「操作的診断基準(精神疾患の)」の版間の差分

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英語名:operational diagnostic criteria
 診断信頼性を減少させる主な要因としては、①情報分散、②観察/解釈分散、③基準分散の3つが知られている。それに対して、診断のために必要な情報を提示し、その観察や解釈についての説明を明記し、得られた情報から診断が下されるための一種の規則、すなわち診断基準を明確に定義することで、それらの要因を最小限にしようとする試みがなされる。特に、③基準分散を重視すると、明確な操作的定義(=診断基準)の設定が必要となる。これが操作的診断基準である。言い換えれば、操作的診断基準とは、「診断を下すためには、以下の基準の三つ(またはそれ以上)が過去12ヶ月の間に存在すること」というように、明確な基準を設けた診断基準である。これによって、症状項目リストの提示が必然的に行われ、症状学の不足による①情報分散も同時に大きく改善される。一方、②観察/解釈分散については、症状学に対する十分な研修が必要である。そして、適切な診断基準によってより均一の患者群を抽出することが可能となる。その目的は、①病態解明だけでなく、それぞれの医療機関や医師の間での②治療成績や③転帰の比較検討を可能にすること、そして④疫学的調査への有用性である。したがって、診断基準は個々の患者での診断を正確に行うためのものではない。
 診断信頼性を減少させる主な要因としては、①情報分散、②観察/解釈分散、③基準分散の3つが知られている。それに対して、診断のために必要な情報を提示し、その観察や解釈についての説明を明記し、得られた情報から診断が下されるための一種の規則、すなわち診断基準を明確に定義することで、それらの要因を最小限にしようとする試みがなされる。特に、③基準分散を重視すると、明確な操作的定義(=診断基準)の設定が必要となる。これが操作的診断基準である。言い換えれば、操作的診断基準とは、「診断を下すためには、以下の基準の三つ(またはそれ以上)が過去12ヶ月の間に存在すること」というように、明確な基準を設けた診断基準である。これによって、症状項目リストの提示が必然的に行われ、症状学の不足による①情報分散も同時に大きく改善される。一方、②観察/解釈分散については、症状学に対する十分な研修が必要である。そして、適切な診断基準によってより均一の患者群を抽出することが可能となる。その目的は、①病態解明だけでなく、それぞれの医療機関や医師の間での②治療成績や③転帰の比較検討を可能にすること、そして④疫学的調査への有用性である。したがって、診断基準は個々の患者での診断を正確に行うためのものではない。


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 疾患分類には、カテゴリー的(categorical)分類とディメンション(dimensional)方式がある。前者は現在DSM-ⅣやICD-10で主に用いられ、精神疾患を定義する特徴を記した基準の組み合わせに基づいて病型に分ける、つまり、臨床症状を各カテゴリーによって割り付けるものである。しかしながらこの分類方式は、①分類された一群が均一である時、②各分類間の境界が明確である時、そして③他の分類とは相互背反的である時、最も有効なため、そもそも精神疾患での使用には限界がある。一方、ディメンション方式は、各要素の数量化に基づいて分類し、分散が連続的で明瞭な境界線を持たない現象の記述に最も適する。つまり、ディメンジョン方式は、症状の重症度を“症状なし”から“重度”まで評価することで、カテゴリー方式では閾値以下であった臨床的特徴も記述でき、個々の患者へのより適切な治療を提供できるかもしれない。一方で、数量的なディメンション式記述はカテゴリー式病名に比べ、はるかになじみのないことや生き生きとした描写にも欠ける等の欠点もある。したがって、どちらが精神疾患の分類に適しているかはまだ合意がなされていない。なお、2010年2月に発表されたDSM-5のドラフト(案)では、カテゴリー診断アプローチを損なうことなく、新たにディメンジョン要素を追加するために、抑うつ、不安、睡眠、自殺等を横断的に評価する患者自己記入尺度の導入も提案されている。
 疾患分類には、カテゴリー的(categorical)分類とディメンション(dimensional)方式がある。前者は現在DSM-ⅣやICD-10で主に用いられ、精神疾患を定義する特徴を記した基準の組み合わせに基づいて病型に分ける、つまり、臨床症状を各カテゴリーによって割り付けるものである。しかしながらこの分類方式は、①分類された一群が均一である時、②各分類間の境界が明確である時、そして③他の分類とは相互背反的である時、最も有効なため、そもそも精神疾患での使用には限界がある。一方、ディメンション方式は、各要素の数量化に基づいて分類し、分散が連続的で明瞭な境界線を持たない現象の記述に最も適する。つまり、ディメンジョン方式は、症状の重症度を“症状なし”から“重度”まで評価することで、カテゴリー方式では閾値以下であった臨床的特徴も記述でき、個々の患者へのより適切な治療を提供できるかもしれない。一方で、数量的なディメンション式記述はカテゴリー式病名に比べ、はるかになじみのないことや生き生きとした描写にも欠ける等の欠点もある。したがって、どちらが精神疾患の分類に適しているかはまだ合意がなされていない。なお、2010年2月に発表されたDSM-5のドラフト(案)では、カテゴリー診断アプローチを損なうことなく、新たにディメンジョン要素を追加するために、抑うつ、不安、睡眠、自殺等を横断的に評価する患者自己記入尺度の導入も提案されている。
(執筆者:塩入俊樹 担当編集者:)