「縫線核」の版間の差分

107 バイト追加 、 2012年12月13日 (木)
編集の要約なし
編集の要約なし
編集の要約なし
4行目: 4行目:
AC: [[前交連]] ([[anterior commissure]]); CC: [[脳梁]] ([[corpus callosum]]); Am: [[扁桃体]] ([[amygdala]]); CB: [[帯状束]] ([[cingulum bundle]]); DG: [[歯状回]] ([[dentate gyrus]]); DRCT: [[背側縫線核皮質路]] ([[dorsal raphe cortical tract]]); F: [[脳弓]] ([[fornix]]); H: [[視床下部]] ([[hypothalamus]]); Hipp: [[海馬]] ([[hippocampus]]); IC: [[内包]] ([[internal capsule]]); IP: [[脚間核]] ([[interpeduncular nucleus]]); LC: [[青斑核]] ([[locus coeruleus]]); MB: [[乳頭体]] ([[mammillary body]]); MFB: [[内側前脳束]] ([[medial forebrain bundle]]); OB: [[嗅球]] ([[olfactory bulb]]); S: [[中隔]] ([[septum]]); SM: [[髄条]] ([[stria medullaris]]); Str: [[線条体]] ([[striatum]]); SN: [[黒質]] ([[substantia nigra]]); VAFP; [[腹側扁桃体遠心路]] ([[ventroamygdalofugal pathway]])<br><ref name=ref3><pubmed>2418648</pubmed></ref>より改変 ]]
AC: [[前交連]] ([[anterior commissure]]); CC: [[脳梁]] ([[corpus callosum]]); Am: [[扁桃体]] ([[amygdala]]); CB: [[帯状束]] ([[cingulum bundle]]); DG: [[歯状回]] ([[dentate gyrus]]); DRCT: [[背側縫線核皮質路]] ([[dorsal raphe cortical tract]]); F: [[脳弓]] ([[fornix]]); H: [[視床下部]] ([[hypothalamus]]); Hipp: [[海馬]] ([[hippocampus]]); IC: [[内包]] ([[internal capsule]]); IP: [[脚間核]] ([[interpeduncular nucleus]]); LC: [[青斑核]] ([[locus coeruleus]]); MB: [[乳頭体]] ([[mammillary body]]); MFB: [[内側前脳束]] ([[medial forebrain bundle]]); OB: [[嗅球]] ([[olfactory bulb]]); S: [[中隔]] ([[septum]]); SM: [[髄条]] ([[stria medullaris]]); Str: [[線条体]] ([[striatum]]); SN: [[黒質]] ([[substantia nigra]]); VAFP; [[腹側扁桃体遠心路]] ([[ventroamygdalofugal pathway]])<br><ref name=ref3><pubmed>2418648</pubmed></ref>より改変 ]]


 縫線核は中脳から脳幹の内側部に分布する細胞集団で、複数の核よりなる縫線核「群」である。縫線核は元々ニッスル染色により同定されたが、後に免疫組織学的手法によりセロトニン細胞の分布とほぼ重なることが判明し、Dahlström とFuxe(1964)によって9つの神経核B1-B9の集合体として記載された。ただし、セロトニン細胞は縫線核外の近傍領域にも存在し、逆に、縫線核にはセロトニン以外の伝達物質を含む神経細胞も存在する。異なる縫線核は、菱脳節(rhombomere)の異なる領域から発生し、マウスでは吻側のrhombomere1(r1)からB4,6,7、その後さらに尾側のr2からB5,8,9, r5-8からB1,2,3が発生する。
 縫線核は[[中脳]]から[[脳幹]]の内側部に分布する細胞集団で、複数の核よりなる縫線核「群」である。縫線核は元々[[ニッスル染色]]により同定されたが、後に免疫組織学的手法により[[セロトニン]]細胞の分布とほぼ重なることが判明し、Dahlström とFuxe(1964)によって9つの神経核B1-B9の集合体として記載された。ただし、セロトニン細胞は縫線核外の近傍領域にも存在し、逆に、縫線核にはセロトニン以外の[[伝達物質]]を含む神経細胞も存在する。異なる縫線核は、[[菱脳節]](rhombomere)の異なる領域から発生し、[[wikipedia:ja:|マウス]]では吻側のrhombomere1(r1)からB4,6,7、その後さらに尾側のr2からB5,8,9, r5-8からB1,2,3が発生する。


