「電位依存性カルシウムチャネル」の版間の差分

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 L型は、骨格筋や心筋、平滑筋の収縮に始まり、ホルモンや神経伝達物質の放出、遺伝子発現まで様々な細胞応答に関わる。骨格筋の横行小管 (T管) に発現するCa<sub>v</sub>1.1は、脱分極による構造変化を介してリアノジン受容体を直接活性化し、Ca<sup>2+</sup>放出を誘導することで筋収縮を引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>1966760</pubmed></ref>。一方、心筋ではCa<sub>v</sub>1.2からのCa<sup>2+</sup>流入がCa<sup>2+</sup>依存的にリアノジン受容体を活性化し、筋収縮を引き起こす<ref name="ref19"><pubmed>6346892</pubmed></ref>。Ca<sub>v</sub>1.2およびCa<sub>v</sub>1.3は、膵臓のβ細胞におけるインスリン分泌も制御している<ref name="ref20"><pubmed>18511483</pubmed></ref>。また、Ca<sub>v</sub>1.3およびCa<sub>v</sub>1.4は感覚受容細胞のリボンシナプスにおける神経伝達物質放出に関与している<ref name="ref4" />。聴覚有毛細胞ではCa<sub>v</sub>1.3が<ref name="ref21"><pubmed>9405708</pubmed></ref>、網膜の光受容細胞ではCa<sub>v</sub>1.4が神経伝達物質の放出を制御している<ref name="ref22"><pubmed>    9174087</pubmed></ref>。神経細胞においては、L型は細胞体や細胞体近傍の樹状突起に局在しており、近い位置での細胞内Ca<sup>2+</sup>濃度 ([Ca<sup>2+</sup>]<sub>i</sub>) 上昇の引き金となり、下流で核内のシグナル伝達、およびCa<sup>2+</sup>濃度上昇を引き起こす<ref name="ref4" />。L型は、遺伝子発現に重要なシグナル分子であるCaM (calmodulin) 、AKAP (A kinase anchor protein) ファミリー、チロシンリン酸化酵素であるSrc、脱リン酸化酵素であるCaN (calcineurin) などと共役して働き (図2)、CREB (cAMP response element binding protein) <ref name="ref23"><pubmed>8980227</pubmed></ref>やNFAT (Nuclear factor of activated T-cells) といった転写因子の活性を調節することが知られる<ref name="ref4" /> 。<br>  
 L型は、骨格筋や心筋、平滑筋の収縮に始まり、ホルモンや神経伝達物質の放出、遺伝子発現まで様々な細胞応答に関わる。骨格筋の横行小管 (T管) に発現するCa<sub>v</sub>1.1は、脱分極による構造変化を介してリアノジン受容体を直接活性化し、Ca<sup>2+</sup>放出を誘導することで筋収縮を引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>1966760</pubmed></ref>。一方、心筋ではCa<sub>v</sub>1.2からのCa<sup>2+</sup>流入がCa<sup>2+</sup>依存的にリアノジン受容体を活性化し、筋収縮を引き起こす<ref name="ref19"><pubmed>6346892</pubmed></ref>。Ca<sub>v</sub>1.2およびCa<sub>v</sub>1.3は、膵臓のβ細胞におけるインスリン分泌も制御している<ref name="ref20"><pubmed>18511483</pubmed></ref>。また、Ca<sub>v</sub>1.3およびCa<sub>v</sub>1.4は感覚受容細胞のリボンシナプスにおける神経伝達物質放出に関与している<ref name="ref4" />。聴覚有毛細胞ではCa<sub>v</sub>1.3が<ref name="ref21"><pubmed>9405708</pubmed></ref>、網膜の光受容細胞ではCa<sub>v</sub>1.4が神経伝達物質の放出を制御している<ref name="ref22"><pubmed>    9174087</pubmed></ref>。神経細胞においては、L型は細胞体や細胞体近傍の樹状突起に局在しており、近い位置での細胞内Ca<sup>2+</sup>濃度 ([Ca<sup>2+</sup>]<sub>i</sub>) 上昇の引き金となり、下流で核内のシグナル伝達、およびCa<sup>2+</sup>濃度上昇を引き起こす<ref name="ref4" />。L型は、遺伝子発現に重要なシグナル分子であるCaM (calmodulin) 、AKAP (A kinase anchor protein) ファミリー、チロシンリン酸化酵素であるSrc、脱リン酸化酵素であるCaN (calcineurin) などと共役して働き (図2)、CREB (cAMP response element binding protein) <ref name="ref23"><pubmed>8980227</pubmed></ref>やNFAT (Nuclear factor of activated T-cells) といった転写因子の活性を調節することが知られる<ref name="ref4" /> 。<br>  


