「操作的診断基準(精神疾患の)」の版間の差分

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英語名:operational diagnostic criteria
英語名:operational diagnostic criteria
 操作的診断基準は、原因不明なため、検査法がなく、臨床症状に依存して診断せざるを得ない精神疾患に対し、信頼性の高い診断を与えるために、明確な基準を設けた診断基準である。操作的診断基準を用いて均一の患者群を抽出することによって、病態解明の研究や疫学調査を推進することに加え、治療成績や転帰の比較検討を可能にするといった意義がある。


 診断信頼性を減少させる主な要因としては、①情報分散、②観察/解釈分散、③基準分散の3つが知られている。それに対して、診断のために必要な情報を提示し、その観察や解釈についての説明を明記し、得られた情報から診断が下されるための一種の規則、すなわち診断基準を明確に定義することで、それらの要因を最小限にしようとする試みがなされる。特に、③基準分散を重視すると、明確な操作的定義(=診断基準)の設定が必要となる。これが操作的診断基準である。言い換えれば、操作的診断基準とは、「診断を下すためには、以下の基準の三つ(またはそれ以上)が過去12ヶ月の間に存在すること」というように、明確な基準を設けた診断基準である。これによって、症状項目リストの提示が必然的に行われ、症状学の不足による①情報分散も同時に大きく改善される。一方、②観察/解釈分散については、症状学に対する十分な研修が必要である。そして、適切な診断基準によってより均一の患者群を抽出することが可能となる。その目的は、①病態解明だけでなく、それぞれの医療機関や医師の間での②治療成績や③転帰の比較検討を可能にすること、そして④[[wikipedia:JA:疫学|疫学]]的調査への有用性である。したがって、極言すれば、診断基準は元々、個々の患者での診断を正確に行うために作られたものではないとも言える。
 診断信頼性を減少させる主な要因としては、①情報分散、②観察/解釈分散、③基準分散の3つが知られている。それに対して、診断のために必要な情報を提示し、その観察や解釈についての説明を明記し、得られた情報から診断が下されるための一種の規則、すなわち診断基準を明確に定義することで、それらの要因を最小限にしようとする試みがなされる。特に、③基準分散を重視すると、明確な操作的定義(=診断基準)の設定が必要となる。これが操作的診断基準である。言い換えれば、操作的診断基準とは、「診断を下すためには、以下の基準の三つ(またはそれ以上)が過去12ヶ月の間に存在すること」というように、明確な基準を設けた診断基準である。これによって、症状項目リストの提示が必然的に行われ、症状学の不足による①情報分散も同時に大きく改善される。一方、②観察/解釈分散については、症状学に対する十分な研修が必要である。そして、適切な診断基準によってより均一の患者群を抽出することが可能となる。その目的は、①病態解明だけでなく、それぞれの医療機関や医師の間での②治療成績や③転帰の比較検討を可能にすること、そして④[[wikipedia:JA:疫学|疫学]]的調査への有用性である。したがって、極言すれば、診断基準は元々、個々の患者での診断を正確に行うために作られたものではないとも言える。