 縫線核は脳のほぼ全域へ投射するが、縫線核内の起始部位によって投射先が異なる。入力元は主に辺縁系に属する前頭葉皮質や皮質下領域である。縫線核ニューロンの発火は睡眠覚醒リズム・歩行・呼吸などのパターン的な運動のみならず、注意・報酬などの情動や認知機能にも関与する。
 縫線核は脳のほぼ全域へ投射するが、縫線核内の起始部位によって投射先が異なる。入力元は主に[[辺縁系]]に属する[[前頭葉]]皮質や皮質下領域である。縫線核ニューロンの発火は[[睡眠覚醒リズム]]・歩行・呼吸などのパターン的な運動のみならず、[[注意]]・[[報酬]]などの[[情動]]や[[認知機能]]にも関与する。


== 縫線核とは ==
== 縫線核とは ==


 中脳・脳幹を中心に、尾側から吻側へ9つの神経核B1-B9が分布する。尾側核群は橋、延髄腹側に分布し、淡蒼縫線核(nucleus raphe pallidus, NRP, B1)・不確縫線核(nucleus raphe obscures, NRO, B2)・大縫線核(nucleus raphe magnus ,B3)が含まれる。これらの核からは脊髄や脳幹内に投射している。吻側核群は中脳に分布し、そのうち最大の核B7とその尾側につながるやや小さいB6は合わせて背側縫線核(dorsal raphe nucleus, DRN)と呼ばれる。背側縫線核は中心灰白質の腹側、吻側は動眼神経核レベルから第4脳室尾側端まで分布する。背側縫線核はさらにinterfascicular、ventromedial, ventrolateral (いわゆるlateral wings)、caudal・rostral componentsに分けられ、それぞれからの入出力も異なる<ref name=ref1><pubmed>1783685</pubmed></ref> <ref name=ref2><pubmed>9466453</pubmed></ref>。特に外側のwingsと呼ばれる部位は、ヒトやサルでは滑車神経周辺によく発達している。B8とB5は内側縫線核(median raphe)または上中心核(nucleus centralis superior)と呼ばれ、吻側は上小脳脚交叉レベル、尾側は顔面神経丘の吻側レベルまで分布する。これら吻側核群からの軸索は小脳、中脳、間脳、辺縁系、大脳皮質に投射する。また、内側縫線核から背側縫線核への、または背側縫線核内のセロトニン細胞間の相互連絡が豊富であり、セロトニン細胞の自己受容体を介した自己の発火率の調節の制御にかかわっている可能性がある。
 中脳・脳幹を中心に、尾側から吻側へ9つの神経核B1-B9が分布する。尾側核群は[[橋]]、[[延髄]]腹側に分布し、[[淡蒼縫線核]](nucleus raphe pallidus, NRP, B1)・[[不確縫線核]](nucleus raphe obscures, NRO, B2)・大縫線核(nucleus raphe magnus ,B3)が含まれる。これらの核からは脊髄や脳幹内に投射している。吻側核群は中脳に分布し、そのうち最大の核B7とその尾側につながるやや小さいB6は合わせて[[背側縫線核]](dorsal raphe nucleus, DRN)と呼ばれる。背側縫線核は[[中心灰白質]]の腹側、吻側は[[動眼神経核]]レベルから[[第4脳室]]尾側端まで分布する。
 
 背側縫線核はさらにinterfascicular、ventromedial, ventrolateral (いわゆるlateral wings)、caudal・rostral componentsに分けられ、それぞれからの入出力も異なる<ref name=ref1><pubmed>1783685</pubmed></ref> <ref name=ref2><pubmed>9466453</pubmed></ref>。特に外側のwingsと呼ばれる部位は、ヒトやサルでは滑車神経周辺によく発達している。B8とB5は内側縫線核(median raphe)または上中心核(nucleus centralis superior)と呼ばれ、吻側は上小脳脚交叉レベル、尾側は顔面神経丘の吻側レベルまで分布する。これら吻側核群からの軸索は小脳、中脳、間脳、辺縁系、大脳皮質に投射する。また、内側縫線核から背側縫線核への、または背側縫線核内のセロトニン細胞間の相互連絡が豊富であり、セロトニン細胞の自己受容体を介した自己の発火率の調節の制御にかかわっている可能性がある。


== 縫線核からの投射==
== 縫線核からの投射==