「タイムラプス解析」の版間の差分

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 細胞の形態的変化・機能発揮を経時的にとらえる可視化・記録・解析の技法。
 細胞の形態的変化・機能発揮を経時的にとらえる可視化・記録・解析の技法。


[[ファイル:タイムラプス解析データ例.jpg|thumb|350px|right|'''図 タイムラプス解析データ例'''<br>上段には,プラスティック皿上に付着させた「単離」神経前駆細胞の分裂(A,約1時間)およびクローン形成(B,4日間)の様子を示す.Bでは,あらかじめ大脳原基の脳膜面に蛍光色素DiIを施し「脳室面から脳膜面までスパンした細胞」すなわち「放射状グリア」形態の細胞を標識した上で細胞をdissociateし,低密度培養を行なった.ニューロンとグリアがDiIラベルされた単一前駆細胞から生じた.下段には,約2日間の網膜原基スライス培養の様子を示す.単一神経前駆細胞(DiI標識)が分裂し,誕生した娘細胞それぞれも分裂し,4細胞クローンが形成された.前駆細胞による細胞周期依存的核移動(interkinetic nuclear migration, INM)(エレベーター運動)も観察された.]]
[[ファイル:タイムラプス解析データ例.jpg|thumb|350px|right|'''図 タイムラプス解析データ例'''<br>上段には,プラスティック皿上に付着させた「単離」神経前駆細胞の分裂(A,約1時間)およびクローン形成(B,4日間)の様子を示す.Bでは,あらかじめ大脳原基の脳膜面に蛍光色素DiIを施し「脳室面から脳膜面までスパンした細胞」すなわち「放射状グリア」形態の細胞を標識した上で細胞をdissociateし,低密度培養を行なった.ニューロンとグリアがDiIラベルされた単一前駆細胞から生じた.


 自然科学のほとんどあらゆる研究において、さまざまな時間分解能による経時的解析が行なわれている。それらすべてをタイムラプス解析と意識する事ができるが、現在では、通常、タイムラプス観察という言葉を、second 〜 hourの間隔で記録が続けられるような場合、形の変化や対象物の動きに注目する場合の観察の呼称としてよく用いるようだ。
下段には,約2日間の網膜原基スライス培養の様子を示す.単一神経前駆細胞(DiI標識)が分裂し,誕生した娘細胞それぞれも分裂し,4細胞クローンが形成された.前駆細胞による細胞周期依存的核移動(interkinetic nuclear migration, INM)(エレベーター運動)も観察された.]]
 
 自然科学のほとんどあらゆる研究において、さまざまな時間分解能による経時的解析が行なわれている。それらすべてをタイムラプス解析と意識する事ができるが、現在では、通常、タイムラプス観察という言葉を、second 〜 hourの間隔で記録が続けられ、形の変化や対象物の動きに注目する場合の観察の呼称としてよく用いるようだ。


 神経系の研究における最古のタイムラプス解析のひとつとして、1906年、[[wikipedia:Ross_Granville_Harrison|Ross Harrison]]による[[wikipedia:JA:カエル|カエル]][[神経管]]から伸びる[[軸索]]のスケッチ(5分〜10分間隔)が知られる。1980年代から90年代にかけて、[[初代培養|細胞培養]](dissociation cell culture)の技法の発展とともに、培養皿上で示される細胞挙動に対してタイムラプス観察が積極的に行なわれるようになった。[[ニューロン]]の突起伸長(Garry Banker、Susumu Terakawa他)、[[神経前駆細胞]]の分裂(Sally Temple他)、ニューロンの移動(Mary Hatten他)などの様子が報告された。また軸索内の[[wikipedia:JA:オルガネラ|オルガネラ]]や分子のタイムラプス観察も始まった(Nobutaka Hirokawa他)。90年代には、[[スライス培養]]を用いての三次元環境下のタイムラプス観察がSusan McConnellやHitoshi Komuroらによって移動中のニューロンを対象として始められた。それまでのタイムラプス観察が、[[位相差顕微鏡|位相差]]像、[[微分干渉顕微鏡|微分干渉]]像を求める場合がほとんどだったのに対して、標識された細胞の[[wikipedia:JA:蛍光像|蛍光像]]を求めることがさかんになった。その流れは、[[蛍光タンパク質]]の[[wikipedia:JA:遺伝子|遺伝子]]の導入技法の発達とともに、21世紀に入ってから、ますます強まっている。
 神経系の研究における最古のタイムラプス解析のひとつとして、1906年、[[wikipedia:Ross_Granville_Harrison|Ross Harrison]]による[[wikipedia:JA:カエル|カエル]][[神経管]]から伸びる[[軸索]]のスケッチ(5分〜10分間隔)が知られる。1980年代から90年代にかけて、[[初代培養|細胞培養]](dissociation cell culture)の技法の発展とともに、培養皿上で示される細胞挙動に対してタイムラプス観察が積極的に行なわれるようになった。[[ニューロン]]の突起伸長(Garry Banker、Susumu Terakawa他)、[[神経前駆細胞]]の分裂(Sally Temple他)、ニューロンの移動(Mary Hatten他)などの様子が報告された。また軸索内の[[wikipedia:JA:オルガネラ|オルガネラ]]や分子のタイムラプス観察も始まった(Nobutaka Hirokawa他)。90年代には、[[スライス培養]]を用いての三次元環境下のタイムラプス観察がSusan McConnellやHitoshi Komuroらによって移動中のニューロンを対象として始められた。それまでのタイムラプス観察が、[[位相差顕微鏡|位相差]]像、[[微分干渉顕微鏡|微分干渉]]像を求める場合がほとんどだったのに対して、標識された細胞の[[wikipedia:JA:蛍光像|蛍光像]]を求めることがさかんになった。その流れは、[[蛍光タンパク質]]の[[wikipedia:JA:遺伝子|遺伝子]]の導入技法の発達とともに、21世紀に入ってから、ますます強まっている。
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