「物体探索」の版間の差分

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==ヒトにおける物体認知の発達==
==ヒトにおける物体認知の発達==
===物体注視時間と探索行動===
===注視時間と探索行動===
 ヒトの生後ごく初期における物体認知能力は、対象をどれだけ長く見ているかという注視時間を指標とすることが多い。最もシンプルな手続きは選好注視法である。一対の刺激を提示し、それぞれの刺激を注視する時間に偏りが生じるかを調べる。どちらかの刺激をより長く注視していたならば、二つの刺激を弁別できたとみなされる。別の方法として馴化・脱馴化法があり、これは上述した動物実験のものと同じ実験パラダイムである。すなわち、何らかの刺激を複数回提示し、注視時間が短くなったところで(馴化成立)、新たな刺激を提示する。この時、注視時間の増加(脱馴化)が見られたならば、最初の刺激と後に提示された刺激を弁別できたとみなされる<ref>'''加藤正晴'''<br>視線計測による乳児研究の新展開<br>''心理学評論'':2009,52,35-50</ref>。このような方法によって、まだ言語獲得以前の子どもにおいて物体そのものの認知や物体の空間的特性や物理的特性の認知を測定することができる。探索行動を指標として認知機能を測定した研究もあるが、注視か探索かという指標の違いによって、課題の遂行成績が一致しないことが指摘されてきた。
 ヒトの生後ごく初期における物体認知能力は、対象をどれだけ長く見ているかという注視時間を指標とすることが多い。最もシンプルな手続きは選好注視法である。一対の刺激を提示し、それぞれの刺激を注視する時間に偏りが生じるかを調べる。どちらかの刺激をより長く注視していたならば、二つの刺激を弁別できたとみなされる。別の方法として馴化・脱馴化法があり、これは上述した動物実験のものと同じ実験パラダイムである。すなわち、何らかの刺激を複数回提示し、注視時間が短くなったところで(馴化成立)、新たな刺激を提示する。この時、注視時間の増加(脱馴化)が見られたならば、最初の刺激と後に提示された刺激を弁別できたとみなされる<ref>'''加藤正晴'''<br>視線計測による乳児研究の新展開<br>''心理学評論'':2009,52,35-50</ref>。このような方法によって、まだ言語獲得以前の子どもにおいて物体そのものの認知や物体の空間的特性や物理的特性の認知を測定することができる。探索行動を指標として認知機能を測定した研究もあるが、注視か探索かという指標の違いによって、課題の遂行成績が一致しないことが指摘されてきた。


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