「抗うつ薬」の版間の差分

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 そのため、うつ病の病因に関する仮説の焦点は、モノアミンなどの神経伝達物質そのものから、シナプス後神経細胞の情報伝達系の異常に移り、抗うつ効果は転写調節因子cAMP response element binding protein(CREB)とその活性型pCREBが誘導され、脳由来神経成長因子(BDNF)産生の上昇がストレスにより障害を受けた神経細胞を修復し、情動回路の機能を正常化させる神経可塑的変化が関与していると考えられている。
 そのため、うつ病の病因に関する仮説の焦点は、モノアミンなどの神経伝達物質そのものから、シナプス後神経細胞の情報伝達系の異常に移り、抗うつ効果は転写調節因子cAMP response element binding protein(CREB)とその活性型pCREBが誘導され、脳由来神経成長因子(BDNF)産生の上昇がストレスにより障害を受けた神経細胞を修復し、情動回路の機能を正常化させる神経可塑的変化が関与していると考えられている。
 うつ病患者の血漿BDNF濃度は、健常者と比較して低下しており、うつ状態を招く様々なストレスはBDNFの発現を低下させ、抗うつ薬は逆に発現を上昇させることが報告されているが1)、必ずしも再現性をもって報告されておらず、抗うつ薬の治療効果は、どのような機序によりもたらされるのか、未だ特定されていない。
 
 うつ病患者の血漿BDNF濃度は、健常者と比較して低下しており、うつ状態を招く様々なストレスはBDNFの発現を低下させ、抗うつ薬は逆に発現を上昇させることが報告されているが<ref><pubmed>18571629</pubmed></ref>)、必ずしも再現性をもって報告されておらず、抗うつ薬の治療効果は、どのような機序によりもたらされるのか、未だ特定されていない。