]によって膜小胞に取り込まれた後、微小管のガイドによって細胞質内を成長円錐先端部まで輸送され、形質膜に再挿入される。一方、インテグリンは成長円錐形質膜上を中心部から先端部に向かって順行性に移動しうることから、エンドサイトーシス非依存的な接着分子のリサイクル機構も存在すると考えられている。  


'''== 軸索ガイダンスによる制御  =='''
== 軸索ガイダンスによる制御  ==


神経回路の形成過程において、成長円錐は細胞周辺に存在する軸索ガイダンス因子を検出するアンテナとして機能し、軸索ガイダンス因子の空間情報を軸索の伸長方向の制御へと変換するために必要な構造である。成長円錐の運動性は糸状仮足と葉状仮足の伸展と退縮と相関しているが、特に糸状仮足は成長円錐の中でも初めに軸索ガイダンス因子に遭遇する場所であり成長円錐の旋回運動の制御に重要であると考えられている。糸状仮足は誘引性ガイダンス因子に遭遇すると安定化され、一方反発性ガイダンス因子に遭遇すると退縮する。もし、この応答が成長円錐の前後軸に対し片側で起きると成長円錐はガイダンス因子に対し誘引あるいは反発する方向へと旋回する。このような成長円錐の旋回運動は経路選択過程や特定のチェックポイントにおいて重要である。  
神経回路の形成過程において、成長円錐は細胞周辺に存在する軸索ガイダンス因子を検出するアンテナとして機能し、軸索ガイダンス因子の空間情報を軸索の伸長方向の制御へと変換するために必要な構造である。成長円錐の運動性は糸状仮足と葉状仮足の伸展と退縮と相関しているが、特に糸状仮足は成長円錐の中でも初めに軸索ガイダンス因子に遭遇する場所であり成長円錐の旋回運動の制御に重要であると考えられている。糸状仮足は誘引性ガイダンス因子に遭遇すると安定化され、一方反発性ガイダンス因子に遭遇すると退縮する。もし、この応答が成長円錐の前後軸に対し片側で起きると成長円錐はガイダンス因子に対し誘引あるいは反発する方向へと旋回する。このような成長円錐の旋回運動は経路選択過程や特定のチェックポイントにおいて重要である。


=== 軸索ガイダンス因子  ===
=== 軸索ガイダンス因子  ===
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