「Parkin」の版間の差分

161 バイト除去 、 2020年12月19日 (土)
編集の要約なし
編集の要約なし
 
82行目: 82行目:
 ショウジョウバエでは、ParkinやPINK1変異でミトコンドリア呼吸鎖複合体サブユニット群の半減期が長くなっており、マイトファジー以外の選択的なミトコンドリアタンパク質分解機構も提唱されている<ref name=Vincow2013><pubmed>23509287</pubmed></ref><ref name=McLelland2016><pubmed>27458136</pubmed></ref> 。
 ショウジョウバエでは、ParkinやPINK1変異でミトコンドリア呼吸鎖複合体サブユニット群の半減期が長くなっており、マイトファジー以外の選択的なミトコンドリアタンパク質分解機構も提唱されている<ref name=Vincow2013><pubmed>23509287</pubmed></ref><ref name=McLelland2016><pubmed>27458136</pubmed></ref> 。


 常染色体性潜性若年性パーキンソニズム脳[[アストロサイト]]の形態的異常や患者[[iPS細胞]]で作製した中脳[[オルガノイド]]でのアストロサイトの分化能低下<ref name=Kano2020>'''Kano M, Takanashi M, Oyama G, Yoritaka A, Hatano T, et al. in press'''<br>Reduced astrocytic reactivity in human brains and midbrain organoids with PRKN mutations. NPJ Parkinsons Dis.</ref> 、Parkinノックアウトマウスにおいてアストロサイトのミトコンドリア損傷の報告<ref name=Schmidt2011><pubmed>21212098</pubmed></ref> がある。
 常染色体性潜性若年性パーキンソニズム脳[[アストロサイト]]の形態的異常や患者[[iPS細胞]]で作製した中脳[[オルガノイド]]でのアストロサイトの分化能低下<ref name=Kano2020><pubmed>33298969</pubmed></ref> 、Parkinノックアウトマウスにおいてアストロサイトのミトコンドリア損傷の報告<ref name=Schmidt2011><pubmed>21212098</pubmed></ref> がある。


 免疫・炎症へのParkinの関与が示唆されている。PINK1とParkinは、ミトコンドリアの[[抗原提示経路]]に関わる分子[[Sorting nexin-9]]を分解し、[[T細胞]]への抗原提示を阻害する。Parkinのこの機能が過剰な免疫反応を抑制している可能性が報告された<ref name=Matheoud2016><pubmed>27345367</pubmed></ref> . PINK1, Parkinノックアウトマウスでは、ミトコンドリアへの強い負荷(激しい運動やミトコンドリアDNAへの構成的な変異の蓄積)により、[[STING経路]]を介した炎症性[[サイトカイン]]の上昇がみられる <ref name=Sliter2018><pubmed>30135585</pubmed></ref> 。STINGは血清中に遊離した損傷ミトコンドリアのDNAを認識し、自然免疫を活性化する。ミトコンドリアストレスで生した損傷ミトコンドリアのPINK1-Parkin経路を介したマイトファジーでの除去が、炎症の沈静化に寄与していることが示唆されている。
 免疫・炎症へのParkinの関与が示唆されている。PINK1とParkinは、ミトコンドリアの[[抗原提示経路]]に関わる分子[[Sorting nexin-9]]を分解し、[[T細胞]]への抗原提示を阻害する。Parkinのこの機能が過剰な免疫反応を抑制している可能性が報告された<ref name=Matheoud2016><pubmed>27345367</pubmed></ref> . PINK1, Parkinノックアウトマウスでは、ミトコンドリアへの強い負荷(激しい運動やミトコンドリアDNAへの構成的な変異の蓄積)により、[[STING経路]]を介した炎症性[[サイトカイン]]の上昇がみられる <ref name=Sliter2018><pubmed>30135585</pubmed></ref> 。STINGは血清中に遊離した損傷ミトコンドリアのDNAを認識し、自然免疫を活性化する。ミトコンドリアストレスで生した損傷ミトコンドリアのPINK1-Parkin経路を介したマイトファジーでの除去が、炎症の沈静化に寄与していることが示唆されている。