=== Ca<sub>v</sub>2 (N, P/Q, R型) ===
=== Ca<sub>v</sub>2 (N, P/Q, R型) ===


[[Image:Yasuomori fig 2.jpg|thumb|right|400px|<b>図2. α1サブユニットの構造</b><br />  
[[Image:Yasuomori fig 2.jpg|thumb|right|400px|<b>図2. α1サブユニットの構造</b><br />  
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=== ストア作動性Ca<sup>2+</sup>チャネル <br>  ===
=== ストア作動性Ca<sup>2+</sup>チャネル <br>  ===


 SOCチャネル (store-operated calcium channel&nbsp;: SOC channel, calcium release-activated calcium channel&nbsp;: CRAC channel) は、小胞体Ca<sup>2+</sup>ストアのCa<sup>2+</sup>枯渇によって活性化開口される細胞外からのCa<sup>2+</sup>流入経路である。TRPCチャネルがチャネル分子実態として考えられていたが、近年、重症複合免疫不全症(sevefe combined immunodeficiency&nbsp;: SCID)の患者から遺伝子変異が発見されたOrai1がSOCチャネルとして同定され、主要な分子実態として認識され始めている。Orai (Orai1, 2, 3) は、小胞体のCa<sup>2+</sup>枯渇を感知した小胞体Ca<sup>2+</sup>センサー分子STIM (stromal interacting molecule&nbsp;: STIM1, 2) との相互作用を介して4量体を形成し、活性化開口する<ref name="ref37"><pubmed>19488056</pubmed></ref>。<br>SOCチャネルによるCa<sup>2+</sup>流入 (SOC流入) は、免疫細胞における主要なCa<sup>2+</sup>流入経路であり、免疫機能に必須であるとされ、抗原受容体といった受容体活性化の下流でSOC流入が誘導される。これは持続的な [Ca<sup>2+</sup>]<sub>i</sub>上昇によりCa<sup>2+</sup>シグナル伝達を担い、転写因子NFATの活性を調節することが知られる。近年になって、神経細胞や筋細胞といった興奮性細胞においてもSOC流入が確認され、種々の生理機能や疾患との関連が調べられている<ref name="ref37" />。<br><br><br><br><references />
 SOCチャネル (store-operated calcium channel&nbsp;: SOC channel, calcium release-activated calcium channel&nbsp;: CRAC channel) は、小胞体Ca<sup>2+</sup>ストアのCa<sup>2+</sup>枯渇によって活性化開口される細胞外からのCa<sup>2+</sup>流入経路である。TRPCチャネルがチャネル分子実態として考えられていたが、近年、重症複合免疫不全症(sevefe combined immunodeficiency&nbsp;: SCID)の患者から遺伝子変異が発見されたOrai1がSOCチャネルとして同定され、主要な分子実態として認識され始めている。Orai (Orai1, 2, 3) は、小胞体のCa<sup>2+</sup>枯渇を感知した小胞体Ca<sup>2+</sup>センサー分子STIM (stromal interacting molecule&nbsp;: STIM1, 2) との相互作用を介して4量体を形成し、活性化開口する<ref name="ref37"><pubmed>19488056</pubmed></ref>。<br>SOCチャネルによるCa<sup>2+</sup>流入 (SOC流入) は、免疫細胞における主要なCa<sup>2+</sup>流入経路であり、免疫機能に必須であるとされ、抗原受容体といった受容体活性化の下流でSOC流入が誘導される。これは持続的な [Ca<sup>2+</sup>]<sub>i</sub>上昇によりCa<sup>2+</sup>シグナル伝達を担い、転写因子NFATの活性を調節することが知られる。近年になって、神経細胞や筋細胞といった興奮性細胞においてもSOC流入が確認され、種々の生理機能や疾患との関連が調べられている<ref name="ref37" />。<br>  
 
== 関連項目<br> ==
 
イオンチャネル
 
電位依存性チャネル
 
NMDA受容体
 
イオンチャネル型グルタミン酸受容体<br>  
 
== 参考文献  ==
 
<references />
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