「PDZドメインタンパク質」の版間の差分

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===PDZドメインの構造===
===PDZドメインの構造===
[[image:PDZ fig1.jpg|thumb|350px|'''図1.PDZドメインの構造'''6<br>紫色の矢印がリガンドタンパク質を表す。許可を得て転載。]]
[[image:PDZ fig1.jpg|thumb|350px|'''図1.PDZドメインの構造'''<ref name=ref6><pubmed>15378037</pubmed></ref><br>紫色の矢印がリガンドタンパク質を表す。許可を得て転載。]]


 一般的に、PDZドメインは、6つのβストランド構造(βA-F)と2つのαヘリックス構造(αA-B)からなる。リガンドタンパク質はアンチパラレルとなるβストランド構造を持ち、PDZドメインのβBとαBとの間の溝にはまり込むことで結合する。これをβ-strand additionと呼ぶ。PDZドメインのC末端とN末端は非常に近接しているため、PDZドメインが複数並んでいる場合、リガンドタンパク質も近接して位置することになる。この構造的特徴によりリガンドタンパク質間の相互作用が促進されると考えられている<ref name=ref2><pubmed>11741967</pubmed></ref> <ref name=ref3><pubmed>14739991</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>11591811</pubmed></ref>。
 一般的に、PDZドメインは、6つのβストランド構造(βA-F)と2つのαヘリックス構造(αA-B)からなる。リガンドタンパク質はアンチパラレルとなるβストランド構造を持ち、PDZドメインのβBとαBとの間の溝にはまり込むことで結合する。これをβ-strand additionと呼ぶ。PDZドメインのC末端とN末端は非常に近接しているため、PDZドメインが複数並んでいる場合、リガンドタンパク質も近接して位置することになる。この構造的特徴によりリガンドタンパク質間の相互作用が促進されると考えられている<ref name=ref2><pubmed>11741967</pubmed></ref> <ref name=ref3><pubmed>14739991</pubmed></ref> <ref name=ref4><pubmed>11591811</pubmed></ref>。
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===PDZドメインタンパク質の特徴===
===PDZドメインタンパク質の特徴===
[[image:PDZ fig2.jpg|thumb|350px|'''図2.PDZドメインを持つタンパク質の例'''6<br>許可を得て転載。]]
[[image:PDZ fig2.jpg|thumb|350px|'''図2.PDZドメインを持つタンパク質の例'''<ref name=ref6><pubmed>15378037</pubmed></ref><br>許可を得て転載。]]


 PDZドメインタンパク質の特徴として、PDZドメインを複数もつ分子が多いということがあげられる<ref name=ref2 />。現在発見されているタンパク質の中では、13個のPDZドメインをもつMUPP1が最も多くPDZドメインを持つタンパク質として知られている<ref name=ref5><pubmed>9537516</pubmed></ref>。また、複数のPDZドメインは連続したグループとして存在しており、このような構造的特徴がPDZドメインに結合するリガンドタンパク質を協調的に働かせるのに資していると考えられている。
 PDZドメインタンパク質の特徴として、PDZドメインを複数もつ分子が多いということがあげられる<ref name=ref2 />。現在発見されているタンパク質の中では、13個のPDZドメインをもつMUPP1が最も多くPDZドメインを持つタンパク質として知られている<ref name=ref5><pubmed>9537516</pubmed></ref>。また、複数のPDZドメインは連続したグループとして存在しており、このような構造的特徴がPDZドメインに結合するリガンドタンパク質を協調的に働かせるのに資していると考えられている。
   
   
==調整機構==
==調整機構==
 PDZドメインタンパク質とリガンドタンパク質の相互作用はリン酸化によって調節される<ref name=ref6><pubmed>15378037</pubmed></ref>。典型的には、リガンドタンパク質のC末端のリン酸化によって、PDZドメインとの相互作用が阻害される。例えば、カリウム[[イオンチャネル]]やβ1[[アドレナリン受容体]]、stargazinなどのC末端がリン酸化されることによって、PSD-95のPDZドメインとの結合能が低下する。また、PDZドメインのリン酸化もリガンドタンパク質との相互作用に影響を及ぼす。例えば、calmodulin dependent protein kinase II(CaMKII)依存的にsynapse-associated protein97(SAP97)のPDZドメインがリン酸化されることによって、N-methyl –D-asparate(NMDA)受容体のサブユニットのNR2Aとの相互作用が低下する。
 PDZドメインタンパク質とリガンドタンパク質の相互作用はリン酸化によって調節される<ref name=ref6 />。典型的には、リガンドタンパク質のC末端のリン酸化によって、PDZドメインとの相互作用が阻害される。例えば、カリウム[[イオンチャネル]]やβ1[[アドレナリン受容体]]、stargazinなどのC末端がリン酸化されることによって、PSD-95のPDZドメインとの結合能が低下する。また、PDZドメインのリン酸化もリガンドタンパク質との相互作用に影響を及ぼす。例えば、calmodulin dependent protein kinase II(CaMKII)依存的にsynapse-associated protein97(SAP97)のPDZドメインがリン酸化されることによって、N-methyl –D-asparate(NMDA)受容体のサブユニットのNR2Aとの相互作用が低下する。


==機能==
==機能==