「ヒスタミン」の版間の差分

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 現在、[[H1受容体]]、[[H2受容体]]、[[H3受容体]]、[[H4受容体]]の4種類が同定されている。いずれも、[[Gタンパク質共役型受容体]]である。
 現在、[[H1受容体]]、[[H2受容体]]、[[H3受容体]]、[[H4受容体]]の4種類が同定されている。いずれも、[[Gタンパク質共役型受容体]]である。


=== H1受容体(H1R, hrh1) ===
=== H1受容体 ===
 Gq/11を介して、[[ホスホリパーゼC]]を活性化し、[[IP3]]と[[DG]]を生成する。細胞内Caが増加し、[[プロテインキナーゼC]]を活性化する。脳では、神経細胞と[[グリア]]細胞に発現している。神経細胞では、[[脱分極]]もしくは発火頻度の上昇を引き起こす。末梢では、気管支、腸管などの[[平滑筋]]、血管内皮細胞、[[副腎髄質]]細胞などに分布している。[[アレルギー]]反応を引き起こす主要原因である。
 脳では、神経細胞と[[グリア]]細胞に発現している。神経細胞では、[[脱分極]]もしくは発火頻度の上昇を引き起こす。末梢では、気管支、腸管などの[[平滑筋]]、血管内皮細胞、[[副腎髄質]]細胞などに分布している。[[アレルギー]]反応を引き起こす主要原因である。


=== H2受容体(H1R, hrh2) ===
=== H2受容体 ===
 Gsを介して、[[アデニル酸シクラーゼ]]を活性化し、[[cAMP]]濃度を上昇させる。神経細胞とグリア細胞に発現している。神経細胞に対して[[興奮性]]に作用する。末梢では主に胃壁細胞に存在し、胃酸分泌に関与している。H2[[拮抗薬]]は、胃潰瘍治療薬として用いられている。
 神経細胞とグリア細胞に発現している。神経細胞に対して[[興奮性]]に作用する。末梢では主に胃壁細胞に存在し、胃酸分泌に関与している。H2[[拮抗薬]]は、胃潰瘍治療薬として用いられている。


=== H3受容体(H3R, hrh3) ===
=== H3受容体 ===
 Gi/oを介してアデニル酸シクラーゼを抑制し、cAMP濃度を下げる。細胞内Ca濃度を上昇させる。ヒスタミン神経終末部の[[シナプス前膜]]に存在し、ヒスタミンの合成および遊離を抑制する。また、他の神経系の[[シナプス前膜]]にも存在し、[[アセチルコリン]]、[[セロトニン]]、[[ノルアドレナリン]]、ドパミン、[[グルタミン酸]]、[[GABA]]の遊離を抑制する。[[選択的スプライシング]]により複数の[[アイソフォーム]]が存在する<ref><pubmed>15665857</pubmed></ref>[11]。
 ヒスタミン神経終末部の[[シナプス前膜]]に存在し、ヒスタミンの合成および遊離を抑制する。また、他の神経系の[[シナプス前膜]]にも存在し、[[アセチルコリン]]、[[セロトニン]]、[[ノルアドレナリン]]、ドパミン、[[グルタミン酸]]、[[GABA]]の遊離を抑制する。[[選択的スプライシング]]により複数の[[アイソフォーム]]が存在する<ref><pubmed>15665857</pubmed></ref>[11]。


=== H4受容体(H4R, hrh4) ===
=== H4受容体===
 Gi/oを介してアデニル酸シクラーゼを抑制し、cAMP濃度を下げる。細胞内Ca濃度を上昇させる。H4受容体が中枢に存在するという確証は得られていない<ref><pubmed>25420523</pubmed></ref>[12]。末梢では、骨髄、[[好酸球]]、[[Tリンパ球]]、[[マスト細胞]]などに存在する。とくに[[免疫]]系の細胞に発現が多く見られ、炎症やアレルギーへの関与が考えられるため、抗炎症薬、抗アレルギー薬の標的分子の候補となっている。
 H4受容体が中枢に存在するという確証は得られていない<ref><pubmed>25420523</pubmed></ref>[12]。末梢では、骨髄、[[好酸球]]、[[Tリンパ球]]、[[マスト細胞]]などに存在する。とくに[[免疫]]系の細胞に発現が多く見られ、炎症やアレルギーへの関与が考えられるため、抗炎症薬、抗アレルギー薬の標的分子の候補となっている。
 
{| class="wikitable"
| align="center"|'''受容体'''
| align="center"|'''遺伝子'''
| align="center"|'''細胞内情報伝達'''
| align="center"|'''特異的作動薬'''
| align="center"|'''拮抗薬'''
| align="center"|'''特異的拮抗薬'''
|-
| H1受容体||HRH1||Gq/11<br>[[ホスホリパーゼC]]活性化<br>[[IP3]]と[[DG]]産生||methylhistaprodifen<br>histaprodifen||cyproheptadine<br>promethazine <br>pyrilamine (Inverse agonist) <br>cetirizine (Inverse agonist) <br>diphenhydramine||clemastine
<br>desloratadine <br>azelastine<br>triprolidine<br> astemizole
|-
| H2受容体||HRH2 ||Gs<br>[[アデニル酸シクラーゼ]]活性化<br>[[cAMP]]上昇||amthamine||||tiotidine<br>ranitidine<br>cimetidine
|-
| H3受容体||HRH3||Gi/o<br>アデニル酸シクラーゼ抑制<br>cAMP濃度低下、細胞内Ca濃度上昇||immethridine<br>methimepip<br>MK-0249 (Inverse agonist)||iodophenpropit||A331440<br>pitolisant<br>conessine <br>MK-0249 <br>ciproxifan
|-
| H4受容体||HRH4||Gi/o<br>アデニル酸シクラーゼ抑制<br>cAMP濃度低下、細胞内Ca濃度上昇||ST-1006 <br>clobenpropit (Partial agonist) <br>4-methylhistamine <br>VUF 8430 [24]"||||"||
|-
| ZPL-3893787 <br>INCB-38579 <br>JNJ 7777120 <br>JNJ-39758979
|}


=== 無脊椎動物 ===
=== 無脊椎動物 ===