「無意識」の版間の差分

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== 概念 ==
== 概念 ==


 無意識とは、心理学・脳科学における現在の一般的な用法としては、志向的な表現が可能であるにも関わらず一人称的主観として体験されない事態のことを指す。すなわち、[[失神]]のような心身状態の喪失ではなく、心的(あるいは脳内)で志向性のある何らかの過程があると想定できるにも関わらず、その一部あるいは全部が意識の流れ<ref name=ref1>'''James, W.'''<br>Psychology (Briefer Course). <br>''University of Notre Dame Press'', 1985<br> (今田寛改訳 『心理学(上下)』 ''岩波文庫''、 1992-93)</ref>として体験されない事態を意味する。無意識がどのような事態を意味するのか、どのレベルの意識([[覚醒]](arousal,vigilance)・[[気付き]](awareness)・[[自己意識]](self-consciousness)など)を想定するかによって変わるために、学術的記述においても概念・用法は流動的である。従って、無意識は単一の過程・現象と考えるよりは、複数の現象群に対して与えられた名称と捉えた方が良いだろう。また、意識と無意識の境界はどこにあるのか、意識的過程と無意識的過程はどのような関係にあるのかなどに関しては、まだ議論の余地が残されている。
 無意識とは、心理学・脳科学における現在の一般的な用法としては、志向的な表現が可能であるにも関わらず一人称的主観として体験されない事態のことを指す。すなわち、[[失神]]のような心身状態の喪失ではなく、心的(あるいは脳内)で志向性のある何らかの過程があると想定できるにも関わらず、その一部あるいは全部が意識の流れ<ref name=ref1>'''William James'''<br>Psychology (Briefer Course). <br>''University of Notre Dame Press'', 1985<br> (「心理学(上下)」今田恵訳、今田寛改訳 岩波文庫、新版1992-93年)</ref>として体験されない事態を意味する。無意識がどのような事態を意味するのか、どのレベルの意識([[覚醒]](arousal,vigilance)・[[気付き]](awareness)・[[自己意識]](self-consciousness)など)を想定するかによって変わるために、学術的記述においても概念・用法は流動的である。従って、無意識は単一の過程・現象と考えるよりは、複数の現象群に対して与えられた名称と捉えた方が良いだろう。また、意識と無意識の境界はどこにあるのか、意識的過程と無意識的過程はどのような関係にあるのかなどに関しては、まだ議論の余地が残されている。


== 歴史的変遷 ==
== 歴史的変遷 ==
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